2009年03月22日

「排卵に関するいくつかの誤解」シリーズ トップコンテンツ

排卵に関するいくつかの誤解、シリーズ化して書きましたが、根強いアクセス数があるので、トップコンテンツを作りました。ご活用ください。

基礎体温
排卵痛
子宮頚管粘液(おりもの)
排卵検査薬
「毎月右左、交代で排卵しますよね?」

皆さんのご意見、いただけたらうれしいです。関連したご質問もお待ちしています。

タグ:排卵
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2009年03月07日

DHEA 〜生殖医療・卵巣機能不全への効果〜

DHEAの一般的な効果と副作用について、お伝えしましたが、今回は卵巣機能に対する効果です。

まだEBM(科学的根拠に基づく医療)の認知は低いものの、例えば、欧米では、施設によって、35歳であったり、40歳以降の体外受精など、高度生殖医療ではほとんど全例の患者さんに服用することもあるそうです。

DHEAは、体内にあるホルモンで、代謝されエストロゲン、テストステロンの原料となります。年齢とともに減少することが知られ、これを補充することによりさまざまな改善効果がみられることから、「若返りホルモン」などと称されることもあります。

例えば高度生殖医療における効果には、
「卵巣機能低下が見られる場合、DHEA服用前と服用約4ヶ月後を比較して、受精卵数、3日目における正常卵数、胚移植率、胚(受精卵)の質において、改善作用がある(Barad D, Gleicher N、2006)」

この論文の筆者らは2005年に、42歳の卵巣機能低下症例で、DHEAにより、排卵誘発剤に過剰なまでに反応するようになったのを報告しています。

国内のあるデータでも3ヶ月服用後、改善が見られる、といったものがあります。
Poor Responderとされる、体外受精でも良好卵が得られない状態、排卵誘発剤に反応しにくい状態に有効と考えられます。


また、40歳未満で卵巣機能が衰え閉経の状態になる「早発閉経」においては、
治療を開始した患者さん全員の血中FSH値が低下し、妊娠が成立した
という報告もあり、まだまだ論文の数は多くないものの、治療効果が期待されています。


・このブログ、右にある「最近のコメント」に、書いて頂いた記事の件数を10件に設定しました。「記事を投稿したけど、そのコメントを読む前に見られなくなってしまった」というご意見を頂いたためです。
投稿した記事のキーワードを覚えてらっしゃったら、右の「検索」から探すこともできますが、この設定で、ある程度時間が経っても「最近のコメント」一覧から探すことができると思います。
またご意見ありましたら、ぜひお寄せください。

・さくらトリートメントスタッフによる好評の「なちゅらるHappylife教室」、3月10日(火)に行う「竹炭マルセイユ石鹸教室」の定員に空きが出ているようです。興味ある方はお早く連絡ください。
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2009年03月04日

「毎月右左、交代で排卵しますよね?」 〜排卵に関するいくつかの誤解〜

「排卵は左右の卵巣から交互に起こる」
「今月右だったから、来月は左だな」
「先月、左の排卵痛だったのに、今月も左に排卵痛、私の右の卵巣はどうなっちゃたの?」
「私は右の卵巣を失い左の卵巣しかないので、排卵は2ヶ月に1回ですね」

排卵に関する誤解シリーズ、最終回はもしかしたら今までの記事の中で最も多くの方に驚きを与えてしまうかもしれませんね。

一体いつ、誰が排卵は交代性、といったのでしょうか。
もしかしたら医学書や産婦人科の成書(医師の教科書)のどこかに書いてあるのかもしれません。

ネットや婦人科を取り扱う雑誌、はては不妊治療の特集や雑誌にも書いてあるでしょう。

なぜ誰もこれを否定しないのでしょうか。

排卵が起こる機序ですが、数万から数百万の原始卵胞の中で、黄体期(高温期)に次の周期に排卵する「候補生」が決められます。この数、20から30個と言われています。さらに月経期に至り、下垂体からのFSH分泌に反応するする卵胞がこのうちの一つ、主席卵胞と呼ばれるのです。
排卵は、自然周期でも月に一つではないことがあります。多くはないのですが、2つ排卵することも。3つはほとんどないでしょう。さらに排卵誘発剤を用いると複数の卵胞が発育、排卵にいたりますが、この2つ目以降の卵胞は、上にあげた「候補生」の2番目以降の卵胞です。

よって、「候補生」がランダムに左右の卵巣から決められ、さらにその中からランダムに主席卵胞が選択されるため、排卵する卵胞は左右限られず、ましてや交代性に起こるなんてありえない現象なのです。
皆さんずっとそう思わされていますが。

生殖医療で通院されている方は、この現象は身をもって体験されているでしょうから、よく理解していただけると思います。
ちなみに片方の卵巣を摘出されたあと、残った一つの卵巣は、毎周期「候補生」を作り、その中から選ばれた一つの卵胞が、毎月排卵します。
どちらで排卵してもあまり変わりない、という方もいらっしゃいますし、どちらかの卵巣で排卵しないと妊娠しにくい、といわれている方も居られます。左右いずれの卵巣から排卵するかがとても大切なことがあるのです。


さくらトリートメントブログ、「3月4月の香り

産婦人科クリニック さくら スタッフブログ、「スタッフ日記
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2009年02月16日

カンジダ外陰腟炎にかかりやすい疾患

毎日アクセスの多い、カンジダに関する記事です。外来診療室でも毎日多くの方が訪れます。


カンジダは再発が多い
ことにも触れましたが、今日はカンジダ外陰腟炎にかかりやすい疾患について書きます。
いずれも腟内が常在菌で守られているのを変化させる病態です。

