2015年02月01日

思春期の月経痛と子宮内膜症

思春期に見られる婦人科のトラブル、前回は「思春期アスリートの無月経」について書きましたが、今回は月経痛(生理痛)と子宮内膜症の関係についてお話します。

子宮内膜症の3大症状は、月経痛、不妊、骨盤痛で、とりわけ月経痛のある方が多いです。
また反対に月経痛が強いと、子宮内膜症ではないか? と心配されることもあるほど、密接な関係があります。

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月経が来れば月経痛も当たり前。鎮痛剤でさえ思春期のお嬢さんに使うことをためらう方もいらっしゃいますし、ましてや婦人科受診など、早過ぎると思っていませんか?

月経痛=子宮内膜症、では決してありませんが、思春期に強い月経痛が見られる女性は、子宮内膜症のリスクが2.5倍高まる、という報告もあり、将来的な子宮内膜症発症予防のため、低用量ピル(LEP/OC)の服用を始めた方が良い、という意見もあります。

また、 若年性の月経痛は、成熟女性に比べて症状が一定せず(無排卵制出血も含まれているからかも知れません)、非周期性(月経期に限らない)、消化器症状が多い(腹痛、胃痛、嘔吐や下痢など)と言った特徴もあります。

一般的には20歳代後半から増加する子宮内膜症ですが、婦人科外来には20歳代前半以下の若い患者さんが通院しているのも決して珍しくはありませんし、この若い世代ほど婦人科受診をためらっているのであれば、潜在的な(婦人科医が把握できない)子宮内膜症患者さんは、もっと多いのではないでしょうか。

子宮内膜症は、上に挙げたように、月経痛や骨盤痛だけで無く、将来不妊の原因となる病気です。
治療可能な子宮内膜症ももちろん少なくありませんが、卵管機能が損なわれたり、卵巣機能が障害される(若いうちに閉経に近くなる)など、治療が出来ない状態になってしまった患者さんも少なくはありません。

妊娠を考える年齢以前に発見できていたら、数年前から治療が出来たらきっとそこまで進行しなかっただろうな、と思われる患者さんも、皆さんの想像を超えた人数、いらっしゃるのです。

また、頻度は決して高くはありませんが、子宮奇形も月経痛の原因となります。
子宮は臓器の中でも比較的生まれつきの異常を持っていることが多く、しかしながら他の異常がほとんど無いため一般的には気付かれません。
中でも手術を要するものもあります。やはり一度産婦人科での診察をお受けになることをお勧めします。
posted by 桜井明弘 at 18:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 思春期 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月15日

思春期アスリートの無月経

最近ニュースで取り上げられている、若い女性、特にスポーツに打ち込むアスリート達の無月経の問題、お母さまや顧問の先生方にも看過できない話題だと思います。

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今話題となっているのは、若き女性アスリートが成績を求めるあまりに無理なダイエットで減量した結果、急速に体脂肪が減少するため卵巣機能が低下、休止してしまう、と言った現象で、女性にとって重要なホルモン、エストロゲンの分泌が止まってしまい、骨量が減少、疲労骨折の原因となっている、と言うものです。

ややこしいので、まとめると、

ダイエット・減量

急速な体脂肪減少

卵巣機能の低下

エストロゲン分泌が減少

骨量減少

さらなるハードな練習

疲労骨折

となります。


無月経の状態が続くと練習にも差し支えないし、わずらわしさから解放される、と変な誤解から見過ごされたり、それを歓迎するかのような発言も聞かれます。

そして深刻な問題は、そのダイエットを止めてから、またアスリート生活が終わってからも長い間、彼女たちを苦しめるのです。

体重減少に伴う無月経は、体重を元に戻すこととホルモン療法が必要になります。
しかし、その他の原因による無月経と比べて、元に戻るまでに時間がかかり、なかなか上手く排卵しない、例えば妊娠を希望する年齢になっても妊娠が出来ない状態が長く続く可能性があるのです。


月経が来ない、は女性として正常な状態ではない、是非とも一度産婦人科を受診して、原因と治療を考えて頂きたいのです。

次回は、思春期以降の月経のトラブルを解説します。

posted by 桜井明弘 at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 思春期 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする