2019年06月10日

「もう子宮がん検診は不要でしょ?」という誤解

時々外来診療などで受けるご質問で、きっと誤解されているんだろうな、と思われる、子宮がん検診は不要?といったものがあります。主に3つの理由が挙げられます。

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こちらに新しい記事を作成しました

このブログの記事は、新しくなった当院のホームページ内の院長ブログへ随時お引っ越ししています。

(初出2008年05月07日)
(補筆修正2013年11月3日)
(令和元年6月10日更新)
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2017年08月24日

尖圭コンジローマと「ベセルナクリーム」

以前、「クラミジア感染症」の記事に「コンジローマについて記事にして欲しい」と言うコメントを頂きました。

コンジローマはHPVというウィルスによって起こされます。
HPVには種類があり、ハイリスク、とされるHPVはコンジローマではなく子宮頚がんの発生と深いかかわりがあります。

コンジローマを形成するのは低リスクのHPVです。

コンジローマなどの性行為感染症、STIについてHPに解説しています。

このブログの記事は、随時、新しくなった当院のホームページ内の院長ブログへお引っ越しする予定です。

2017年2月1日更新
2017年8月24日更新
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2016年04月15日

〜平成28年度横浜市子宮頚がん検診のお知らせ〜

今年度の横浜市子宮がん検診の無料クーポンについてのお知らせです。

平成28年4月1日よりクーポン対象者は・・・
今年度中に
 1、・21歳(H7.4.2~H8.4.1生まれ)になる方。
平成28年4月20日現在横浜市民の方に送付予定、6月上旬発送予定とのことです。

 2、・ご妊娠をされていて、母子手帳をお持ちの方。
(母子手帳についている子宮頸がんクーポンをお持ちの方。20歳以上で、かつ出産前日まで使用可能)

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※上記に該当しない方には、
今年から無料クーポンは送付されませんので、ご注意ください。
通常の、2年度に1度利用できる、横浜市ガン検診をご利用ください。
(頸部:1,360円、頸部・体部:2,620円)
病状や所見によって超音波検査費用(1,590円)がかかる場合もあります。

2年以内(平成27年4月から平成28年3月)に横浜市ガン検診をお受けになっている方には、
通常のガン検診をご案内しております。
初診料+子宮頸ガン検診+超音波検診で3,510円(税込)、
 子宮体がん検診も併せて行うと4,950円(税込)です。

無料クーポンのおかげで産婦人科デビュー、を果たした方も多いです。
普段相談できなかった悩み、また、期せずして病気が見つかることもあります。
大切な子宮や卵巣、一度お気軽にご受診くださいね💠

(初出:2015年6月11日)
(加筆修正:2016年4月14日)
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2015年04月04日

HPV検査併用のお勧め 〜子宮頸がん検診が変わります〜 2015年4月4日補筆修正

子宮頸がんの原因が、HPVというウィルスであることは、だいぶ皆さまに広く知られてきました。

この記事を読んで、まだ若い患者さんが、「HPVの検査を一緒にして欲しい」と仰ったのを、とても嬉しく思えました。


これまでの子宮頸がん検診は、がんが出来る部分、子宮頸部を綿棒などで擦過し、剥がれ落ちた細胞をプレパラートに塗布、アルコール固定して検査していました。

今年2月より導入した新しい子宮頸がん検診は、子宮頸部をブラシで擦過し、これをアルコールのボトル内に振り落として検査会社に提出します。

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メリットは、これまでの検査で5%位に見られた「不適正検体」を著しく減少させることが出来ます。
デメリットは検診時に見られる不正出血がこれまでよりもやや多くなることです。
 他にコストがかかることですが、4月より保険適用が認められ、これまでと比べ患者さんの負担は、1回50円多くなります。

また、この検体を利用して、同時にHPV検査(子宮頸がんの原因となる高リスクHPVの有無)を行うことが出来るため、お勧めしています。

オプションとしてHPV検査(高リスク)は、4,000円(税別)の自己負担となります。
 これは以下に述べる次の検診までの期間を延長させることが出来るメリットがあります。

またオプションとしてHPV検査を行わなかった場合でも、がん検診の検査結果が「ASC-US(細胞の異型あり)」の場合、後日検査料を別途請求させて頂きます。

子宮頸がん検査はベセスダシステムという方法で結果が出されるようになりました。

従来、肺や子宮などのがん検診(細胞診)では、これまでパパニコロー分類による結果で表示され、Class IからVまでの5段階に分類されていました。

これが子宮頸がん検診ではベセスダ、と言う結果で表され、
・NILM(細胞の異常なし)
・ASC-US(細胞の異型あり)
・ASC-H(より高度の異型あり)
・LSIL(前がん病変、軽度の異形成)
・HSIL(高度の異形成)
・SCC(扁平上皮がん)
のような表記となりました。

そして、
・NILMで高リスクHPVが無い場合、次の子宮頸がん検診は3年後。
・NILMで高リスクHPVがある場合、またはASC-USで高リスクHPVが無い場合は、次の子宮頸がん検診は1年後。
・ASC-USで高リスクHPVがある場合は、精密検査である「コルポ診」が必要。
・ASC-H以上もコルポ診が必要となります。

つまり、HPV検査を行わず、NILMの結果であれば、1年に1回の子宮頸がん検診を行えば良いことになりますし、4,000円のオプションでHPV検査を行い、HPV陰性でNILMであれば、次回は3年後の子宮頸がん検診で良い、となります。

また、自分が発がんの原因であるHPVを持っているかどうか知りたい、とおっしゃる患者さんも、当院では少なくありません。

これに伴い当院で行っている子宮頸がん検診についてまとめました。
詳しくは診察室、スタッフにお気軽にお問い合わせ下さい。

子宮頸がん検診まとめ.jpg

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<関連記事>
お友達と一緒に子宮頸がん検査、産婦人科デビュー(^_-)
平成25年度も無料クーポンによる横浜市検診を行っています!
子宮頚がん検査のお勧め HPV感染??

(2014年2月17日 初出)
(2014年3月1日 補筆修正)
(2014年7月6日 補筆修正)
(2015年2月5日 補筆修正)
(2015年4月4日 補筆修正)
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2015年01月21日

子宮頸がん検診 無料クーポンのご利用について

こんにちはわーい(嬉しい顔)

Q:最近、市から送られてきた無料クーポンを使っての検診が出来ますか?
というお問い合わせが多くなっております。

A:横浜市のクーポンをお持ちの方は、横浜市の医療機関で、
川崎市のクーポンをお持ちの方は、川崎市の医療機関で、
平成27年3月末日まで利用できます。




当院は横浜市ですので、横浜市のクーポンを使って検診することが可能です。
 横浜市の場合、対象者には、8月位にご自宅に郵送されているはずです。
 ご確認くださいぴかぴか(新しい)
 
横浜市に住民票がある方は、詳しくはこちらをご覧くださいひらめき


当院の診察日には、特に検診日をもうけておりませんので、
出血のない時期にお越し頂ければいつでも検診可能です☆


土曜日は予約制になりますが、
その他の日は予約がなくても受診が出来ますので、
お気軽にお越しください病院

※川崎市の方は参考までにこちらをご覧ください目


無料で検診を受けられる機会はなかなかないものです。
検診されたことのない方、婦人科からしばらく足が遠のいている方、
定期的に検診されている方も、
クーポン持参があれば検診できますので、この機会に検診されることをおすすめしますぴかぴか(新しい)

子宮頸がん検診については、こちらもご覧下さい
posted by 桜井明弘 at 10:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月13日

FDAでHPV9価ワクチン承認へ

日本では、子宮頚がん予防ワクチンの接種がほとんど停止した状態となってしまっていますが、国際的にはさらに子宮頸がん予防効果が高いと見込まれる、9価ワクチンの開発と、その製造承認が、米国のFDAからなされました

現在、日本を含んだHPVワクチンは、2価、または4価ワクチンで、

今回製造承認された9価ワクチンは、この4価ワクチンにさらに5種類のHPVに対する抗体産生可能なワクチンで、これにより90%以上のHPV由来のがん、すなわち、子宮頸がん、腟がん、外陰がん、陰茎がん、肛門がん、が予防できるようになるとされています。

すでに14,000人以上の摂取で安全性が確認されており、副作用の主なものとして、

「注射部位の痛み、腫脹、発赤、頭痛」

が見られたそうですが、十分な抗体産生効果が認められ、これらの臨床データを踏まえて米国ではゴーサインが出された、と言うことです。

翻って、先進国の中で唯一HPVワクチン接種が停止してしまっている日本。
国際社会の中では極めて異例、と言うことに、この点からもお気付きにならないでしょうか。
posted by 桜井明弘 at 18:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月08日

11月は子宮頚がん征圧月間です

11月は子宮頸がん征圧月間です。

これまで産婦人科クリニック さくらでは、子宮頸がんについて、
・子宮頸がん検診の普及
・HPVワクチンの推奨
を謳い、一人でも多くの子宮頸がん患者さんを減らしていこうとキャンペーンを行ってきました。

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院長である桜井明弘が子宮頸がんを重く受け止めているのは、かつて担当した患者さんの経験からです。

子宮頸がんで命を落とされた患者さんは何人も診てきましたが、一番心に残っているのは28歳の若い女性です。
この方は2歳の可愛いお子さんがいて、まだまだ天国に召されるような年齢ではありません。
しかし子宮頸がんが進行しており、手術は不可能、放射線、抗がん剤もほとんど効果無く、病魔はさらに進行したのです。

ベッドサイドにはお子さんの写真が飾ってあり、一日も早くお家に帰りたかったことでしょう。

この方がもしHPVワクチンを接種していたら、また、毎年子宮頸がん検診を受けてらっしゃったら早期に発見され、今も元気に幸せな家庭であったに違いありません。

そんな想いから、常に子宮頸がんについては意識をしてきました。

このブログでも実に多くの記事を執筆してきました。どの記事も是非ともお読み頂きたいと思っていますが、ここではその主なものを紹介したいと思います。

子宮頚がん検査のお勧め HPV感染??
ノーベル医学生理学賞にHPV、HIV発見者
20代30代の女性、がん死亡原因の1位は...、子宮頚がん。

妊娠前のトータルチェック 〜子宮美人化計画 2013〜
お友達と一緒に子宮頸がん検査、産婦人科デビュー(^_-)
HPV検査併用のお勧め 〜子宮頸がん検診が変わります〜
HPV検査
子宮がん検診未受診者に警鐘
「市がん検診は危ない」??
「もう子宮がん検診は不要でしょ?」という誤解
HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)を打ったら、子宮がん検診は要らない?

第26回国際パピローマ学会に参加して
HPVワクチンで子宮頸がん撲滅
HPVワクチン

興味を持たれた記事がありましたら、是非ともお読み頂き、お知り合いの方たちにもお勧めして下さい。

最後に受けた子宮頚がん検診はいつだったか憶えていますか?

もしも1年以上経っているようでしたら、早速検診を受けに行きましょう。
毎年11月にそう言えば検診、と思いだして頂けたら、と思います。

一人でも子宮頸がんの患者さんが減ることを祈って。
posted by 桜井明弘 at 09:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月05日

子宮頚がん検査のお勧め HPV感染?? 2014年7月5日補筆修正

しばしば子宮頸がん検診と子宮がん検診の違いって? と言うご質問をお受けします。
ので、再アップしてみます。


一般的に子宮がん検診、と言うと、子宮頚がんの検診を意味します。

子宮は子宮体部、頸部に大きく分かれ、前者は子宮の本体とも言うべき、赤ちゃんが宿る部分、また頚部は「子宮の出口」、と表現しますが、生理の血液が出たり、赤ちゃんが産まれてくる部分で、腟の一番奥にあります。

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どちらも癌ができると、子宮体がん、子宮頚がん、と言うように、その発生した部分の名前で呼ばれますが、子宮がんとひっくるめて言っても、体がんと頚がんは全く異なるものです。

今日は頚がんについて書きます。

HPV、ヒトパピローマウィルス、というウィルスの名前を聞いたことがありますか? ウィルス、は、インフルエンザやHIVなどでも知られるように微生物の一種ですが、細菌、いわゆるばい菌、と比べても、圧倒的に非常に小さい生物です。

このHPVの感染が、子宮頚がんの原因として特定されました。

HPVは性交渉で感染します。極端に言えば、性交渉の経験が無ければ頚がんにはならない、反対に経験があれば、若くても頚がんになる可能性がある、ということを意味します。

性交の相手が多ければ多いほど、感染のリスクが高く、また感染してもすぐに癌になる訳ではないため、初めての性交経験が若ければ若いほど、癌が発生するリスクが高い、ともいえます。
子宮頚がんの若年化が問題になっていますが、原因として性行動が若年化しているからです。

このように子宮頚がんの原因が特定され、若年化しつつある現状をふまえて、数年前から子宮がん検診の公費負担、つまり市町村や区が主体となって行われるがん検診も、「20歳以降」と、がん検診の対象年齢としては驚くほど、若い人たちが検診を受けることが出来るようになりました。
これ自体は歓迎すべきことですが、残念なことに、「2年に1回」と、公費負担を受ける機会は少なくなってしまいました。
この「2年に1回」を、「2年に1回でいいんだ」と、安心してしまう方もあるでしょうが、がんの発生を、前がん病変である「異形成」の状態か、上皮内がん(早期がん)の状態で発見するためには、2年に1回では時間が開き過ぎです。
正常の細胞はいきなりがんになるわけではありません。HPVの影響を受けて、最初は「異形成」という病変になり、さらにがん化していくのです。

我々産婦人科医の常識では、1年に1回の検診を受けていれば、進行がんになる前に見つけることが出来ます。最近ではHPV検査を併用することで、子宮頸がん検診が3年に1回で済む可能性もあります。これはこちらの関連記事をご覧下さい。

早期がんである上皮内がんまでの治療と、それより進行したがんの治療は、大きく異なります。前者では円錐切除術と言う腟式手術で、入院期間が2〜3日ですむ施設もありますが、後者では、広汎子宮全摘術という、婦人科領域では最も大きな手術の一つが行われ、更に術後に放射線療法、最近では術前に化学療法、いわゆる抗がん剤の治療を行うこともあります。全く両者の治療法の大きさ、重さは雲泥の差があります。

検診のこと、皆さんご存知でしたか?
HPV感染による子宮頚がん発がんのこと、検診によってなるべく早い段階で発見すべきこと。

では、HPVを予防する方法は?
難しいのは、これが性交で感染することは分かっているものの、いわゆるSTI 、性行為感染症として捉えられないことです。それだけ誰が持っていても不思議がないくらい、ほとんどの人が持っているからです。
要するに予防法は、コンドームで避妊をする、というくらいですが、赤ちゃんが欲しい方は、感染のリスクを避けられませんね。

性行動が日本よりも活発な米国では、より深刻な問題であるため、かねてより開発中であったHPVワクチンが臨床的にも使われ始めました。小学生くらいの女の子にワクチンを打っておくもので、既にHPV感染をしたかもしれない性交経験のある人よりもワクチンの効果が期待できるからです。
日本では、小学生女児に、将来性交によるHPV感染のリスクを減らすためにワクチンを、という目的ではどうでしょうか、なかなか受け入れる土壌をまた形成するのに時間がかかりそうですが、上記リンク先のように既に国内でも承認申請が行われました(2008年5月6日補筆修正)。

子宮頚がん検診の重要性、必要性がわかっていただけたでしょうか。
以前に書いた「市がん検診」のご案内を書いたブログへの反響を見て、意外とがん検診の重要性が知られていない、こんなに大切な検査なのに、と常々の診療の中でも感じています。

私の友人である江夏亜希子さんのブログ、大変人気があるのですが、ここでも、子宮頚がん検査の啓蒙をされています。ZARDの坂井泉水さんの事件の際に書かれました。是非ご一読を。

<関連記事>
HPV検査併用のお勧め 〜子宮頸がん検診が変わります〜 2014年7月5日補筆修正
 HPV検査と同時に子宮頸がん検診を行うことで、次の検診間隔を開けることも出来ます。
 新しい子宮頸がん検診の方法もご案内しています。
posted by 桜井明弘 at 00:18| Comment(14) | TrackBack(12) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月29日

子宮頸がん予防ワクチンが、「積極的に推奨しない」とされた件について

6月14日、子宮頸がんの啓蒙と予防に努めている我々産婦人科医にとって、衝撃的とも言える厚生労働省の専門家会議の声明が出されました。

それはつい4月に「定期接種」化された、つまり法律で女子に接種助成をすることが決められた「子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)」が、2ヶ月余りで、当面「積極的に推奨しない」とされたものです。


HPVワクチンによる副反応被害を受けられた方には心よりお見舞い申し上げます。


HPVワクチンは、2001年より臨床治験が始まり、2007年に発売となり本格的接種が開始されました。
2009年には日本でも承認され、世界130カ国での接種が行われていますが、100番目の承認国となりました。

以来6年間、世界各国で接種が続けられ、世界では推定日本でも推定300万人の方に接種が行われています。

インフルエンザワクチンなどと異なり、子宮頸がんは流行するタイプの病気ではありませんから、その予防効果はまだ未知、とも解釈されますが、既に9年間以上、接種した方たちの中に、このワクチンが予防しているHPV 16、18という型による子宮頸がんや、その前がん病変の報告は見られていません。

HPVワクチンの定期接種化により、全ての女子が接種するわけではないにしろ、日本国内でも大幅な子宮頸がん発症の減少が見込まれています。
これは、接種した当人に限らず、接種することによりHPVを有する人が減少する、HPVに感染する人が少なくなる、といった、ワクチンに期待される社会の中で感染が拡大することの予防に寄与することも期待されているからです。

今回、「積極的に推奨しない」とされたのは、副作用の実態が明らかではないため、とされ、今後調査を行った後に再度評価をする、とのことです。

副作用として重篤なものは、接種後の筋肉痛や神経痛の中でも重症なもので、全身性に拡がる原因不明の疼痛がみられたことです。「複合性局所疼痛症候群」と呼ばれ、医療界でも新しい概念の病気で、まだ有効な治療法がないようです。

その他、HPVワクチンによる失神、疼痛、接種部位の発赤・腫れなど、1200例の副作用報告、うち重篤なものが100例余りなされていますが、このワクチンとの因果関係がはっきりしていて、なおかつ重篤であるものは限られています。


今後厚労省が最終的なステートメントを発表する予定、とのことですが、日本のワクチン行政はこれまでも右往左往。

最大の課題はワクチンによる、或いはワクチン接種によるかもしれない方たちへの救済措置が疎かにされてきたこと。
疑わしきは補償する、というスタンスでなければ、この国にワクチンは根付かないと思います。

このワクチンによる被害の救済を怠り、HPVワクチンをお蔵入りさせてしまったら、インフルエンザ、麻疹、風疹の轍を踏むだけだと思います。

当院ではこれまで通りHPVワクチンの接種を推奨していきます。

是非とも国と国民の叡智に期待したいと思います。
posted by 桜井明弘 at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月20日

3月23日(土)、青葉区医師会 地域医療を語る会で、子宮頸がんワクチンについて講演させて頂きます。

3月23日(土)、14時半より、青葉区医師会 地域医療を語る会 市民公開講演会で「子宮頸がんワクチン」について講演させて頂きます。

会場は横浜市青葉区あざみ野の、メロンディアあざみ野です。

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講演内容は、

「これからのワクチンスケジュールの立て方」
〜まだ残るワクチンギャップ〜

として、

小児のワクチンをNPO法人VPDを知って子供を守ろうの会副理事長で、千葉市のおおた小児科の院長、太田文夫先生と講演をいたします。


太田先生は小児ワクチンについて大変お詳しく、またワクチンを普及させるべく最前線に立たれており、一緒に講演できることを大変喜ばしく思っております。


私は「子宮頸がんワクチン」について講演し、

・子宮頸がんとは?
・どうしてなるの?
・子宮頸がんになると、どうなるの? 赤ちゃんは産める?
・子宮頸がんの予防のためには?
・子宮頸がんワクチンて?
・子宮頸がんワクチンの種類と違いは?
・子宮頸がんワクチンて痛いの?
・子宮頸がんワクチンを打ったら子宮頸がんにならない?

などの皆さんの疑問に、当院で検査やワクチンをお受けになってらっしゃる方たちのデータを元にお答えしたいと思います。


入場は無料ですが、FAXまたはハガキによる申し込みが必要となります。
申し込みの締め切りはまだまだ受け付けております。

下の写真をクリックして頂くと詳細がご覧になれると思います。

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是非お申し込みの上、いらして下さい。
posted by 桜井明弘 at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月21日

子宮頸がん予防啓発マラソン 高崎美スタイルマラソンに参加してきました。

今日、10月21日(日)は、院長の故郷、高崎市で「第1回高崎ウィメンズマラソン 高崎美スタイルマラソン2012」が行われ、院長も参加してきました。

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このマラソン大会は、子宮頸がん予防啓発のための企画で、NPO法人 ラサーナを中心に催されました。

院長の友人でもあるラサーナの理事長、福田小百合さんや敬愛する先輩、佐藤雄一先生、そして多くの皆さんによる、まさに手作りのマラソン大会でした。

院長も早くから参加表明し、Facebookなどを通じて微力ながら宣伝に協力(?)し、今日は参加してきました。

おかげで当院の患者さんも横浜から参加してくれたり、地元の同級生、特にスイスから参加してくれた同級生もいました。

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スターターは、がん予防に
尽力(?)しているキティちゃんでした。

来年も行われる予定です。毎年少しずつでも、大きな大会に成長して欲しいと思います。
posted by 桜井明弘 at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月19日

横浜市より無料クーポンによる子宮がん検診のお知らせ。

おはようございますわーい(嬉しい顔)

横浜市よりお知らせがありました手(パー)

横浜市子宮頚がん無料クーポンの発送日は、

7月末に延期となったそうですexclamation×2

そのため、8月31日までは

無料クーポン券がお手元にない場合は、

クリニック受付で生年月日の確認のみで

対象年齢の方は無料でお受けいただけます
目


対象年齢は、横浜市にお住まいで、
平成3年4月2日~平成4年4月1日生まれの20歳、
昭和61年4月2日~昭和62年4月1日生まれの25歳、
昭和56年4月2日~昭和27年4月1日生まれの30歳、
昭和51年4月2日~昭和52年4月1日生まれの35歳、
昭和46年4月2日~昭和47年4月1日生まれの40歳、
               の方が無料対象です。


※9/1以降はクーポン券が無いと、

対象年齢であっても無料扱いになりませんのでご注意下さい。



上記以外の横浜市にお住まいで住民票も横浜市にある方は、

2年度に1度横浜市補助の子宮がん検診をお受けいただけますかわいい

特に持参するものはありませんので、受付でお伝え下さい手(パー)


20歳を過ぎたら1年に1回は子宮がん検診を受けましょうぴかぴか(新しい)

予約が無くても受診ができますので、出血がない時期にお越し下さい病院

posted by 桜井明弘 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月11日

第3回「子宮頸がんとHPVワクチンについてのお話」 子宮頸がん予防ワクチン助成事業にあわせて、4/21(土)、「子宮けいがん、HPVワクチン」について、講演を行います。

4/21(土)、15時半から、当院で第3回の「子宮頸がんとHPVワクチンについてのお話」を行います。

今回は特に国のHPVワクチン接種助成対象となる方々に向けた内容を予定しています。
 講演は、國井優衣子医師と院長が当たります。

以下、内容を少し書きますと、、

・「子宮けいがん」ってどんな病気?

・なぜ子宮けいがんになるの?

・子宮けいがんは「HPVワクチン」で予防できます。

・公費助成無料接種とは?

・このワクチン接種は痛いの!?


横浜市の今年度の助成対象は

・新中1生から高3生

です。


これまで、産婦人科クリニック さくらでは、子宮頸がん検診や子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)について、啓蒙を行って参りました。

特に昨年11月に行った「第1回 子宮頸がんとHPVワクチンについてのお話」では、参加された皆さんからご好評を頂きました。
参加者のお一人が書いてくれたブログ記事です。

また3/24に、第7回メディカルモール/たまプラーザ健康講座で、緊急講演をさせて頂きました。

第7回健康講座ポスターjpg.jpg


子宮は将来みなさんがお母さんと同じように、赤ちゃんを育て、産む大切な臓器。
子宮けいがんになって妊娠出来なくなったらとても悲しいことです。

今、これをきっかけにワクチンを接種し、大人になったら子宮がん検診を受ける、我々も皆さんの大切な子宮をともに守っていこうと、日々思っています。
posted by 桜井明弘 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月26日

本年度(平成23年度)の横浜市無料クーポンによる子宮頸がん検診は3/31が使用期限です!

◎無料クーポンによる子宮頚がん検診


こんにちはわーい(嬉しい顔)

お知らせしますexclamation

黄色の横浜市子宮頸がん検診、無料クーポンの

使用期限は平成24年3月31日までとなっております。


まだお手元にある方は3月中にお受けいただくと

無料になります手(パー)

せっかくの機会ですから、クーポンをお持ちの方は、

是非ご利用下さいかわいい

お手元にクーポンが届いている方は、
平成23年4月現在
20歳 平成2年4月2日~平成3年4月1日生まれの方、
25歳 昭和60年4月2日~昭和61年4月1日生まれの方、
30歳 昭和55年4月2日~昭和56年4月1日生まれの方、
35歳 昭和50年4月2日~昭和51年4月1日生まれの方、
40歳 昭和45年4月2日~昭和46年4月1日生まれの方、です。

それ以外の横浜市在住の方は、2年度に1度、

横浜市子宮がん検診を1,360円でお受け頂くことが出来ます。

子宮がん検診は、月経期をさけて

ご来院いただければいつでも検査出来ますexclamation

予約がなくても出来ますので、どなたもお気軽にお越し下さい病院

週末に近付くにつれ、混雑が予想されます。時間に余裕を持ってお越し下さい。


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最新情報は、ホームページ、このブログ、メールマガジンで最新の診療時間、診療情報をお知らせしています。

右斜め上
特にメールマガジンは急な診療時間の変更など、ご好評いただいております。ご利用お待ちしています。

ご来院前には、是非、確認をお願いいたします病院
みなさまのご来院をお待ちしておりますかわいい



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2011年12月28日

サーバリックス接種間隔延長緩和について

おはようございますわーい(嬉しい顔)

子宮頸がんワクチン【サーバリックス】についてお知らせいたしますexclamation

通常、サーバリックスは
初回から0、1、6ヶ月の接種間隔を持つこと
になっていますが、

今回のお知らせで、
“やむを得ず接種間隔が必要な場合は、
2回目の接種は1回目の接種から1〜2.5ヶ月の間で、
3ヶ月の接種は1回目から5ヶ月〜12ヶ月で調整すること"

となりました。

サーバリックスを接種中で、接種を長らくお忘れの方、
または接種途中で御妊娠をされて接種を中止された方は、
上記の間隔で接種が可能です。

サーバリックスはやはり3回接種していただいた方が、
効果が高いとされています。

同じHPVワクチンのガーダシルが、短縮緩和されたのと対照的ですね。

接種ご希望の方は、ご予約の上、ご来院下さいかわいい

尚、サーバリックス・ガーダシル助成対象年齢の方で、
3回無料接種を希望される方は、2回目接種を年内にお済ませ下さい
ひらめき
posted by 桜井明弘 at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月13日

第1回「子宮頸がんとHPVワクチンについてのお話」参加いただいたみなさま、有難うございました。

本日、産婦人科クリニック さくらで行なった講演会にご参加いただいたみなさま、貴重な土曜日の午後という時間にお越しいただき、誠にありがとうございました。


第1回 「子宮頸がんとHPVワクチンについてのお話」では、皆様に広く子宮頸がんと言う病気、それを防ぐためのワクチンや検診について知って頂きたく、無料講演会を開催しました。

参加頂いたのは、皆さんとても熱心に子宮頸がんについて知りたい、子宮がん検診をもっと広めたい、HPVワクチンて何なんだろう、と思ってらっしゃる方ばかりで、沢山のご質問を頂きました。


HPVワクチン.jpg

講師は当院の國井 優衣子 医師と私、桜井 明弘 院長が務めさせていただきました。

お話の内容は・・・

・「子宮頸がん」って?

・なぜ子宮頸がんになるの?

・子宮頸がんは「HPVワクチン」で予防できます。
 〜HPV感染予防ワクチン『サーバリックス・ガーダシル』接種について〜

という内容を、國井優衣子医師が担当しました。良く分らなかった子宮頸がんが理解できた、とご好評頂きました。

また私が、

・産婦人科クリニック さくらのHPV調査

・予防接種は痛いの!?

HPVワクチンで不妊になる?

・今からでは公費助成無料接種、間に合わない?

・他のワクチンを受ける場合は?

を担当しました。また、恥ずかしながら当時を思い出し、思わず涙ぐんでしまった、私が一人でも子宮頸がんを減らしたい理由をみなさんにお伝えしました。

ご参加下さったホヌ姉さんが、素敵な記事にまとめて下さいました。併せて是非お読みください!

皆様からリクエストを頂けたら、是非近いうちに第2回の講演会を行いたいと思います。
posted by 桜井明弘 at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月07日

HPVワクチン、ガーダシル助成対象の2回目接種のご案内。

HPVワクチン、9月から助成対象の方たちにも接種できるようになった4価ワクチン、ガーダシルの2回目の接種についてお知らせします。

以前の記事でもお伝えしたように、横浜市の公費助成で子宮頚がん予防ワクチンを接種される方は、11月中に接種を開始して下さい。

ガーダシルは、1回目接種後、2回目は2ヶ月後、3回目は6ヶ月後に接種するのが基本ですが、接種間隔について、止むを得ない場合として多少の猶予が認められています。

・2回目は1回目の1〜2ヶ月後に接種
・3回目は2回目の3〜4か月後に接種

とされています。

このため接種開始は11月末日までに、ということにもなります。


尚、同じく公費対象となっているサーバリックスは、このようは接種間隔の猶予がありません。


9月に公費助成でガーダシルの第1回接種をお受けになった皆さん、2回目は2ヶ月後、つまり11月の後半に当たりますが、この期間の接種は大変混雑が予想されています。

既に上に書いた1ヶ月後を経過していますので、2か月に限らず、御都合のよい日を選んで受診して下さい。



以下はこれまでの記事です。接種前に是非お読みください。


公費助成の対象となるのは、

・中学1年生から高校2年生の年齢の方
で、

・平成24年3月末まで、子宮頚がん予防ワクチン接種が無料でお受けになれます。


予防接種は2種類ありますひらめき
産婦人科クリニックさくらでは以下のように接種を行いますexclamation×2


☆サーバリックス
対象者:横浜市公費助成の方。中1〜高2。
接種時期:半年間に3回接種。0,1,6ヶ月
HPV:16,18型
注意 @保護者同伴
   A3回とも公費で済ませたい場合、初回は9月中に接種を済ませてください。
   B来年度以降は未定
   C完全予約制


☆ガーダシル
対象者:横浜市公費助成の方。中1〜高2。
    希望者→任意接種世代のサーバリックスがないため自動的にガーダシルとなります。
接種時期:半年間に3回接種。0,2,6ヶ月
HPV:16,18に加えてコンジローマの原因の6,11型も防げます。
注意 @未成年の方は保護者同伴
   A9月中は任意接種を見合わせて頂きます。
   B院内で接種後30分安静が必要なため、
    予防接種希望の場合は17時半までにお越し下さい。
    公費接種の方は完全予約制
   C3回とも公費で済ませたい場合、初回は9月中に接種を済ませてください。
   D来年度以降は未定
   E完全予約制   

全体的な注意
・新しいワクチンなので、接種後30分院内で安静にしていただきます。
・質問等は来院の上、医師に直接お尋ね下さい。

任意接種の料金はサーバリックス、ガーダシルともに1回接種につき、16000円(外税)。
3回まとめてお支払いいただきますと、47000円(外税)です。


ご不明な点がありましたらお問い合せ下さいexclamation


来週末、11月12日(土)に、第1回「子宮頸がんとHPVワクチンについてのお話」を行います。

皆様に広く子宮頸がんと言う病気、それを防ぐためのワクチンや検診について知って頂きたく、産婦人科クリニック さくらでは、無料講演会を開催します。

対象は
・子宮頸がんについて知りたい方。
・子宮頸がん予防ワクチンについて知りたい方。

これらについて興味を持たれている方でしたら、どなたも参加することが出来ます。

お申し込みは産婦人科クリニック さくらまで、お電話でお願いします。

497.JPG

posted by 桜井明弘 at 00:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月05日

第1回 「子宮頸がんとHPVワクチンについてのお話」


先週末行った、講演会のレポートはこちらです。


以下、これまで掲示してきた講演会のご案内です。

第1回 「子宮頸がんとHPVワクチンについてのお話」では、皆様に広く子宮頸がんと言う病気、それを防ぐためのワクチンや検診について知って頂きたく、産婦人科クリニック さくらでは、無料講演会を開催します。

対象は
・子宮頸がんについて知りたい方。
・子宮頸がん予防ワクチンについて知りたい方。

これらについて興味を持たれている方でしたら、どなたも参加することが出来ます。

HPVワクチン.jpg

日時:11月12日(土) 15時より

場所:産婦人科クリニックさくら 待合室

講師:國井 優衣子 医師、桜井 明弘 院長

参加費:無料

お話の内容は・・・

・「子宮頸がん」って?

・なぜ子宮頸がんになるの?

・子宮頸がんは「HPVワクチン」で予防できます。
 〜HPV感染予防ワクチン『サーバリックス・ガーダシル』接種について〜

・予防接種は痛いの!?

・今からでは公費助成無料接種、間に合わない?

・「20歳を過ぎたら1年に1度は婦人科検診を受けましょう」、の理由(わけ)は??


席数に限りがありますので、参加ご希望の方はお電話でご予約をお取り下さい。

講演にご興味がある方はどなたでもご参加いただけます。

産婦人科クリニックさくら 045-911-9936


京都、伏見の街並み。

467.JPG
posted by 桜井明弘 at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月01日

HPVワクチン接種は痛い?? 〜2011年10月1日修正〜


休止していたHPVワクチンの助成対象が、来週から高校1年生にも拡大されます。

まだ国内でもHPV予防ワクチンの承認が得られる前の話ですが、「HPV予防ワクチンは、通常の注射よりも相当痛いらしい、小学生の女児に普及させる妨げになる」と言った、痛みに関する話題が広まりました。おそらくこれを読まれている方にも、そんな認識を持たれている方もあるかもしれません。

診療室で最も多い質問であり、Facebookでも、この話題が持ち上がったので、以前書いたこの記事を再アップします。


さて、日本でも2009年12月から使用可能となった「サーバリックス」、実際に打たれた方の手記(?)を入手しましたので、その方の了承の下、一部転載させていただきます。接種を考えてらっしゃる方の参考になれば、と思います。


以下、転載、一部補筆修正。

昨日、(中略)サーバリックスを打って頂きました!!

本当に全く痛みもなく、発赤も腫脹(腫れ)もありませんでした。
ただ、昨日は左の上腕部だけ、熱をもっている感じでしたが、どこに注射をしてもらったのかわからない感じでした。
今日は筋肉痛が出てきたという感じで、腕を上げにくいです。

ほんとに国内臨床試験での疼痛99%の意味がわからないです!
それぐらい痛くありませんでした。
(中略)

私の他に、先輩も2人打ちましたが、同じように全く痛くなくてびっくりしたとおっしゃっています。
インフルエンザの予防接種の方が、よっぱど痛かったそうです。

先生方、女性スタッフの方に実際の体験お伝えしていこうと思いますので、宜しければ参考にして下さい。


以上、原文をほとんどそのまま引用させていただきました。

書かれている「臨床試験疼痛99%」とは、サーバリックスが国内で承認される前に行われた臨床試験(いわゆる「治験」)でのデータで、副作用の疼痛が99%に見られた、というものを受けてのコメントです。でも、注射剤で、「痛かったですか?」と聞かれ、「痛くない」とは答えませんよね、痛さの程度があるはずですから、99%の方に激痛がある、と解釈されそうなデータでした。


さて、この手記を書かれた方は、その後の痛みについてもレポートしてくれましたので、下に転載します。

接種時 全く痛くない

接種後(2〜6時間以降)

    ・接種部位に筋肉痛が起こる
    ・接種後時間がたっているので多少驚く
    
2日目 
    ・筋肉痛あり
    ・接種部位が重くてだるい感じ

3日目
    ・重い、だるい感じはあるが軽度

4日目
    ・問題なし

接種以降、発赤・腫脹も出なかった。事前の情報から比べると大したことなく、普通の注射と変わらない印象。


以上です。参考になりましたか?