・ 妊娠
・ 抗生物質服用後
・ 糖尿病
・ 免疫力低下

妊娠は病気ではありませんが、妊娠中のカンジダは多く見られます。
抗生物質服用後にもこの常在菌が無くなってしまうため、カンジダが増えることがあります。
糖尿病、免疫力を低下させる疾患についても同様で、カンジダを繰り返している方に、試みに血糖値を測ったところ、糖尿病の診断のきっかけとなったこともあります。

多くの方が不快な症状に長い間悩まされている厄介なカンジダ症ですが、罹りやすいきっかけ、原因を探ってみることも必要かもしれません。
posted by 桜井明弘 at 01:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月04日

皮様のう腫の症状と治療

皮様のう腫はおおよそ直径5cmを超えると「茎捻転」を起こす確率が高くなる、とされています。

通常卵巣は子宮と骨盤壁に固定されていますが、腫瘍が発育すると固定された部分を「茎」とし、腫瘍部分が捻じれ、これを茎捻転と呼びます。固定された部分からは卵巣を栄養する血管があり、捻転することにより卵巣が血流障害を起こし、しばしば激痛を起こします。救急疾患としても知られ、捻転してから時間が経過すると血流が途絶えるため、やがて卵巣が壊死し、この状態になると卵巣は摘出せざるを得ません。

皮様のう腫は薬物療法がなく、よって、皮様のう腫は、5cm以下は経過観察、5cmを超えたら手術適応と考えます。この何センチ、というのは、施設によって考えが異なり、7cmとしているところもありますし、4cmでも捻転を起こして痛みがあれば手術の適応です。

手術は腹腔鏡下に行われることが多くなり、通常、皮様のう腫のみ摘出し、正常卵巣部分は温存する、のう腫摘出術が行われます。閉経に近くなっている場合はのう腫ごと卵巣を摘出します。

再発率はあまり高くありませんが、皮様のう腫は両側の卵巣に発生することが多く、数年立ってから反対側に見つかったりすることもあります。頻度は低いながらも、60歳代くらいから悪性転化することがあり、この皮様のう腫が悪性化した卵巣がんは治療効果があまりよくありません。

よって閉経後では、むしろ積極的に手術が勧めれれることもあります。

次回は「のう胞腺腫」です。


さくらトリートメントのブログで、今年のこれからの「なちゅらるHappylife教室」、日程と内容を紹介しています。今からご希望の方は都合をつけておいてください。

また、「今日の香り」、とても深い、大人の香りを紹介しています。ちょっと香水では出会えない香りでした。
posted by 桜井明弘 at 23:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月03日

皮様のう腫とは? 〜卵巣のう腫(良性卵巣腫瘍)〜

卵巣にできる腫瘍を卵巣腫瘍と呼びます。大きく、良性、悪性、中間悪性に分類されます。

良性の卵巣腫瘍の中で、内部に水や血液、脂分などの液体成分が貯留したものを、卵巣のう(嚢)腫、と呼びます。「嚢」は、袋の意味ですね。
卵巣の悪性腫瘍は、卵巣がん。卵巣には悪性でも悪性度が極めて低い、中間悪性腫瘍があります。

今回はこの卵巣のう腫の中の、「皮様のう腫」について触れます。

卵巣のう腫の中でもっとも頻度が高いのが、皮様のう腫で、内部に脂分を含むのが特徴的です。他に類皮のう腫、成熟奇形腫とも呼ばれ、「皮様」「類皮」の意味で「Dermoid、デルモイド」、「奇形腫」の意味で「Teratoma、テラトーマ」とも呼ばれます。

発生起源は卵巣そのものにあり、卵巣の一部分、皮膚を作る起源細胞が腫瘍化してできます。皮膚には皮脂腺や毛根があるように、この皮様のう腫は、内部に毛髪や脂分を含有し、また同じ皮膚と同じ起源細胞から作られる歯や骨、軟骨、神経、甲状腺組織など、非常に多彩な組織を含みます。
一見、卵巣の中に、うまく作れなかった皮との身体が含まれているようなその腫瘍に、「奇形腫」と名付けられました。
少し誤解を招くその表現から、最近では「皮様のう腫」と呼ばれることが多くなりました。

話はそれますが、手塚治虫の医療漫画「ブラックジャック」に、「ピノコ」という女の子が出てきますが、彼女がブラックジャックによって作られたのは、ある女性の卵巣に皮様のう腫があり、この腫瘍はその患者さんの姉妹である、と摘出するに忍びなく、皮様のう腫に含まれた組織を組み立て、一人の人として作り上げたというストーリーがありました。
今読んでみると荒唐無稽な感が否めず、また皮様のう腫には人体の外胚葉由来の組織しか含まれていないので、ヒトの身体は作れませんが、手塚治虫らしいヒューマニティーにあふれたストーリーの素材として取り上げられました。

さて、次回は「皮様のう腫の症状と治療」について触れたいと思います。


ねむの木ブログ、「不妊治療をしている方へ」、ぜひお読みください。

さくらトリートメントのブログ、「第5回なちゅらるHappylife教室 〜咳止め・風邪予防軟膏&リップ・ハンド・フットクリームの作り方教室〜」レポートです。
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2009年01月18日

DHEA 〜一般的な効果と副作用〜

DHEA、Dehydroepiandrosterone(デヒドロエピアンドロステロン)は、ステロイドホルモンであるテストステロンおよびエストラジオールの前駆体で、早発閉経や卵巣刺激におけるPoor Responderと言われる卵巣機能不全に効果が期待されています。

DHEAは 海外ではサプリメントとして市販されていますが、日本では「医薬品」の指定を受けているため、国内で食品として販売することは法律で認められていません。しかし、医薬品として製造もされていないのが現状です。

俗に「若返りのホルモン」「ダイエットによい」「うつによい」「筋肉をつける」「免疫によい」などと言われており、全身性エリテマトーデスなどいくつかの疾患に対して有効性を示した報告があります。
安全性については、妊娠中・授乳中の摂取は危険性が示唆されており、また長期間あるいは大量の摂取はホルモン感受性の乳がんのリスクを高める危険性が示唆されています。この示唆、ですが、明らかな臨床データがあるのではなく、理論的に可能性があるため注意が必要、と言う意味です。
またDHEAを摂取した場合ドーピング検査で陽性 となるため、運動選手は注意が必要です。

またDHEAを含むとするダイエタリーサプリメント製品中には、表示とは異なりDHEAをほとんど含まないものが存在しているとの報告があり注意が必要です。米国食品医薬品局(FDA、日本の厚労省に相当)からの医学論文を引用すると、「DHEA含有の45商品を調査したところ、表示されている量(○○mg含有、と書いてありますね)の、平均91.1%の量しか含有されておらず、その範囲は0%のものから101.2%に分布」していたそうです。

それでは次に、いくつか我々に関係する臨床データをご紹介しましょう。

勃起不全(ED)に対して有効性を示唆した報告同様の報告も)があり、DHEAを24週間(6ヶ月)摂取したところ、勃起不全、機能、性欲、満足感が改善したとのことです。

更年期障害に対しても、1日25mgの摂取で、ほてり、心理的症状などが改善したという報告があります。これによると各種ホルモン値が改善したのにもかかわらず、更年期障害に対するホルモン補充療法の最大の副作用と言うべき子宮体がんに関して、DHEAでは「子宮内膜が厚くならない」とその発生に否定的なデータが示されています。

・ その他、
「短期間、適切に摂取すれば安全性が示唆されている」「推奨量を経口摂取した場合の副作用に関する報告は少なかった」
最も多く見られた副作用が、倦怠感や鼻づまり、頭痛であり、稀に頻脈や不整脈、動悸、不眠、興奮なども報告されているそうで、糖尿病や高コレステロール血症(高脂けっ症、脂質異常症)、甲状腺異常、その他の内分泌異常の人は注意して使用する必要があるとのことです。
「長期間の摂取あるいは大量摂取は、前立腺がん、乳がんなどホルモン感受性のがんのリスクが高まる」危険性あります。特にエストロゲン受容体陽性のがん患者さんでは、服用は避けるべきといえます。
他のホルモン療法と同様、血液凝固異常や肝臓障害のリスクが高まる可能性があります。よって心拍異常や血液凝固亢進の既往歴のある人は、使用を避けたほうがよいようです。
・妊娠中、授乳中の摂取は危険性が示唆されており、妊娠成立後は直ちに中止すべきでしょう。小児にも推奨されません。
一日量で200mg以上経口摂取すると、にきび、脱毛、変声、インスリン耐性、月経周期の変化、肝機能障害、腹痛、高血圧などの副作用が現れやすくなります。

しかし、各報告で、禁忌とする対象者は無いようです。

医薬品等との相互作用
ステロイド薬、ホルモン薬、インスリンなど併用に注意を要する医薬品は数多く知られています。

総合評価として、一般的な服用量では安全性が高く、一部の疾患や内服薬で注意が必要、と考えられます。
主な注意が必要な疾患をまとめると
・ 糖尿病
・ 高コレステロール血症(高脂血症、脂質異常症)
・ 甲状腺異常、その他の内分泌異常
・ 前立腺がん、乳がん、子宮体がん
・ 心疾患
・ 血液凝固異常
・ 肝機能障害
・ 高血圧
海外ではサプリメントとして販売されていますが、国内では医薬品の指定を受けているため、医師の指導の下に服用することが勧められます。

産婦人科クリニック さくらでも、卵巣機能低下がみられる患者さんへの投与を準備しており、近いうちに皆さんにご紹介できると思います。

次回はその卵巣機能に対する効果について書きたいと思います。


週末は大阪で行われた日本不妊予防協会の「第2回日本不妊予防フォーラム」と日本生殖医療心理カウンセリング学会の「第6回日本生殖医療心理カウンセリング学会・学術集会」に参加し、休診とさせていただきました。皆様には大変ご迷惑をおかけしました。
これらのレポートはまた後日掲載いたします。
posted by 桜井明弘 at 23:52| Comment(2) | TrackBack(2) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月27日

インフルエンザワクチン、いつ打ったらいいんですか?

妊娠を考えている方、特に不妊治療を行っている方から、

インフルエンザワクチンを接種したいんだけど、いつするのが一番いいのでしょうか

と言うご質問をお受けします。

コメントにもいただきましたが、

妊娠を考えている、妊娠が分かったという方でも、いつでもお受けになれます


ワクチンの万一の影響を考え、月経期に接種しましょう。また妊娠初期は、安定期(12週)になってから接種しましょう


これらは矛盾していますが、国際的には前者、今の厚生労働省の主張では後者となります。
どちらが正しいかは一目瞭然ですが、日本の医療行政トップがそのように考えている以上、後者の立場も説明しなければなりません。

すでに何度も書いていますが、インフルエンザワクチンはインフルエンザウィルスを部分的に量産した「不活化ワクチン」で、ウィルスとして不完全なため、感染性はありません。理論的に言えば、ワクチン接種後にインフルエンザを発症することは無い、といえます。

しかし、人間の身体の多様性、個体差から、またウィルスの突然変異性から、何があるか分からない、というのが今なお心配されています。万一、ワクチンによって思わぬトラブルが発生したら、赤ちゃんに影響があったら、ということを心配して投与を控える、という考え方です。

最近では大分、上にあげた国際的な考え方が広まって、妊娠を考えている方、妊婦さん、そして授乳婦さんも積極的にワクチン接種をお受けになっており、現に産婦人科クリニック さくらでも今年のワクチン接種はとても増えています。

結論的には
妊娠に関連したワクチンの悪影響はないため、いつでもお受けになれます。
排卵期、妊娠判定前(高温期)、妊娠判定後の妊娠初期、授乳期にいたるまで。

厚生労働省の指針に則れば、月経期と妊娠12週以降をお勧めします。

皆さんの価値観や流行状況によっても異なるため、外来で相談されることをお勧めします。
posted by 桜井明弘 at 01:14| Comment(3) | TrackBack(0) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月15日

排卵検査薬 〜排卵に関するいくつかの誤解〜

市販の排卵検査薬でタイミングをはかっているのですが、妊娠しないんです

今周期、排卵検査薬がいつも陰性なんですが、排卵しているんでしょうか

いつも検査しても排卵検査薬が陽性になるんです、私、どこか異常があるのでしょうか

こう言った質問を、しばしばお受けします。

そもそも排卵検査薬とは、どのような検査試薬なのでしょうか。

排卵期にLHサージが起こることは記事にしましたが、このLHが尿中に分泌されることを利用した検査試薬です。

排卵の前日(36-40時間前)、血液中に、下垂体から分泌されるLHというホルモンが急激に上昇します。これをLHサージと呼び、これを検査することにより、排卵日を知ることが出来ます。
しかし、毎周期、排卵日を正確に検査できる方もいらっしゃいますが、上にあげたように、せっかく排卵検査薬を買って使っても、うまく排卵が分からない、という方も少なくありません。

そもそも、尿中のLHを測ること自体が、我々からすると、信憑性に乏しい部分があるので、排卵日が分からなくてもすぐに異常、と考える必要はありません。
尿は、腎臓から血液中の老廃物や不要な水分が分泌(濾過)されて作られます。
その中に含まれる、LHもそうですが、その濃度は尿の濃度に比例します。
つまり、尿が濃ければ、LHも濃く出ますし、薄ければ検査薬が陰性になります。

それでは、我々生殖医療に携わるものからみた、排卵予測検査の信頼度は、どのような順番になっているかというと、

血中のホルモン値
超音波所見
・ 尿中LH反応(検査薬)
基礎体温

の順ですが、毎日排卵を知るために採血し続けるわけにも行きませんし、超音波で予測してもLHが分泌されなければ真の排卵日は分からない、日々つけてらっしゃる基礎体温もこれらの検査データを裏付ける大切な目安になる、というように、検査をなるべく少なく、効率よく、そして信頼性の高い予測とするため、総合的に判断します。

もちろんまだ妊娠を考えたばかりの方では、血液検査を行うにはためらいもあることもありますので、患者さんのご希望で検査を行い、得られたデータでなるべく予測するようにもしています。


画像 1543.jpg

↑クリックすると大きくなります。


・補筆修正いたしました。
D3診察 〜高度生殖医療の実際〜


メディカルモール・たまプラーザのブログ、好評連載中です。
今回の記事の「2e」って??
タグ:排卵検査薬
posted by 桜井明弘 at 23:59| Comment(1) | TrackBack(1) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月13日

排卵期子宮頚管粘液 〜排卵に関するいくつかの誤解〜

通常排卵期では、子宮頚管粘液が増加します。これを排卵の目安としてタイミングを計ったり、排卵がちゃんと起こってるな、と考えている方も多いと思います。

排卵期の粘液ですが、排卵日の1,2日前から増加し、排卵後も1日くらい多いようです。ただ、ご自身の自覚としては、1日だけのこともあるでしょうし、全く自覚されない方もあります。
この粘液は、腟内に射精された精子を子宮内腔に送り込む役割がある、とされ、極端に粘液の分泌が少ない方は不妊の原因となりえますが、自覚症状の多い、少ない、はいずれも病的な状態を表すものではありません。

これまで書いてきた排卵痛基礎体温と同様、この日が排卵、と思っているのと、実際の排卵は異なることもあります。
人の身体に起こる様々な症状は、原因不明で説明のつかないものもありますし、また身体は大変複雑な構造のため、この症状が出たらこれ、という風に単純に言い切れないことも多いです。


・補筆修正いたしました。
HPV検査
いただいたコメントから、補筆いたしました。


ねむの木ブログで、11日に行われたハンドクリーム教室、紹介しています。
posted by 桜井明弘 at 00:57| Comment(0) | TrackBack(1) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月11日

排卵痛 〜排卵に関するいくつかの誤解〜

コメントでもいただきましたが、排卵痛=排卵があった、排卵日だった、と考えられない場合があります。

排卵痛の程度は、「毎月どちらの卵巣から排卵したか分かる」という方も、「これまで全く感じたこともない」という方まで、実に様々です。どちらも病的ではありません。

また生殖医療で通院し、排卵日が特定されるようになってから初めて、これが排卵痛なんだ、と分かるようになった方もあります。

それではなぜ、排卵痛が起こるのでしょうか。
排卵は卵巣の表面に出来た卵胞が破れて、中にある卵子が飛び出て卵管内に取り込まれる現象です。

卵巣の表面が破けることにより、出血をきたします。この出血量は多いことも少ないこともありますが、卵胞が破れるため痛みを感じる、というと、そうではないのです。卵巣には知覚神経がありません。よって、排卵をしても、採卵の際にも、卵巣が痛みを覚えることがないのです。

排卵痛の痛みの原因は、この卵巣からの出血です。そしてこの出血が腹膜の上に落ちて刺激になることで、腹膜が痛みを感じるのです。腹膜は、「腹膜炎」からイメージされるように、とても痛みに敏感な組織で、わずかな出血でもその刺激により大変痛みの症状が強い、ということが起こりえます。

またこの痛みを感じるタイミングですが、出血を痛みとして感じるので、必ずしも出血と同時、ではなく、排卵が起こって少ししてから痛みが出ることもあります。
またその出血が反対側の卵巣近辺の腹膜を刺激していたいこともありますから、これも必ずしも痛いほうが排卵とも限りません。

以前にも書いたように、内膜症の方では排卵痛が強い傾向にあります。また、不思議といつも同じ場所に痛みを感じる方もあります。まだまだ排卵痛、分かっていないことも、きっとあると思います。


排卵痛に関していただいたコメントを、こちらに移動させていただきました。勝手にすみません。


・補筆修正いたしました。
子宮体がん検診
いただいたコメントから、補筆いたしました。


メディカルモール・たまプラーザのブログ、好評連載中です。
今回の記事では、いよいよ出現したインフルエンザ感染情報を紹介しています。

ねむの木ブログで、アロマテラピー、紹介されています。

さくらスタッフブログ、アクセスが増え、シーサーブログで10000位以内をキープするようになって来ました。
シリーズ化している「健康維持Q&A 〜朝のむくみ〜」、最新記事です。
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2008年11月09日

カンジダ腟炎(外陰腟カンジダ症) 〜治療と再発〜

カンジダ腟炎の治療と繰り返される再発について書きます。

治療には「オキナゾール」などの腟錠が基本となり、外陰のカンジダに対しては「ニゾラール」などの外用剤を併用します。

腟錠は600mgの1回投与のものと100mgの7回投与のものがあります。
前者では1度挿入すると1週間効果があるため、便利です。

外用剤、塗り薬ですが、抗真菌剤であればどの薬でもほとんど効果があります。真菌にはあまり薬剤耐性がありません。水虫(白癬菌)に対するものと同じですが、産婦人科クリニック さくらでは、「ニゾラールクリーム」を勧めて処方しています。
ニゾラールの優れている点は、抗真菌の薬効成分が1日1回で済むこと、これは1日2回塗らなければならないのと比べるとはるかに使いやすいです。また薬効成分以外の基材にかゆみを抑える成分が含まれていることです。これらの利点によって、使っている患者さんからの評判もいいと思いますし、薬のコンプライアンス(受け入れやすさ、使いやすさ)がとても良いと思います。かゆみがあるときには1日1回以上使っても差し支えありません。

さて、ほとんど9割くらいの方はこの治療法、腟錠1回挿入、外用剤1週間継続で完治しますが、1回の治療では治りきらない、完全にすっきりしないこともあります。この場合、だめ押しでもう一度同じ方法を行ないます。

問題となるのは再発です。
「私はよくカンジダになる」「繰り返しやすい」と感じる方もあるでしょう。そのたびに婦人科受診は億劫だと思います。受診までの間、不快な症状を我慢しなければなりませんし。
しかし、1年に1回とか、数年毎に、というのは再発と言っても上に書いた治療法でいいと思います。

ここで取り上げたいのは、完治した翌月にはもう再発しているような場合です。
治ったと思ったらすぐにかゆくなるので、毎月婦人科通いをしなければならない、こういう方の場合、まずは、かゆみの原因が本当にカンジダであるか、再検討します。かゆみにはカンジダの他、細菌感染やトリコモナス感染、ナプキンなどによるかぶれ、あるいは単なるむれではないかを診なおし、やはりカンジダの再発であれば内服の抗真菌剤を処方します。
再発を繰り返しやすい方は、直腸内や、肛門周囲にカンジダが多いのではないか、と言われており、内服の抗真菌剤で腸の中の真菌、つまりカンジダを除菌します。この場合、腸からの吸収があまりされないものを選び、当院ではジフルカン(フルコナゾールカプセル)を処方しています。
抗真菌剤、特にジフルカン、と言うと、医師の中では腎機能障害を起こしやすい、と記憶していますが、点滴で投与する場合はそうですが、内服では腸からの吸収が悪いため、心配は要りません。

市販薬にかゆみをとめる成分を主体としたものがありますが、かゆみを抑えて症状が良くなっても、カンジダや細菌感染が進行することが良くあり、受診時にはかなりひどい状態になっていることもあります。とりあえずかゆみ止めに使ってもいいと思いますが、早いうちに婦人科受診をして診断と治療を受けるべきだと思います。


・外来で予防接種をお受けになったり、ご質問が急増しています。
インフルエンザワクチン接種のご案内(2008年)
いよいよインフルエンザシーズン到来 〜インフルエンザとは? 新しい知見は?〜
ひらめきご参照ください。

・「第4回なちゅらるHappy Life教室 〜ハンドクリーム編」、まだ3名の定員の空きがあります。今回は、加那子医師やスタッフ、院長も出没?? ぜひ遊びにいらしてください!
 
さくらトリートメントのブログで紹介しているように、クリニックの待合室の香り、さくらトリートメントのスタッフがプロデュースしてくれています。たくさんの反響をいただいています。

さくらスタッフブログ、アクセスが増え、シーサーブログで10000位以内をキープするようになって来ました。
スタッフのとある休日」のアイテム、早くも院内にお目見えです。
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2008年10月28日

カンジダ腟炎(外陰腟カンジダ症) 〜感染経路と症状〜

婦人科外来診療で、おそらくもっともポピュラーで、診る機会の多い疾患です。
そのため、お問い合わせも多いので取り上げました。

カンジダ、とは、真菌(かび)の一種で、健康な身体でも常在菌として存在しています。特に、肛門周囲や直腸内には多いとされています。
たいてい湿度が高く、気温の高い、初夏から今くらいの秋口まで感染が多いですが、年間を通して、とも言えます。

健康な女性がカンジダに罹患して悩まされるのは、腟炎、外陰炎を起こして現れる「かゆみ」「おりもの」です。

かゆみは腟の入り口、を中心に、腟内、肛門に及ぶことがあります。時にかゆみは長期間に及び、外陰の皮膚が最初は赤みを帯び、長くなると掻いてしまうことにより皮膚の肥厚、白色を帯びてきます。この頃には治療も長期化する可能性があります。

おりものは「ぽろぽろとしたかすのような」「酒かすみたいな」と言う自覚が典型的ですが、細菌と混合感染すると必ずしもそうではなくなります。

罹りやすい方があります。妊婦さん、糖尿病患者さん、免疫抑制剤を使用している方、抗生物質使用後の方です。いずれも腟内の正常細菌叢が乱されるためです。

カンジダに罹ると、「性病ではないか(誰かから感染されたか)」「不潔にしていたからか」という質問を必ずと言っていいほどされますが、ともに「違います」と答えられます。上に書いたように、「健康な身体でも常在菌として存在」しているからです。
性病ではないのですが、パートナーも持っている可能性があるため、実際にはうつされている可能性もないとは言えず、パートナーの普通の石鹸洗浄で再発が防げることもあります。が、カンジダは性行為でしか感染しないSTIと異なります。名前が似ているためか、クラミジアと混同されていることも多いようです。

また稀ではありますし、重症化することはほとんどないのですが、妊婦さんが罹ると赤ちゃんへの感染もあり得ます。産道で分娩時に感染すると考えられていますが、赤ちゃんの重症化は本当に少なく、簡単な薬物療法で治りますので、心配は要らないと思います。

次回、治療と再発予防について書きたいと思います。


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2008年10月14日

卵巣出血

コメントを書いていただいた、「卵巣出血」について書きます。

卵巣出血は、その名の通り、卵巣から出血をする病態で、月経期の中で排卵後、すなわち「黄体期」に出血することが圧倒的に多く、「黄体出血」とも呼ばれます。しかし黄体期のみに起こるわけではなく、排卵期、卵胞期の順で、月経周期のどの時期でも起こりえます。

排卵した卵胞は、「黄体」化しますが、黄体の形はさまざまで、内部に出血を含んだ「黄体血腫」となることもあります。それは時に8cmくらいに腫大することもあり、それだけで痛みを起こすことがあります。

卵巣出血となるのは、主に性交後が多く、性交の刺激により黄体から出血を来たします。お腹の中にある臓器、卵巣からの出血は、出血している血管を抑えられることが無いため、出血が持続します。
お腹の中にたまった出血は、腹膜を刺激し、このため腹痛の原因となります。

痛みの程度はさまざまですが、救急車で受診するほど痛みが強いことがあります。ほとんどが安静を保つことで止血にいたり、出血が増えないことが確認されれば安心ですが、時々その出血が止まらないため、緊急手術で出血点を止めなければならなかったり、止まりにくくなっていると卵巣摘出の可能性もあります。また出血量によっては輸血をしなければなりません。

時々卵巣出血を繰り返す方があり、その場合には血液の凝固機能を調べ、出血傾向が無いか確認します。

予防法はこれといってなく、黄体期に性交渉を避けることがもっとも頻度を減らすことができますが、おそらくこの時期の性交渉のうち、卵巣出血となってしまう場合はごくわずかで、また黄体期以外、さらに性交渉が無くても起こることがあるため、有効な手立ては無い、と言えます。

いずれにしても、おかしいな、と思ったら、早いうちに受診することをお勧めします。


この記事の掲載に伴い、子宮内膜症のコンテンツトップにいただいたコメントを、勝手ながらこちらに移動させていただきます。コメントありがとうございます。


さくらトリートメントのブログで、好評の「第4回 なちゅらるHappy Life教室」のお知らせです。今回も定員到達必至ですので、お早めにどうぞ。


さくらスタッフブログ、アクセスが増え、シーサーブログで10000位以内をキープするようになって来ました。
9月に行われたアロマ教室、ナチュラルリキッドソープ作りについてのリポート」是非お読みください!
posted by 桜井明弘 at 23:51| Comment(6) | TrackBack(0) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月02日

妊婦さんにもシートベルト

自動車に乗ったときにシートベルト、は、6月から道路交通法が改正され、後部座席にも適応、また大型のバスでも全座席での着用が義務付けられました。

先日の報道で、これまで腹部を圧迫するため対象外とされていた、妊婦さんのシートベルト着用義務が、日本産科婦人科学会や研究者により、むしろ胎児への安全を考えると着用すべきである、という考え方に変わってきました。

腹部が圧迫するシートベルトは、妊娠中は苦しかったりしますので、横のベルトは子宮の下、腰骨の辺りに通し、また斜めのベルトも腹部を避けるように着用するようです。

罰則規定はない、とのことですが、万一の事故に備えて、お母さんと赤ちゃんの安全を守るため、着用をお勧めします。

(2008年9月11日 読売新聞を参考に)


メディカルモール・たまプラーザのブログが始動しました!
このブログの右上「リンク集」にもすでに入っています。お気づきの方もいらっしゃいましたか? 一口違った切り口で、メディカルモール・たまプラーザを紹介しています。もう書かないで〜、といった声が続出!?

さくらトリートメントのブログができました!
こちらもすでにさくらのHPにリンクボタンができていたので、ご存知の方もありましたね?
第二回モニター募集」受け付けています。

ねむの木ブログ
には、さくらで咲いた「合歓木の花」が可愛らしげに写っています。残念ながら咲いている期間が短く、今年はもう見られません。また来年、愛でて下さい。

さくらスタッフブログ、アクセスが増え、シーサーブログで10000位以内をキープするようになって来ました。
イエローリボン」をご存知ですか?
posted by 桜井明弘 at 23:57| Comment(2) | TrackBack(1) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月07日

「骨盤うっ血症候群」と慢性骨盤痛 

慢性骨盤痛とは、月経時以外にも下腹部の痛みがある状態を指します。
基本的には、排卵痛や月経痛を除く、月経周期と関係のない痛みです。
痛みの程度はさまざまですが、月経周期と関係がないだけに、いつその痛みが来るのか予想ができず、その分厄介な症状といえます。

原因として、炎症性・癒着性疾患が第一に挙げられます。
子宮内膜症クラミジア感染、術後癒着など、何かしらの炎症が起こっている場合、そして炎症の結果として形成される癒着による臓器間の引きつれが痛みの原因となります。
いずれにおいても慢性骨盤痛を来たした場合は、その疾患が重症化してるといえます。

しかしこれらの疾患がなくても慢性骨盤痛を来たすこともあります。

最近よく言われるのが卵巣静脈拡張で、卵巣から大動脈に血液が戻る卵巣静脈が拡張していることで見つかります。骨盤内臓器のうっ血を来たし、そのために痛みを生じると考えられています。この状態を「骨盤うっ血症候群」と呼びます。

超音波検査でも卵巣静脈が拡張している所見をしばしば目にしますし、手術の際にもよく経験しますが、難しいのは静脈の太さは個人差が大きく、拡張しているからといって必ずしも痛みを生じるというものではありません。
血管の太さはMRIでも確認できます。

慢性骨盤痛は、対症療法として鎮痛剤、原疾患に対する治療法として手術的に癒着を剥離する手術もありますが、上に上げた子宮内膜症、クラミジア感染、術後癒着を診察室で診断できないことも多く、骨盤内の状態を確認する目的に手術を行い、その際に癒着を剥離する、といった流れで手術になることもあります。拡張した卵巣静脈をしばる手術を報告しているのを、学会でもみました。
骨盤うっ血症候群では漢方療法が効果的なことがあるそうです。桂枝伏苓丸(けいしぶくりょうがん)が用いられることがあります。

ただ漢方療法の性質から言って、短期間の内服で改善することは困難で、患者さんのお話ではすぐに効果は出たけれども1ヶ月くらいの内服後、やはり症状が再発してきた、とおっしゃってました。

なかなかやっかいな病態なのですが、鎮痛剤以外には手術しかない、といわれていた慢性骨盤痛に「漢方療法」も選択肢に加えることができます。
posted by 桜井明弘 at 23:52| Comment(0) | TrackBack(1) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月06日

コーヒーの摂取量と子宮体がん抑制

子宮体がん:コーヒー毎日1〜2杯で、発症率4割減少

 新聞などでご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
コーヒーを飲む量に比例して子宮体がんの発症率が低下する、という厚生労働省研究班の報告です。
 9府県の40〜69歳の女性約5万4000人を05年まで追跡調査したもので、約15年間に117人が子宮体がんを発症したそうです。ここで子宮体がんの発症率を計算すると0.2%。15年で0.2%の発症率です。
発症率の低い疾患ながらも対象者が大変多い調査で、統計の取り方に誤りがなければ、このデータは科学的根拠あり、と判段できます。

 以下上記サイトから引用。「コーヒー摂取量と発症率との関係を調べると、コーヒーを毎日1〜2杯飲むグループは、週2日以下しか飲まないグループに比べ、子宮体がんの発症率は4割少なかった。毎日3杯以上飲むグループは6割も少なかった。緑茶の摂取量も調べたが、発症率に関連はみられなかった」
子宮体がんの増加は食生活、生活スタイルの欧米化、が原因ともされていますが、コーヒーを飲むと発症率が下がる、とは意外でした。

 「子宮体がんは、女性ホルモン「エストロゲン」や血糖値を調節する「インスリン」との関連が指摘されて」いますが、「コーヒーを飲むと、エストロゲンやインスリンの濃度が下がることが知られている」そうです。子宮体がんはエストロゲン依存性、といってエストロゲンの分泌が多いほどリスクが高く、逆に抗エストロゲン療法が子宮体がんの治療に用いられるほどです。インスリン分泌が異常な方でエストロゲンが高い病態(多嚢胞性卵巣)も知られていますので確かにインスリンも関係がありそうです。

乳がんも同じくエストロゲン依存のことが多く、乳がん発症に関してはどうなんだろう、と疑問を感じました。

子宮体がんにならないためにコーヒーをたくさん飲みましょう、といったキャンペーンにはならないと思いますが、興味深い調査結果だったと思います。
コーヒーの摂り過ぎで胃を荒らしたりもしますから、くれぐれも過剰摂取には気をつけましょう。


・関連記事一部修正
9月はがん征圧月間 〜がん検診でがん撲滅を!〜
今年も9月はがん征圧月間です。


さくらトリートメントの竹本さんのブログ「ねむの木便り 〜新宿御苑より愛をこめて〜」にさくらトリートメントの新しいスタッフ、Fさんのことが...

さくらスタッフブログ、検診体験記シリーズ、連載しています。
行ってきました! 〜乳ガン検診〜」(続編あり
行ってきました! 〜経鼻内視鏡〜」(続編あり)
posted by 桜井明弘 at 00:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月20日

ガードネラ菌

「ガードネラ菌」という細菌(ばい菌)の名前を耳にしたことがありますか?

正式名称はGardnella vaginalisといい、「細菌性腟症」の原因菌とされています。
細菌性腟症、よく婦人科におりものの異常でかかると診断される、「細菌性腟炎」とは厳密には異なり、気になる強い帯下のにおいがあります。さらに困ったことに、流産や早産と密接な関係があります。

腟炎は子宮頚部の炎症、頚管炎を併発しやすいです。子宮頚管は腟の一番奥にありますから。細菌を原因とする炎症が起こると好中球と言う白血球がその部位に集まります。好中球は細菌を駆除する際にエラスターゼと言う蛋白酵素を分泌します。頚管炎が起こると、頚管に「好中球エラスターゼ」が豊富に分泌され、これが子宮収縮を引き起こしたり、卵膜を弱くします。このため、腟炎から早産や前期破水が起こるのです。

ガードネラ菌は細菌性腟症の原因の多くを占めるとされ、妊娠中や妊娠前に見つかった場合、腟錠を主とした抗生物質治療を行います。おりものが気になる方、これから妊娠を考える方、妊娠初期の方に腟分泌物培養検査を行いますので、お気軽にご相談ください。
posted by 桜井明弘 at 01:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月11日

卵巣機能異常の概念

卵巣機能不全や排卵障害が理解されにくいのは、原因疾患と病態、症状がごちゃ混ぜにされやすいためです。これは産婦人科医の中でもよくあります。

卵巣機能障害の症状、原因は多岐にわたりますが、卵巣機能障害の程度は以下のようになります。またこの程度の違いを理解することが卵巣機能不全の理解につながります。

正常⇔黄体機能不全⇔無排卵⇔無月経

一概に卵巣機能不全といっても上記の黄体機能不全から無月経まで程度が異なり、右に行くほど重症度が高いです。
たとえば症状として、不正性器出血がありますが、黄体機能不全であれば黄体期(高温期)の不正出血が、無排卵であれば排卵が遅れることによる不正出血や、一見月経と間違える、数ヵ月ごとの出血が見られることがあります。

これらの病態を把握しておくことは重要です。卵巣機能の改善や増悪もおおよそこの順に治っていく、または悪くなっていく傾向があるからです。
たとえば無排卵に対する治療として有名な排卵誘発剤、クロミッドを使ったとします。無排卵は改善でき、全くの正常になることもありますが、黄体機能不全が残ることもよくあります。
ですから我々も、患者さんも今回の周期がどのような状態にあるのか、どこまで改善されているのか、把握することが病態と治療の理解につながることになるのです。


関連記事補筆修正
排卵障害・卵巣機能不全


産婦人科クリニック さくら のブログ、カテゴリ(左欄)、リンク(右欄)に卵巣機能不全・排卵障害を加えました。
 ご好評により、アクセスしやすいように追加しましたのでどうぞクリックしてください。


・さくらトリートメントの竹本さんのブログでもお知らせされているように、「第2回アロマテラピー講習会のお知らせ」が行われます。
第1回は大変ご好評をいただき、第2回目の開催の運びとなりました。
院長の私も時間を調整してぜひ参加したいと思っています。
まだ参加受付中です。定員に達し次第締め切らせていただきますので、お早めにご連絡ください。


産婦人科クリニック さくら スタッフブログ、連載中です。
現在ご好評いただき継続連載しているのは「健康維持 Q&A」です。この季節によくいただくご質問にお答えする形で書いています。
posted by 桜井明弘 at 00:42| Comment(0) | TrackBack(2) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月26日

緊急避妊

最近「緊急避妊」、「(モーニング・)アフターピル」と認知されるようになった避妊方法です。

理想的な避妊方法は、コンドームを正しく装着、とか、低容量ピル(OC)を内服する、子宮内に避妊用のリング(IUS、IUD)を装着する、といった方法ですが、運悪く避妊に失敗してしまった場合に、「緊急避妊」として治療を行うことがあります。

方法は2種類あり、避妊に失敗した後、72時間以内であれば、簡便な中容量ピルの内服で行うことができます。
中容量ピルは、避妊効果からすると国内で使用できる薬剤の中では、「プラノバール」が最も理想的、とされています。プラノバールを2錠内服、さらに12時間後に2錠内服する方法です。
ただ、プラノバールは比較的嘔気の強い中容量ピルで、副作用として吐いてしまうと、薬も同時に吐き出されてしまう恐れがあります。

緊急避妊効果は、ピルにより一過性に高エストロゲン・高プロゲステロンの状態になるためで、これにより排卵を抑制する、内膜への着床を妨げる、とされていますが、詳しい機序は不明なところがあります。
もちろん、避妊効果は100%ではなく、約10%ほどの妊娠が認められるといわれていますが、私はもう少し妊娠率は高い、と感じています。統計学的に信頼性が低いデータで語られていると思います。
またその一過性の高エストロゲン・高プロゲステロン状態のため、服用後不正出血があったり、次の予定の月経が早まる、または遅れる、といった月経の不順が起こる可能性があります。
内服後、2週間しても月経がない、あるいは通常と異なる少量の出血しかない、といった場合は、妊娠反応をチェックしましょう。
とはいえ、妊娠を望んでいない場合は、内服だけすれば妊娠を避けられるのですから、簡便な方法、といえます。
産婦人科クリニック さくらでは、緊急避妊目的の来院で、他に検査や処方がない場合、診察料と処方箋料、薬品代で、計5000円のご負担が生じます。

もう一つの緊急避妊はIUS(子宮内避妊リング)によるものです。IUSについては、以前触れました。中容量ピルの緊急避妊が、避妊失敗後、72時間という有効な期限があるのに対し、IUSの挿入は受精卵の子宮内膜への着床を妨げるため、72時間を過ぎた場合でもある程度の有効性が可能性としてあるためです。
ただし、IUSの開発は、本来緊急避妊を目的としていないため、その有効性について具体的なデータがあるわけではありません。それでも、受精卵の着床障害、という点では、理論的には効果のある方法だと思います。
このような経緯から、この方法を強くお勧めすることはできませんが、どうしてもお困りの場合は、よく外来で説明を聞いた上で、ご自身の判断で治療をお受けください。
posted by 桜井明弘 at 23:52| Comment(4) | TrackBack(0) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする