休止していたHPVワクチンの助成対象が、来週から高校1年生にも拡大されます。
まだ国内でもHPV予防ワクチンの承認が得られる前の話ですが、「HPV予防ワクチンは、通常の注射よりも相当痛いらしい、小学生の女児に普及させる妨げになる」と言った、痛みに関する話題が広まりました。おそらくこれを読まれている方にも、そんな認識を持たれている方もあるかもしれません。
診療室で最も多い質問であり、Facebookでも、この話題が持ち上がったので、以前書いたこの記事を再アップします。
さて、日本でも2009年12月から使用可能となった「
サーバリックス」、実際に打たれた方の手記(?)を入手しましたので、その方の了承の下、一部転載させていただきます。接種を考えてらっしゃる方の参考になれば、と思います。
以下、転載、一部補筆修正。
昨日、(中略)サーバリックスを打って頂きました!!
本当に全く痛みもなく、発赤も腫脹(腫れ)もありませんでした。
ただ、昨日は左の上腕部だけ、熱をもっている感じでしたが、どこに注射をしてもらったのかわからない感じでした。
今日は筋肉痛が出てきたという感じで、腕を上げにくいです。
ほんとに国内臨床試験での疼痛99%の意味がわからないです!
それぐらい痛くありませんでした。
(中略)
私の他に、先輩も2人打ちましたが、同じように全く痛くなくてびっくりしたとおっしゃっています。
インフルエンザの予防接種の方が、よっぱど痛かったそうです。
先生方、女性スタッフの方に実際の体験お伝えしていこうと思いますので、宜しければ参考にして下さい。
以上、原文をほとんどそのまま引用させていただきました。
書かれている「臨床試験疼痛99%」とは、サーバリックスが国内で承認される前に行われた臨床試験(いわゆる「治験」)でのデータで、副作用の疼痛が99%に見られた、というものを受けてのコメントです。でも、注射剤で、「痛かったですか?」と聞かれ、「痛くない」とは答えませんよね、痛さの程度があるはずですから、99%の方に激痛がある、と解釈されそうなデータでした。
さて、この手記を書かれた方は、その後の痛みについてもレポートしてくれましたので、下に転載します。
接種時 全く痛くない
接種後(2〜6時間以降)
・接種部位に筋肉痛が起こる
・接種後時間がたっているので多少驚く
2日目
・筋肉痛あり
・接種部位が重くてだるい感じ
3日目
・重い、だるい感じはあるが軽度
4日目
・問題なし
接種以降、発赤・腫脹も出なかった。事前の情報から比べると大したことなく、普通の注射と変わらない印象。
以上です。参考になりましたか?
公費助成の対象であるお子さん達の間で、HPVワクチンは痛い、という噂が広まっているようです。
ある意味では当然で、注射ですから、インフルエンザワクチンも、採血も、全て痛みを伴います。
当院で接種した方にも痛みについて伺っていますが、助成対象の方たち、「痛い」が約半数、「痛くない」も約半数です。
「痛い」と答えた方も、ほとんどがその当日、または数日。長い方は1週間と言いますが、そこまで長い方はむしろ少ないです。
助成対象以上の年齢の方たちからは「インフルエンザと同じ」との感想をいただいています。
2011年2月より開始しているワクチンの助成による無料接種、対象は中1から高1生。
私の感想ですが、中一の方たちほど痛かった、の感想、またそれを見ていたお母さんたちが少し心配を漏らしていますが、高校生になると分別があるのか、痛くない、痛いけど必要な事だから、と話し、同様に保護者の方たちも冷静に見ているようです。
是非お母様方には、ワクチンを受けることで子宮の病気が減らせる、自分と同じように、お子さんにも将来赤ちゃんを産んで、お母さんとなれる、ということを強調して教えて欲しいと思います。
またこのワクチンで失神が多い、と不安を煽る読売新聞の報道がなされ、噂が拡大しましたが、痛みは注射自体が痛いもの、また若い方ほど注射に対する恐怖心がある、と私は結論していますし、医師の間でも迷走神経反射と言って、このワクチンに特有のものではない、と言われています。
製薬会社からのレポートでは、サーバリックスの方がガーダシルよりも痛みが強いようですが、実際に使った方たちの感想では、同じような痛みのようです。