2011年07月08日

GnRHアンタゴニスト 〜ガニレスト(ガニレリクス酢酸塩)〜 2011年7月8日補筆修正。

GnRHアンタゴニスト、主に体外受精などの高度生殖医療で、下垂体から分泌される内因性のLHサージを抑制する目的に使用される薬剤です。
採卵前、卵胞が成熟する前、あるいは採卵予定日の前に排卵してしまうのを防ぎます。

産婦人科クリニック さくらでも、一昨年の開業当初からGnRHアンタゴニスト「セトロタイド」を使用してきましたが、このたびシェリング・プラウ社(現MSD)から新薬「ガニレスト」(ガニレリクス酢酸塩)が発売され、すでに導入しております。

使用法はセトロタイドとほとんど同じで、「セトロタイド」が承認時に腹部皮下注射、となっているのに対して、「ガニレスト」は単に皮下注射、とされている点が異なります。

薬価は保険未収載のため定められていませんが、当院ではセトロタイドよりも安価な納入価格であるため、「セトロタイド0.25mg」(1日分)7,000円(税別)に対し、「ガニレスト0.25mg」(1日分)6,800円(税別)と設定しています。

詳しくは、診療の際にお尋ねください。


メディカルモールたまプラーザのブログで紹介されている『建築家とつくる家と家族のカタチ展』 私も見学に行ってきました。
メディカルモールたまプラーザも産婦人科クリニック さくらも設計したHAKの作品、設計・建築にたいする姿勢が良く分かる展示になっています。
産婦人科クリニック さくら スタッフブログでも詳しく紹介しています。
※この企画展示はすでに終了しております。

さくらトリートメントが行っている、好評の「なちゅらるHappy Life教室」、第5回は「竹炭マルセイユソープ手作り教室」です。
ねむの木ブログでも紹介しています。
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2011年07月07日

受精卵凍結の新しい保存法 〜Rapid-i〜


当院では、高度生殖医療で得られた受精卵は、妊娠率向上や卵巣過剰刺激症候群予防のため、原則全胚凍結を行っております。

受精卵凍結は、液体窒素中で行われ、従来凍結された受精卵は、他の方の受精卵と同じ液体窒素の中に保存されていました。

これまでの生殖医療に携わっている医療者の中で共通した認識として、-196℃の超低温の中では、細菌やウィルスも死滅するため、液体窒素を介した感染症はあり得ない、と言うものがありました。

しかし近年液体窒素中に感染した受精卵を胚移植することによって、感染が成立した報告があり、高度生殖医療にかかわる我々にとって憂慮すべき事態となっていました。

ここでいう感染症とは、血液や体液を介して感染する、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIVを指します。

当院ではこれまでもこれらの感染症を1年ごとに患者さんとご主人に採血して頂き、仮に感染症をご夫婦のどちらかがお持ちの場合、妊娠率の低下があるものの、他の方への感染を防止するため受精卵は凍結せず、採卵した周期に胚移植を行ってきました。

それでも未知の細菌、ウィルスや、血液検査の間に感染した場合、防ぎようがありませんでした。

この度、Vitrolife 社から、Closed法と称される「Rapid-i」というシステムが発売されました。
この方法を用いると、受精卵は液体窒素に直接触れることなく凍結保存することができ、これまで憂慮されてきた液体窒素中の感染を大幅に削減することが出来るようになりました。

既に当院ではこのシステムを導入しており、今後妊娠率の低下が無いことを確認しつつ継続して行きたいと考えています。

Rapid-iの器材に若干のコストがかかるため、凍結受精卵1個当たり10,000円の凍結管理料がかかっていましたが、Rapid-iの導入に伴い2,000円のコスト負担をお願いし、1個当たり12,000とさせていただきます。

詳しくは担当医、胚培養士にお尋ねください。

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この記事は、当院の胚培養士と一緒に執筆しました。
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2011年03月04日

東急セミナーBEで行っている高度生殖医療説明会のお知らせ。

東急セミナーBEで行っている、産婦人科クリニック さくらの高度生殖医療説明会についてお伝えします。

申し込みについては2つの方法があります。

1:東急セミナーBEカルチャーセンターたまプラーザ校へ直接お電話。 
045-904-3953

産婦人科クリニックさくら 高度生殖医療説明会に参加したい旨を伝えて下さい。


2:東急セミナーBEホームページより申し込み。
【キーワードを入れる】に「さくら」と入力して「検索」キーを押してください。

申し込みをクリックしてください。


定員は15組30名様を予定しています。
上記のページ、または、産婦人科クリニック さくら スタッフブログ
http://staffsacra.seesaa.net/
からも残席が確認できます。

ご注意
・一時的に1組 3000円のお申し込み費用がかかります(この3000円は後日の自費の診療からディスカウントしますので、実質説明会は無料となります)。
・3日前までに東急BE受付カウンターでお支払いをお済ませ下さい。
やむを得ない事情の場合は、当日のお支払いでも結構です。申し込みの際にご相談下さい。
・今後、産婦人科クリニックさくらで高度生殖医療をお受けになる方は、出来るだけ、ご夫婦そろってご参加下さい。
・キャンセルの場合は3日前までであれば、3000円の返金が出来ますが、それ以降の返金は出来ませんので、あらかじめご了承下さい。

※ご不明な点がありましたら、東急BEまたは産婦人科クリニック
さくらまでお問い合せ下さい。


2011年3月より改訂された高度生殖医療料金表です。
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posted by 桜井明弘 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 高度生殖医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月28日

2011年3月より高度生殖医療料金を一部改訂させていただきます。

平成23年3月から、
高度生殖医療料金を変更させていただきます。

使用薬剤・材料費の値上がり等により、
一部料金を改訂・セット化して分かりやすくしました。
受付に料金表をご用意しています。
ご希望の方はお気軽に声を掛けて下さい。

主な変更点は以下の通りです。
・ 採卵・体外受精 ・ホルモン補充療法
・ 顕微授精    ・胚移植
・ 胚培養     ・男性採卵前検査
・ 胚・精子凍結


横浜の婦人科は産婦人科クリニックさくらまで_1298600153420.png

○採卵・体外受精に
『基本料金』と『自然周期料金』を設けました。
これは自然周期の場合、
発育する卵胞が1個で採卵できる卵胞も
最大1個であることが多く
周期を連続して採卵することもあるため、
低価格の自然周期料金を新たに設けました。
また、卵胞が10個までであれば基本料金です。
卵胞が10個を超える場合、
10個ごとに30,000円の追加料金が発生します。

○採卵日当日の診療で、
すでに排卵してしまい採卵できなかった場合、
準備に多くの薬剤・材料費が発生していますので
採卵キャンセル代として30,000円頂きます。

○『顕微授精』・『胚培養3日目まで』は
9個までと10個以上で料金を設定しました。

○『胚凍結』・『精子凍結』は、
最初の1個または1本については、
1年以内に融解することが多いため、
凍結代に含めることとしました。
2個目から年間凍結管理料がかかります。

○ 『ホルモン補充療法』は、
1周期あたり8,000円となります。
胚移植周期に用いるもので使用する薬剤量の
多少に関わらず同一料金です。

○ 『胚移植』にエンブリオグルーという
ヒアルロン酸成分が入った
培養液を用いることになりました。

○『男性採卵前検査』のswim upテスト
が廃止になりました。
当院で精液検査を行ったことがない場合は、
行っていただきます。
このため、検査費用が安価になりました。

【お知らせ】
お預かりしている凍結された
受精卵・精子についてのお知らせや、
診療時の緊急連絡先の確認のため、
住所・電話番号・メールアドレス等を
お伺いするシートをお配りしています。
ご協力をお願いいたします。


※ 当院では個人情報を厳正に管理しております。
ご不明な点などありましたらスタッフまでお声を掛けて下さい。
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2010年10月11日

高度生殖医療 〜コンテンツトップページ〜

当院では高度生殖医療のパンフレットを随時更新しています。

これを基にブログに作成したコンテンツや不妊治療専門サイトを補筆修正しながら更新して行きます。

(2010年3月1日補筆)
*2010年4月より、毎月1回、土曜日午後に、高度生殖医慮をお受けになる患者さんを対象に、「高度生殖医療説明会」を開催します。


以下にコンテンツをあげますので、こちらからリンク先をご参照ください。

体外受精、高度生殖医療についての概論を新たに加えました。

体外受精って? 〜高度生殖医療とは〜
高度生殖医療のコンセプト
・高度生殖医療の合併症とその対策
高度生殖医療の流れ
・高度生殖医療のラインアップ
料金表
・生殖医療カウンセリング
・高度生殖医療の治療の実際
 ・採卵前検査
 ・プレトリートメント(Pre-treatment)
 ・採卵周期
   卵巣刺激法 〜体外受精では排卵誘発を必ずしなければいけないの?〜
    自然周期
    排卵誘発剤(内服剤)
     クロミッド
     フェマーラ
    排卵誘発剤(注射剤)
     クロミッド/フェマーラ-FSH(hMG)
     Long法
   採卵日の決定
   *超音波検査と採血
   排卵のコントロール
   採卵・採精
    *高度生殖医療に関する説明および同意書
   受精方法(培精)
    体外受精(IVF)
    顕微授精(ICSI)
   受精卵の確認
   胚移植(ET)
   受精卵凍結/解凍移植
    受精卵凍結(Vitrification法)
    解凍胚移植
    *採卵・胚移植から妊娠判定まで
   黄体補充療法
   胚移植後診察
黄体期
妊娠判定
・妊娠後の流れ
  妊娠初期
  妊娠中期
  出生前診断
  分娩施設へのご紹介
  妊娠中のセカンドオピニオン
  *葉酸摂取のおすすめ
ラベル:高度生殖医療
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2010年04月17日

第1回高度生殖医療説明会を終えて

本日、第1回高度生殖医療説明会を無事終了しました。

予想外に多くの方にご参集いただき、この治療法への関心の高さを改めて実感しました。

第1回とは言え、せっかくお集まりいただいたのに、狭い会場でご不便をおかけしたこと、拙い説明が思いのほか長引いてしまったことなど、ご不満もあったかと思います。

頂いたアンケートをもとに、スタッフと今後の説明会の方法などを再考し、よりよい説明会にしていきたいと思います。

今回お集まりいただけなかった方には、次回、第2回説明会を5月15日(土)に行います。改めてご案内しますので、よろしくお願いします。

次回より定員制とする予定ですが、予約法など決まり次第お伝えします。


なかなか質疑応答では、内容が内容だけに発言しにくかったと思いますが、ご質問いただいた方に、感謝を申し上げたいと思います。

参加してくださった皆さんと、会場設営や後片付けなど、土曜日診療の後に遅くまで残ってくれたスタッフに感謝します。

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近所で見かけた守宮(ヤモリ)?
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2009年05月28日

プレトリートメント(加筆修正) 〜高度生殖医療の実際〜

産婦人科クリニック さくらの高度生殖医療における治療について、コメントをいただいたので、採卵周期前に行っているプレトリートメントのご案内を加筆修正してアップします。

Pretreatment.jpg.jpg

プレトリートメント(Pretreatment)とは、採卵を行う前周期に、卵胞が発育するのを抑制し、採卵周期に最も効率的に良好な卵子を採取する目的に行います。自然周期採卵では必要ないこともあります。

主にOC(低用量ピル)が用いられます。

OC(マーベロン):避妊用に開発された一相性の低用量ピルです。副作用が少なく、排卵を抑制することができるため、プレトリートメントに適しています。前周期の月経第1日目から第7日目の間に内服を開始し、21日間内服します。

カウフマン療法:卵巣機能障害が考えられる方におすすめします。採卵周期の卵の質を向上させる効果もあります。以下の2つの方法があり、患者さんに応じて選択します。

1・内服薬
プレマリンとプロベラを内服します。
プレマリンはエストロゲン製剤、プロベラは黄体ホルモン製剤です。
月経第5日目からプレマリンの内服(21日間)を開始し、19日目からプロベラを併用します(7日間)。24日目にこの2種類の薬を内服し終わると、2、3日後に出血があります。これを月経と考えて採卵周期開始、とします。

カウフマン療法とは、エストロゲン製剤の内服により、卵胞発育が抑制され、黄体ホルモンを後から併用することにより、人工的にホルモン的な排卵周期を作ることができます。この方法により、
@卵巣が排卵する必要がなく、卵巣がお休みできる
A卵巣を司る視床下部、下垂体に理想的な排卵周期を覚えさせ、次周期以降の排卵周期の改善が期待できる
といった利点があり、生殖医療に限らず、排卵障害などの卵巣機能不全に用いることがあります。

2・注射剤
オバホルモンデポーとルテスデポーを用います。

オバホルモンデポーはエストロゲン製剤、ルテスはエストロゲンと黄体ホルモンの合剤です。
月経第5日目にオバホルモンデポーの注射を行い、15日目にルテスの注射をします。25日目頃に、出血があります。これを月経と考え、採卵周期開始、となります。

上記の内服薬のカウフマン療法と同様に、エストロゲン製剤のにより、卵胞発育が抑制され、黄体ホルモンを後から併用することにより、人工的にホルモン的な排卵周期を作ることができます。

関連記事
高度生殖医療のラインナップ(一部加筆修正しました)
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2009年03月17日

恵比寿つじクリニック

昨年10月に、渋谷区恵比寿に開院された「恵比寿つじクリニック」院長の辻祐治先生と、All Aboutの池上氏の紹介で知り合うことができました。半年前ですが、内覧会にお邪魔しました。

なんでも都内で初の男性不妊専門クリニック、とのことで、辻祐治院長は福岡の「天神つじクリニック」で大変多くの患者さんの治療に当たられている先生です。

一般的な男性不妊から重度の不妊症、そして顕微鏡下精巣内精子回収術(microdissection TESE)と、泌尿器科領域の高度生殖医療を手がけられております。
産婦人科クリニック さくらは、産婦人科ですから、女性が受診した際のことを主に、内装から各設備を整えましたが、泌尿器科、ことに男性不妊専門ですと、ご夫婦で受診される方もあると思いますが、主に男性患者さんが対象となります。
産婦人科クリニック さくらとは異なり、重厚で落ち着ける色合いをベースに、診察室、採精室が造られていました。また手術・診察室や培養室は明るい清潔な雰囲気です。

何より初めてお会いした辻院長の好感の持てるお人柄が印象的でした。
早速意気投合し、会食する機会まで頂きました。

産婦人科クリニック さくらからは、少し距離もありますが、同じ高度生殖医療を扱うクリニック同士、コラボレーションができたらいいと思います。患者さんにフィードバック出来るコラボレーション、診療内容を考えたいと思います。


posted by 桜井明弘 at 15:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 高度生殖医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月08日

高度生殖医療の流れ

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当クリニックでの、高度生殖医療の流れを再掲し、「高度生殖医療 〜コンテンツトップページ〜」にリンクしました。

高度生殖医療のパンフレット、現在v1.2を作成中、クリニックではv1.1を配布しています。

今後もパンフレットの内容を詳細にブログにもアップしていきたいと思っています。

ご意見、随時お受けしています。皆様の生の声を、よりよい説明や治療に反映させていきたいです。
posted by 桜井明弘 at 23:59| Comment(2) | TrackBack(3) | 高度生殖医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月01日

非配偶者間体外受精

日本生殖医学会が、婚姻関係にない「非配偶者間」の体外受精を認める方針を決めました。

しかし、日本産科婦人科学会は、厚労省部会の決定を保持し、あくまでも配偶者間に限る、としています。

本論に入る前に、これらの「学会」や「厚労省」、先立って卵子提供の半公的なシステムを構築するとの発表をし、既に非配偶者間体外受精を行っているJISART(日本生殖補助医療標準化機関)との関係を紹介します。

国の医療行政を司る機関が厚生労働省。日本産科婦人科学会は、国内のほとんどの産婦人科医が所属している団体で、簡単に言うとギルドです。日本生殖医学会は国内の産婦人科、泌尿器科、生殖医療に関係した研究者が主な学会員で、多くの会員は前出の日本産科婦人科学会にも所属しています。他に日本受精着床学会もありますが、会員層が医師よりも胚培養士や研究者の比率が生殖医学会よりも多く、しかし数年前から生殖医学会との合併も考えられています。
JISARTは国内の生殖医療を扱う施設が作った組織です。

このように、産婦人科医、生殖医療に携わる医師はいくつかの学会、団体に所属しており、それぞれの学会、団体の方針に沿った医療を行わなければなりません。今回の生殖医学会の発表は非配偶者間の高度生殖医療を容認、日本産科婦人科学会は厚労省における部会の見解どおり、これまでと同様認めない、としています。また国はこれを法制化していないので、事実上規制することができません。さらに複雑なことに、各学会の理事のなど上部組織のメンバーは異なる学会を兼ねていることがあります。

さて、「非配偶者間」の体外受精、とはどのような方法で、どのような方が必要としているのでしょうか。
女性因子としては、「卵巣摘出術後」「卵巣機能低下」で、卵子提供が必要です。また男性因子として「無精子症」。JISARTでは卵子を提供するのは35歳以下のボランティア、としていますが日本生殖医学会では兄弟や友人にも適応を広げる、とのことです。

卵巣を摘出された方はもちろんですが、卵巣機能の低下により排卵しない、排卵誘発剤を用いた体外受精を行っても卵子が採取されない、といった状態は、妊娠ができません。
これまで卵子提供を受けるには国内でできる施設は公にはないとされ、海外で受けなければなりませんでした。国によっては卵子提供がビジネスとして行われている場合があります。しかしながら渡航費用や滞在費、現地で受ける医療費など、想像を絶するコストがかかってしまいます。

国内のこのような患者さんを救うべくJISARTが上に示した卵子提供のシステムを作っているのです。

日本では生殖医療、ことに卵子提供や代理母の国民的論議が活発ではなく、まだまだコンセンサスが得られません。国や政治家もそのためか法制化に積極ではなく、学会による規制が存在するのみです。

JISARTの方針が時期を得ているのか、時期尚早なのか、時代が下らないとわかりませんが、日本生殖医学会の今回の声明により、非配偶者間体外受精が一気に加速する可能性があります。ぜひ法制化が遅れているわが国で大きな話題となることを願います。その上で国民レベルで議論され、さまざまな意見を集約した上でコンセンサスを得た法制化がなされるべきだと思います。不妊、生殖医療から目を背けるべきではなく、むしろ積極的に誰もが考えなければならないことだと思っています。
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2008年09月15日

高度生殖医療のコンセプト

患者さんにお渡ししている、当クリニックで行っている「高度生殖医療」の新しいパンフレット(v1.1)を作成しましたので、このブログでも順にご紹介しています。

この記事は2007年8月11日のものを補筆修正して再度アップしています。


産婦人科クリニック さくらの「高度生殖医療のコンセプト」をお伝えします。

これも既に掲載した「生殖医療のコンセプト」と通ずるところがあります。ここでは中でも「高度生殖医療」に限定した内容を書きます。


一般的に、これまで高度生殖医療では、多くの卵子を回収する目的に、強い卵巣刺激を行う傾向があり、現在でも多くの施設で行われています。

また、妊娠率の向上のため、複数個の卵子を子宮に移植することが行われてきました。

最近まで「過排卵刺激」と呼ばれていた卵巣刺激法は、よりマイルドな方法が取られるようになってきました。自然周期で行う採卵や軽い排卵誘発剤、すなわちクロミッドやフェマーラなどの経口の排卵誘発剤の使用も行われます。また、より純度の高いリコンビナントFSHが国内でも使用できるようになり、安全度が増しています。さらにhCG製剤による採卵前の排卵コントロールも、GnRHa(GnRHアゴニスト)を点鼻薬として用いることにより、夜間に来院する手間が省けるだけでなく、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発生を予防します。

多胎妊娠も、確かに喜ばしいですが、妊娠中のリスクが高くなります。産婦人科クリニック さくらではこれを避けるため、「移植あたりの妊娠率が低下しても、採卵あたりの妊娠率は低下させない」ことを目標に、原則として単一胚細胞移植(SET)を、開業当初より行っています。
これまで多くの施設の成績は、胚移植あたりの妊娠率が中心でした。しかし、実際の治療で高いリスクと患者さんへの負担を強いるのは、採卵周期です。余った受精卵は凍結保存することにより、後で解凍し、移植することが出来ます。採卵あたりの妊娠率、への発想の転換です。

単一胚細胞移植、SETについては今年4月、日本産科婦人科学会から、会員向け会告が出され、全国的にSETを行う傾向が高まっています。

また安全面の対策として、採卵時には、超音波で血管を同定し、採卵時にこれを避けることにより、より安全な採卵を心がけます。

どのような卵巣刺激を選択するか、どのような胚移植を選択するか、これらは患者さんの価値観を優先して、相談して行きたいと思います。そうは言っても、メリットとデメリットがあるため、決めかねる、確かにそうだと思います。納得されるまで情報提供を行うことで、より適した方法と、よりご夫婦の価値観にマッチした方法を一緒に考えましょう。

また、生殖医療、不妊治療では、多くの悩みやストレスを抱えると思います。
妊娠への期待感と、上手く妊娠しなかったときの失望感が主な原因だと思います。また家族、職場、周囲の理解が得られないことも大きいですし、自費診療のため、治療費がかさむことも大きいと思います。
現在「産婦人科クリニック さくら」のスタッフも、生殖医療を基礎から勉強しなおし、またカウンセリングについても勉強しております。治療に疲れたな、どうしたらいいんだろう、もっともっと詳しく知りたいことがある、どんなことでも構いませんので、院長や桜井加那子医師をはじめ、どのスタッフでもお声を掛けてください。皆さんとともに真摯に考え、よりよい解決策を見出すお手伝いが出来たら、と思います。

高度生殖医療のコンテンツトップページもご覧ください。
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2008年06月12日

第13回平成不妊研究会

以前から参加している平成不妊研究会に一昨日出席しました。

この春、日本産科婦人科学会は、34歳未満の体外受精では、原則移植する受精卵(胚)の数を一つとする、いわゆるSETを行うよう、会員向けに会告を出しました。

産婦人科クリニック さくらでは、昨年の開業以来、高度生殖医療における胚移植数は原則一つに限定していますが、いよいよ法的な効力はないものの、一定の規準が設定されました。

この研究会では、東京HARTクリニックの後藤哲也副院長先生が、初回体外受精と多胎妊娠、SETの妊娠率について触れられました。
興味深いデータとして、米国疾病センターが出した、34歳未満の高度生殖医療で、移植胚数1個と2個で妊娠率が変わらない(1個で47.4%、2個で51.8%)、もちろん多胎率は1個ではほとんど見られないものの、2個では38.8%%と高率になることを引用されていました。

高崎ARTクリニックの理事長、佐藤雄一先生は、以前にご紹介したように私の親しい先輩ですが、同クリニックで行っている自然周期採卵に限定した成績を発表されました。自然周期では、自然に排卵してくるため、採卵時に排卵後であったり、得られた卵が未熟卵であったり、とまだ改善の余地があるものの、多胎妊娠は当然ほとんどみられません。また排卵誘発剤を用いないため、低侵襲で安価な体外受精を実現している、ということでした。

杉山産婦人科の杉山力一理事長先生は、SETを行ううえで、患者さんに行ったアンケートをもとにSETに対する患者さんの考え、気持ちを発表されました。

また基調講演として、国立成育医療センターの周産期診療部胎児診療科の林聡先生が多胎妊娠の問題点を、周産期治療に当たるサイドの意見として発表されました。
同センターで出産される二絨毛膜性双胎、いわゆる二卵性の双子妊娠ですが、早産率がなんと60%にも上るそうです。他の合併症やトラブルにも触れられていましたが、私も開業前に勤務していた賛育会病院で周産期医療に当たっており、同様の印象を持っていました。

多胎妊娠では、早産だけでなく、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、妊娠糖尿病などの重篤な妊娠合併症が起こりやすく、また帝王切開での分娩率も上昇します。さらに社会的問題として、慢性的な新生児センター(NICU)のベッドが不足している状況も、多胎妊娠が大きなウェイトを占めています。
高度生殖医療は、移植する卵の個数をコントロールすることで、胎児数を決定できる方法です。産婦人科クリニック さくらでも、今後もSETを基本に行って行きたいと考えています。


・関連記事修正
高崎ARTクリニック見学

・桜井加那子医師記事「今月のきらきら人」、アクセス、コメントを頂いています。
今後もブログに登場していきます。乞うご期待ください。

産婦人科クリニック さくら スタッフブログ、連載中です。
小旅行」では、楽しい画像が載っています。
posted by 桜井明弘 at 01:31| Comment(0) | TrackBack(1) | 高度生殖医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月27日

採卵・採精 〜高度生殖医療の実際〜

採卵は経腟超音波で卵胞を確認しながら、採卵針を卵胞に穿刺し、卵胞内を吸引洗浄することで、卵子を体外に採取します。この時、採卵針が腟壁と腹膜を貫通するため、痛みが生じます。
あらかじめ鎮痛剤の座薬を使っていただき、腟内を充分に消毒したあと、腟壁に局所麻酔を行っておきます。

採卵後は、出血などがないのを確認した上で、院内で1時間ほど安静を保っていただき、お帰りいただけます。
卵胞数が多い方、以前の採卵で痛みが強かった方などに、静脈麻酔を併用した採卵を行います。
静脈麻酔を用いて採卵した場合は、麻酔から完全に醒めたことを確認してから、お昼頃にご帰宅できます。

採卵当日の流れ
 (前日就寝前)ロキサチ(制酸剤)を2カプセル内服してください。
 8:30 鎮痛剤の座薬(ボルタレン)をご自分で肛門内に挿入していただきます。
 9:00 来院(精液持参)、採卵準備、採卵
 9:30頃終了(卵の確認後採精)
 10:30頃 診察帰宅 (12:00頃、診察帰宅)(静脈麻酔の方)

採卵が終わった後、すぐに採取できた卵の数が分かります。
あらかじめ採卵日にご主人の精液を持参していただくか、卵の確認ができ次第院内の採精室で採精していただいても構いません。
ラベル:採卵 採精
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2008年01月23日

排卵のコントロール 〜高度生殖医療の実際〜

採卵の前には排卵のコントロールを行わなければなりません。

自然、クロミッド、フェマーラの周期では、下垂体からLHが分泌され(LHサージ)、排卵になりますので、このホルモンの分泌を見ることで、採卵日が決定することがありますが、LHの分泌は予想が出来ないことも多く、採卵がキャンセルとなることもあります。
このため、LHサージが開始する以前に排卵のコントロールを行うことで採卵キャンセルを回避します。

従来、採卵前にhCGを投与し、36時間後に採卵する方法が取られてきましたが、hCG注射のために来院しなければならないこと、hCGによりOHSSの発生が高くなること、2週間後の妊娠判定に影響を及ぼす可能性があることから、当院では原則としてGnRHaの点鼻剤をご使用いただきます。採卵の36時間前、前々日の21時頃に両方の鼻孔に1回ずつ、さらに22時頃に各1回ずつ鼻から吸入していただきます。
Long法、Short法などGnRHaを使いながら排卵誘発する周期では、従来通りのhCGの注射が必要です。
この場合、21時30分頃に来院していただき、hCGの筋肉注射を行います。
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2008年01月20日

採卵日の決定 〜高度生殖医療の実際〜 付)超音波検査とホルモン採血

高度生殖医療の実際、本日は採卵日はどのように決定されるのか、についてです。

採卵日は超音波所見と血液検査結果をあわせて判定します。
おおよその目安は
・次席(2番目に大きい)卵胞径が18、または20mm
・発育卵胞の平均径が20mm
・発育卵胞一つあたりのE2値が400pg/ml
ですが、卵巣刺激法によって異なります。
上記の条件まで卵胞が発育したら、当日の夜、排卵のコントロールを行い、2日後の朝に採卵します。

*超音波検査とホルモン採血
採卵までの間、卵胞の成熟を検査していきます。2〜4日毎に採血(LH,E2,P4)と超音波検査を行います。
採血は来院時すぐに行います。およそ20分で結果が出ますので、医師の診察の前か診察中に結果が判定し、治療の効果判定やおよその採卵日を予想することが出来ます。
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2008年01月14日

D3診察 〜高度生殖医療の実際〜

プレトリートメントの後、訪れる出血は、厳密には「月経」「生理」ではなく、「消褪出血」と呼ばれる、ホルモン剤による出血ですが、ここでは月経と同じに考えてください。

採卵周期では「Day3診察」、月経(消褪出血)開始後3日目に来院して頂きます。診察の前に採血(LH、FSH、E2)をお受け下さい。院内迅速検査により、約20〜30分で結果が出ます。また出血中ですが、超音波検査も行います。これらの検査結果により、その周期の排卵誘発効果、卵子の質を予測します。検査の結果によっては採卵を延期し、ホルモン療法を行い次周期以降の採卵をお勧めします。

スライド1.JPG

*FSHの高値は卵巣機能の低下を表します。超音波検査では、小さな卵胞が多数認められるほど排卵誘発効果が高く、10mmを超える卵胞がこのころに存在する場合、前周期に排卵・消褪せず残った遺残卵胞である可能性が高いため、誘発効果が著しく低下します。

関連記事更新しました。
院内迅速検査
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2007年08月17日

単一胚細胞移植(SET) 〜多胎妊娠の予防〜

「高度生殖医療のコンセプト」でも述べましたが、高度生殖医療の合併症とも言うべき多胎妊娠を防ぐため、当クリニックでは単一胚(細胞)移植(SET)を基本的に行います。

多胎妊娠とは、双子(ふたご)以上の妊娠のことです。自然妊娠でも1%の方が双胎妊娠(ふたご)となります。
多胎妊娠は、一面では確かに喜ばしいです。一度に可愛い赤ちゃんを二人授かったり、妊娠は大変だから一回で二人欲しい、なるべく沢山子供を産みたいので、双子だったらなおさらよい、色々な意見がありますが、我々産科医の立場からすると、妊娠中のリスクを問題視せざるを得ません。

多胎妊娠の妊娠中のトラブル・リスク、双子は2倍、三つ子は3倍??

私は双子は10倍、三つ子は100倍、と説明しています。

・多胎妊娠では、妊娠初期から流産率が高くなります。
・子宮頚管(子宮の出口)が開く、子宮頚管無力症も増えます。
・安定期に入ってからも、切迫早産や、実際に早産になることが多く、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の合併は大変重要です。
・マイナートラブルとして、貧血が重くなる傾向もあります。

・満期に入ってから、何より、お腹が大きくなるのがとても大変、二人の赤ちゃんを支えながら過ごす苦労があります。
・赤ちゃんは単胎妊娠と比べ、体重が軽くなる傾向(子宮内胎児発育遅延)があり、満期で産まれても小さいことがあります。
・分娩に際して、合併症のある方は、経腟分娩、帝王切開の選択に迫られます。双胎妊娠では、必ずしも帝王切開となるわけではありませんが、経腟分娩のリスクが高くなります。といって、帝王切開のリスクが低いと言う意味ではありません。
・品胎妊娠では必ず帝王切開となります。

このように、多胎妊娠では、様々なトラブルが生じる、リスクが高くなることがあり、未然に防げたら、と思います。
高度生殖医療では、移植する胚(受精卵)の数を調節することが出来ます。胚移植する受精卵が多ければ多いほど単純に妊娠率は高くなりますが、多胎妊娠の発生と妊娠する赤ちゃんの数も多くなります。
これまで受精卵3個胚移植の時代から2個へ、さらに現在では単一胚移植(SET)が主流となりつつあります。

当クリニックでは「移植あたりの妊娠率が低下しても、採卵あたりの妊娠率は低下させない、多胎妊娠を極力防ぐ」ことを目標に、原則として単一胚細胞移植(SET)を行います。
これまで多くの高度生殖医療の成績は、胚移植あたりの妊娠率が中心でした。しかし、実際の治療でリスクが高く、患者さんへの負担を強いるのは、採卵周期です。余った受精卵は凍結保存することにより、後の周期で解凍し、移植することが出来ます。採卵あたりの妊娠率、への発想の転換です。

一つの受精卵の胚移植では妊娠が成立しにくい、と思われる方もあると思います。これまでの治療経過など、患者さんの状態に合わせて胚移植については相談していきたいと思います。
posted by 桜井明弘 at 00:28| Comment(0) | TrackBack(2) | 高度生殖医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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