公費助成の対象であるお子さん達の間で、HPVワクチンは痛い、という噂が広まっているようです。

ある意味では当然で、注射ですから、インフルエンザワクチンも、採血も、全て痛みを伴います。

当院で接種した方にも痛みについて伺っていますが、助成対象の方たち、「痛い」が約半数、「痛くない」も約半数です。

「痛い」と答えた方も、ほとんどがその当日、または数日。長い方は1週間と言いますが、そこまで長い方はむしろ少ないです。
助成対象以上の年齢の方たちからは「インフルエンザと同じ」との感想をいただいています。

2011年2月より開始しているワクチンの助成による無料接種、対象は中1から高1生。
私の感想ですが、中一の方たちほど痛かった、の感想、またそれを見ていたお母さんたちが少し心配を漏らしていますが、高校生になると分別があるのか、痛くない、痛いけど必要な事だから、と話し、同様に保護者の方たちも冷静に見ているようです。

是非お母様方には、ワクチンを受けることで子宮の病気が減らせる、自分と同じように、お子さんにも将来赤ちゃんを産んで、お母さんとなれる、ということを強調して教えて欲しいと思います。

またこのワクチンで失神が多い、と不安を煽る読売新聞の報道がなされ、噂が拡大しましたが、痛みは注射自体が痛いもの、また若い方ほど注射に対する恐怖心がある、と私は結論していますし、医師の間でも迷走神経反射と言って、このワクチンに特有のものではない、と言われています。

製薬会社からのレポートでは、サーバリックスの方がガーダシルよりも痛みが強いようですが、実際に使った方たちの感想では、同じような痛みのようです。
posted by 桜井明弘 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月27日

第2のHPV予防ワクチン、「ガーダシル」、2011年8月26日発売へ。

HPVワクチン、4価ワクチン、ガーダシルの流通は解消されました。


国内では、第2のHPVワクチン、「ガーダシル」の講演会に、2週続けて参加してきました。
いよいよ発売が、8月26日に決定しました。

ガーダシルについては、既に当ブログでも再三記事にしております。

ご存知の様に、HPVワクチンには2価ワクチンのサーバリックスが1年半前から発売され、中1から実質高2生までの公的助成が行われる様になり、大分周知されて来た感があります。

現在先行して用いられているサーバリックスは、数あるHPVの遺伝子型のうち、子宮頸がんの原因のトップ2を占める16、18型に対する予防効果を有する2価ワクチンで、子宮頸がんの6割がこれにより防げる計算になります。

一方今回発売されるガーダシルは4価ワクチン、サーバリックスの2価に加え、6、11型の予防効果も有しています。この2つの遺伝子型は低リスク型のHPVですが、主に尖圭コンジローマの原因とされます。

つまり2価のサーバリックスでは子宮頸がん予防効果が、また4価のガーダシルではそれに加え、尖圭コンジローマの予防効果を有するのです。

子宮頸がんの予防効果は、現在ともに8年以上を経過し、同等である為、単純にガーダシルがサーバリックスに比べて二つの低リスクHPVに対する効果を有している分、アドバンテージがあるように思えます。

ここで両者の違いについて幾つか書いていきたいと思います。

まず第一に交差耐性の問題。

これはサーバリックスでは、16、18に対して産生された抗体(噛み砕けば、免疫力)が、近縁のHPVに対しても予防効果が見られ、既に5つの発がん高リスクのHPVによる、前癌病変である異形成の発症予防効果が認められています。
しかし、交差耐性は、まだ検討中ですが、恐らくガーダシルにも有りそうで、また交差耐性の場合、短期の予防効果しか無い可能性も有り、これを大きな特徴とする事は出来ないそうです。

またガーダシルの18型に対する抗体価が比較的早めに低下している事が注目されていますが、そもそも抗体価の測定法がサーバリックスと異なり、また抗体価がすなわち発癌予防効果と相関しない事、更には抗体価が低下していても18型に起因する発癌もみられていない事から、この抗体も大きな論点となり難いようです。

この様に書いてくると、現状ではサーバリックスに比べてガーダシルの方が、やはり当初の予想通り、4価であるため優位なようです。


ガーダシルとサーバリックスの違い、たかが尖圭コンジローマ、イボだから死ぬ病気ではない、と言った意見もありますが、尖圭コンジローマを診断され、長年に渡る治療を施されている患者さんの、経済的、肉体的、心理的負担はとても大きいです。

のみならず、産婦人科医でさえあまり馴染みの無い乳児再発性呼吸器乳頭腫は、尖圭コンジローマを有する妊婦さんより赤ちゃんに産道感染し、乳児期に繰り返される手術、また時に生命の危険さえあるとのことです。

勿論、両者の真の発癌予防効果は、10年、数十年後の歴史が証明する事で、現段階の短期間のデータでは憶測の域を出ません。

我々産婦人科医は、一人でも多くの女性に、HPVワクチンを接種してもらい、子宮頸がんの罹患や死亡をなくして行く事、そしてワクチン接種後も子宮頸がん検診を併せて行う事により、子宮頸がんを撲滅させる事が悲願なのです。


ガーダシル関連の過去の記事はこちらをご覧ください。

HPVワクチン

HPVワクチンで子宮頸がん撲滅

子宮頸がん予防ワクチン(ガーダシル)が不妊原因に、と言うデマについて

HPV予防ワクチン接種は痛い??
posted by 桜井明弘 at 16:38| Comment(8) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする