2012年6月頃から流行していた風疹(三日ばしか)の胎内感染による先天性風疹症候群(CRS)のお子さん45人のうち、11人が亡くなっていたと、国立感染症研究所などの調査で分かったそうです。
4ヶ月のお嬢さんを先天性風疹症候群で亡くされた女性のコメントも紹介されています。
グラフは2008年からの各月の横浜市内で報告された風疹患者さんの人数、流行のピークの時のグラフです。
当時院長も
TV朝日のスーパーJチャンネルのインタビューにお答えしまし、報道されました。
妊婦さんが妊娠16週までに風疹に罹ると、赤ちゃんに先天性風疹症候群が発症してしまう恐れがあることが知られています。
先天性風疹症候群は、生まれつきの聴覚障害や視力障害(先天性白内障)、心疾患などにより、複数の臓器に及ぶ病気や障がいがみられますが、上記の報道によると、肝臓や脳の障害を持つ場合もあるとのことです。
風疹、子どもの頃に罹った、あるいはワクチンを打ったから大丈夫、と思っていませんか?
産婦人科クリニックさくらで調査した結果、
妊娠をこれから考えている、または妊娠初期に検査をお受けになった昭和43年から平成元年生まれの女性、415名の方たちの風疹抗体価は、抗体があっても感染する可能性がある16倍以下、で実に22%の方、5人に1人以上が風疹に罹る可能性がありました。
残念ながら抗体は年齢を重ねるごとに低下し、中には子供の頃に感染したり、せっかく予防接種を受けたのに抗体がなくなっている方もあります。実際に当院でも上のお子さんを妊娠した時には抗体があったのに、次のお子さんを希望されている現在、既に感染してしまうレベルまで低下していた方もいらっしゃいました。
この調査結果は日本生殖医学会でも発表しました。
一方、男性は子どもの頃にワクチン接種をされていないため、ほとんどの方が抗体を持っていません。
これだけの感染の可能性がある女性がいて、当時の流行形式は30、40代の男性が罹患し、妊婦さんの感染のパターンは、ご主人からの感染がほとんどでした。
これはこれからも再度大流行が起こる可能性が現在もあると言うことになります。
現在も当院は
風疹だけでなく麻疹(はしか)、ムンプス(おたふく)、水痘(水ぼうそう)の抗体検査、必要に応じたワクチン接種を推奨しています。
横浜市の風疹助成も継続しています。
では、妊娠を考えている女性や妊娠初期の女性の周りのご主人達はどのように行動したらいいのでしょうか。
こちらの記事を是非ともお読み下さい。
当院では、
・奥様が妊娠中で16週未満の場合の男性と同居されているお子様、ご両親には風疹ワクチンを推奨します。
・不妊治療中、または今後妊娠を希望されている方には風疹などの抗体を測定の上、抗体価が低値である場合ワクチン接種をするか、最初からワクチンの接種をお勧めします。
・ただし、ワクチン接種後は、2ヶ月の避妊期間が必要です。
・また妊娠中の女性はワクチンは接種出来ません。
ワクチン接種したら2ヶ月避妊しなければならない、と言う点に抵抗のある方も少なくありません。
同じ様に避妊をしなければならないムンプスワクチンを接種し、
2ヶ月後に無事に妊娠された方の言葉を紹介した記事もあります。
また現在風疹が注目されていますが、麻疹(はしか)もワクチン接種を行われていない世代があり、また風疹と同様に抗体がなくなっている方もいらっしゃいます。
妊娠中に麻疹に感染した場合、流産や早産、死産率がとても高くなります。
風疹の抗体検査を行う場合、併せて麻疹抗体の測定もお勧めします。
ここまで風疹について紹介しましたが、現在助成を受けられる風疹と麻疹の混合ワクチン、MRワクチンは生産量が減少し、入荷にこれまでより時間がかかっていますので、ワクチン接種には予約して頂いたほうが確実です。
クリニックの受付、または電話で予約して下さい。
(初出:2013年3月15日)
(補筆修正:2016年6月28日)
(補筆修正:2017年2月3日)