2013年01月13日

不妊症の原因 年齢因子

10年ほど前、我々が不妊治療を始めた頃と最近で、大きく変わったのが患者さん、女性の年齢が5歳から場合によっては10歳くらい高くなったことです。

何歳まで妊娠出来るか、不妊治療は何歳まで続けるべきか、出来るのか、外来でも日常でも、とても多く聞かれるようになりました。

ほとんどの施設で、様々な治療法のが出された物を概観して、おおよそ35歳を境に妊娠率の低下が見られます。34歳と35歳は大違い、という意味では無く、また、35歳以降、1年毎に徐々に妊娠率が低下するのです。
そしてそれは40歳位でかなり低値になり、また妊娠しても流産率が高くなり、43歳位からはほとんど妊娠が成立せず、高い流産率のため、出産に至る事がほとんどなくなります。

勿論全ての人にそれが当てはまる訳ではありません、と書くと、私は大丈夫だろう、と思ってしまうのが人間心理。私が書いているのは大多数の方ですから、大丈夫だろうと思った方のほとんどもこちらの大多数に含まれる可能性が高いのです。

実はこの記事は、これまで何度も書いては書き直してきたもので、私としてはある意味勇気の要る記事なのです。
しかしこれを書かざるを得ないのは、外来ではお一人おひとりに説明できても、その説明に限界があるためです。是非生殖医療(不妊治療)を受けている方も、これから受けようと考えている方も、今から赤ちゃんが欲しいと思っている方も、その基本的な事柄として理解していただきたいのです。

なぜ年齢により、妊娠率が低下、また流産率が向上するのでしょうか。

なかでも様々な因子があります。例えば、女性の年齢が高くなれば、パートナーの年齢も高くなるでしょう、男性因子も増えます。
このように女性だけの因子ではありませんが、年齢とともに、子宮筋腫や子宮内膜症のような不妊原因となる病気をもつ確率も累積され、やはり残念ですが女性因子の方が大きいと思われます。

タイミング法でも、人工授精でも、高度生殖医療である顕微授精を行っても、また筋腫や内膜症の手術後の成績をみても、この妊娠率がほとんど同様であることから、共通して言えるのは、女性の卵子の因子です。卵巣の機能です。

実際にこれが明らかになったのは、高度生殖医療のおかげです。
それまでも年齢が高くなると妊娠率が低下、流産率が上昇、は一般論として言われてきました。が、どうしてなのか、確証はなかったと思います。

高度生殖医療では、お預かりした卵子を顕微鏡下に観察する事ができます。この観察した所見を元に妊娠率がはじき出されると、どの様な卵子がいわゆる「良好胚」で、また良くない受精卵も分かって来ます。

まだ月経がある、とか排卵があるとかではなく、排卵される卵子が徐々に悪くなって来ます。
多くの患者さんを診てくると、30歳代前半までは毎周期良好胚が得られるのに対し、年齢とともに、良好でない卵子が排卵されてくる様です。

このシリーズでは、何故年齢とともに妊娠率や出産率が低くなるのか、それを解決する方法は、さらに現代の日本社会が包含している問題点を明らかにして行きたいと思います。

・年齢とともに現れる現象
 月経不順
 月経血量の減少
 基礎体温でわかる現象
  排卵日が早くなる(月経周期が短くなる)

  高温期が短くなる、高温期の不正出血
・婦人科の診察でわかる検査所見
 FSH値の上昇
 AMH(抗ミュラー管抗体)値の低下
・年齢因子と不妊症、妊娠率の低下。 〜なぜ妊娠しにくくなるの?〜
 「良い卵が排卵しなくなる」
 妊娠しても流産率が高くなる
・妊娠可能年齢は?
・それでも妊娠するための工夫
 高度生殖医療の試み
 DHEA
 漢方療法
・それでも妊娠を望みますか?
・女性が赤ちゃんを抱ける社会づくり
赤ちゃんを希望する全ての女性が赤ちゃんを授かることのできる社会づくり
全ての女性が子供を産める社会を
不妊症は現代病、そして社会が作り出した。今こそ社会変革を
少子化対策には、抜本的な社会改革、そして意識改革を。
 
以上のようなコンテンツでブログ記事を執筆していきたいと思います。
皆さんからもこのような話を書いて欲しい、と言ったご意見を頂戴できると嬉しく思います。
posted by 桜井明弘 at 21:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 生殖医療(不妊治療)一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月04日

排卵日が早くなる(月経周期が短くなる) 〜不妊症の原因 年齢因子〜

不妊症の原因 年齢因子」のシリーズです。

今回は年齢とともに現れる現象、特に基礎体温でわかる現象のうち、排卵日が早くなる、月経周期が短くなるについて書きます。

月経周期が全く順調な方も、早い方では30代後半から月経周期が早まってくることにお気づきではないでしょうか。
その年齢に達していない方でも、先輩の女性たちが「最近生理が早く来るのよね」などと語っている事を聞いたことはありませんか?

基礎体温をつけていると気付くのですが、月経とともに低温期になる、排卵すると高温期になりますが、高温期になるのが月経が終わって間もなく、と言う現象です。

何故年齢とともに排卵が早くなるのか、詳しくは分りませんが、通常月経とともに新しい排卵周期が始まりますが、実はその前の周期の高温期中期ころから次の周期に排卵する卵胞が選択されます。
卵巣の機能が正常なうちはやがて月経が訪れてから卵胞発育の刺激が始まり、やがて月経から14日ほどして排卵に至りますが、恐らく加齢とともにこの卵胞の刺激が月経前から始まるのではないでしょうか。

このため二つの妊娠しにくい現象がみられます。

まずは排卵日が早すぎるため、いつ排卵するのか、性交を持つべきか、さらに不妊治療も予想外の早さのためにうまくタイミングが取れないなど、が起こっています。

また、月経とともに赤ちゃんが着床する子宮内膜、これが月経で剥がされ、次の排卵までに新たに作られていきますが、作られる以前に排卵するために着床する機会が失われます。

この排卵が早い現象を食い止めることが妊娠率の向上につながるのか、そもそもこの早い排卵をどうやって改善できるのか、とても難しい課題です。
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2012年06月25日

全ての女性が子供を産める社会を。 〜不妊症の原因 年齢因子〜

前回記事の続編ですが、私が不妊診療に携わって、最も訴えたいことを書いていきます。

人が営む文化や社会、ここ10数年、数十年、100年くらいの単位で振り返ると、社会が豊かになり、個々人の社会における役割が大きく変革してきました。

大きく200年前はどうでしたか? 江戸時代、社会は表は男が営み、家庭や家族、子作りは女性の使命とされて来ました。

それから我々の世代に至るまで、何世代があったでしょうか。

生物の進化を紐解けば、10世代くらいの間に体質や人としての種のあり方に本質的な違いはありません。

皆さんのお母さん、お祖母さんの頃には何歳で子作りをしたのでしょうか。

お祖母さんの頃は、お嫁に行く歳は、初経が始まって間もなく。そしてすぐに子作りが始まったのです。

その頃の初経は遅かった。栄養状態が関係していました。そうすると10代、遅くとも20代には子供を造る営みが始まったのです。

一方で皆さん、現代女性が子作りに直面している状況はいかがでしょうか。

人によっては、仕事が順調になり、そろそろ結婚を考える年齢、子供を作ろうとする年齢、明らかにちがいがありませんか?

どうしてこうなってしまったのか、これからの方策は。

次回も
皆さんと共に考えて行きたいと思います。
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2012年06月23日

赤ちゃんを希望する全ての女性が赤ちゃんを授かることのできる社会づくり 〜不妊症の原因 年齢因子〜

本日のNHKスペシャル、「産みたいのに産めない 〜卵子老化の衝撃〜」、ご覧になりましたか?

私も朝、放映予定の情報を聞きつけ、Facebookでも情報拡散し、本日行った第22回高度生殖医療説明会でもご紹介しました。

この中で紹介された医療機関のアンケート調査、産婦人科クリニック さくらもアンケートに答えています。

さて、ご覧になった感想はいかがでしょうか。是非皆さんのご意見をお聞きしたいと思っています。

同じNHKの2/14のクローズアップ現代の続編とも言うべき今回の放映、私が一番心に残り、普段から何度も主張して来ている卵巣因子による不妊症の一因は社会被害だ、と言う点、とても共感できました。

あまり過激に書くと女性蔑視だと叱られてしまいそうですが、この記事のコンテンツトップページにも書いたように、不妊外来に訪れる患者さんの年齢が明らかに上昇しています。それもここ10年くらいの間に急激に。

奇しくもその頃から男女雇用均等が叫ばれ、女性の社会進出が本格化。
ここまでは女性にも門戸が開かれて新たな社会づくり、と言う点は評価されるべきだと思います。

しかし、社会が成熟し、女性も社会で活躍できるようになっても、人として、動物として妊娠できる能力が変化するわけではありません。

わが日本社会はこの点に目を瞑って女性の雇用を推進してきたのです。

どうしてそうなってしまったのか、また日本はどうあるべきか、続きはまた次回以降書いていきたいと思います。
posted by 桜井明弘 at 23:37| Comment(4) | TrackBack(0) | 生殖医療(不妊治療)一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月25日

誘発剤と人工授精「効果なし」

読売新聞の健康欄に記事が出ていました。
英国医学雑誌に投稿された論文を紹介し、明らかな異常がない場合の排卵誘発剤や人工授精は、それを用いない、行わなかった場合と比べて妊娠率の向上が見られない、というものです。

以前にブログでも「不妊治療のステップアップ 〜原因不明不妊〜」で触れましたが、正常排卵を有する(排卵遅延もない)正常月経周期の方にクロミッドなど排卵誘発剤を使う、精液の所見が正常でフーナーテストでも異常がない場合に人工授精を行う、といったステップアップに疑問が投げかけられていますが、改めてこの点を明確に成績に出したようです。

産婦人科クリニック さくらでも、原因が明らかではないにもかかわらず妊娠にいたらない、原因不明不妊である場合、数周期の治療の後にステップアップを呈示することがあります。「排卵誘発剤を使ってみますか?」「人工授精を行ってみますか?」のようにお話します。上記の論文にあるように妊娠率が格段に向上するわけではありませんが、方法を変えるととたんに妊娠できる方もやはり少なくありません。
よってわれわれは、方法の選択肢の一つとして呈示します。選択するのは患者さんである皆さんですし、その選択をお二人の価値観を尊重しつつサポートいたしますので、何なりと遠慮なくご質問ください。
posted by 桜井明弘 at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 生殖医療(不妊治療)一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月24日

AIH(人工授精)料金の変更をお知らせします。

現在行っている一般生殖医療の人工授精(AIH)ですが、院内のコスト削減を行うことにより、2009年10月より以下の料金に変更しています。

旧料金
約16,600円(外税)(周期により異なることもありました)

新料金
15,000円(税込15,750円)
この料金には精液検査、治療後の抗生剤が含まれています。
尚、当院で御主人の精液検査が未施行である場合、検査料金が別途必要になることがあります。

料金が変更になっても、これまでどおり妊娠率の向上に努めて行きたいと思います。治療を受けている患者さんの一助になれば、と今回の変更を決定しました。
ラベル:AIH 人工授精
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2011年05月22日

受精方法 〜一般生殖医療・高度生殖医療〜 (2011年5月8日一部修正)

生殖医療のもっとも大きなポイントは、いうまでもなく「排卵に合わせて受精させる」ことです。基本的なことですが受精方法は、大きく以下の3つに分けることができます。

1.タイミング法
通常の性交渉による受精法です。

2.人工授精(AIH)(IUI)
ご主人の精子を人工授精用の柔らかいチューブで子宮に注入する方法です。できるだけ多数の運動精子、特に高速直進運動精子を、人工的に子宮腔内に到達させることが目的で、運動精子100万個を回収できれば妊娠する可能性があります。そのため、精液を処理し、元気な精子を集めて注入する精子洗浄濃縮法を行います。
治療周期あたりの妊娠率は全国的に5〜8%です。院長の前任施設でも8%を超えていました。AIHで妊娠する8〜9割の方が5〜6周期までに妊娠されます。人工授精そのものは強い痛みや出血はほとんどなく、外来で短時間に繰り返し受けられます。また、費用は自費診療になりますが、当院では、1回あたり1万5千円(税込15,750円)でこの料金には精液検査、治療後の抗生剤が含まれています。
尚、当院で御主人の精液検査が未施行である場合、検査料金が別途必要になることがあります。

3.高度生殖医療(体外受精、顕微授精)
卵管性不妊や原因不明不妊、男性不妊が主な対象です。
受精する場所である卵管の閉塞や卵管摘出術後、また明らかな不妊原因がないもののタイミング法で妊娠しない場合、さらに精子減少症などで行われます。詳しくは今後執筆します。


関連記事
・デッドリンクになっていました。本日修正しました。
不妊治療のステップアップ 〜原因不明不妊〜
posted by 桜井明弘 at 23:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 生殖医療(不妊治療)一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月02日

東急セミナーBE 〜医師に聞くシリーズ〜

10/1、横浜市青葉区周辺の新聞折り込みに入っていたので、ご存知の方も多いかと思います。

10月7日にオープンする、たまプラーザテラスゲートプラザに、東急セミナーBE、カルチャースクールが入りますが、そのこけら落としの講座に、我々メディカルモールたまプラーザの面々が
image-20101002232258.png
相次いで登場します。

今なら入会金無料キャンペーンだそうです。

私は「赤ちゃんを授かるまでの道 〜不妊治療の基礎知識〜」と題し、妊娠を考えている皆さんを対象に、どうして妊娠しないのか、どうしたらいいのか、不妊治療とは、またいつ妊娠を考えたらいいのか、についてお話します。

フランクにディスカッション出来るようにしたいと思っています。
是非皆さんのご参加をお待ちしております。
posted by 桜井明弘 at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 生殖医療(不妊治療)一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月23日

「第2回日本不妊予防フォーラム」と「第6回日本生殖医療心理カウンセリング学会・学術集会」に参加して

大阪で17日に日本不妊予防協会の「第2回日本不妊予防フォーラム」と、翌18日に日本生殖医療心理カウンセリング学会の「第6回日本生殖医療心理カウンセリング学会・学術集会」が行われ、スタッフとともに参加しました。

日本不妊予防フォーラムでは、食事や生活習慣に基づく、不妊予防、妊娠しやすい身体作りが紹介されました。

特に印象に残ったのは、われわれが日々口にする食生活。高脂質、高カロリー、外食が当たり前の現代で、本来生まれ育った地方に伝わる食材、調理法、メニューがもっともその人の身体に合った食習慣である、というものです。
これは不妊に限りませんが、何十、何百という世代、脈々と生活習慣、食生活は、ほとんど変わらず我々の祖先から受け継がれたものです。当然私たちの身体に適合しているはずです。現代社会の生活習慣、口にしている食事、これは戦後の米国文化の流入により、劇的に変化しています。

例えば国内で最も長寿県として知られる沖縄県も、平均寿命が長い世代は、60歳以上。それ以下の世代では、むしろ他県よりも短い傾向があるそうです。
それ以下の世代は、米国統治下で米国文化が本土よりも急激に広まった影響を受けているのではないか、と推測できます。

食生活で不妊が治る、は極論しすぎていると思いますが、もう一度生活習慣、食文化を見直す機会になりました。


18日(日曜日)に行われた第6回日本生殖医療心理カウンセリング学会・学術集会では、セックスレスの問題や、新しい栄養療法、また一般演題では他施設の不妊カウンセリングの現状を聞くことができ、参考になりました。

当院で診療している不妊カップルの中にも、少なからず性交障害がある場合があり、日本人におけるセックスレスは根が深く、社会構造に起因している部分が大きいように思われます。

栄養療法は、新宿溝口クリニック院長の溝口先生がご講演され、上に書いた前日の食生活に関する話題とともに、現代人が抱える意外な盲点である栄養失調が指摘され、大変興味深い内容でした。先生が主催される勉強会もあるようなので、一度参加し、当院での診療にフィードバックさせたいと思います。

産婦人科クリニック さくらも今年2周年を迎えます。開業当初より構想してきた不妊カウンセリングをどのように導入するか、考えています。


産婦人科クリニック さくら、スタッフブログ、ご覧頂いてると思いますが、右の欄の「カテゴリ」に、これまでの記事を整理しました。数えてみるともうすでに150以上の記事を書いており、院長ブログ360もいつしか抜かれてしまうかな、なんて思ってます。
ご活用ください。
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2008年12月16日

排卵誘発剤、フォリスチムの自己投与が可能になりました。

生殖医療に用いている注射の排卵誘発剤、FSH製剤のフォリスチムの自己投与が可能になりました。

10月10日、新しいペンカートリッジタイプの製剤、フォリスチムペンが発売され、投与する液量が一段と減らせて、また注射器に吸引する手間もなく、より簡便にご使用いただけます。

フォリスチムペンは、
・ペンタイプのカートリッジ
・薬液の入ったカートリッジ
・注射針(29G)
・消毒用アルコール
・注射部位に貼るテープ
をセットにしてお渡しします。

また、投与に先立ち、投与方法を詳しく説明し、パンフレット、DVDをお渡しし、実際にクリニックでご指導します。

この治療により、連日注射のために通院しなければならないことから解放され、通院の手間が省けます。

詳しくは受診の際にお問い合わせください。


・さくらトリートメントの竹本さんの「ねむの木」ブログさくらトリートメントブログで、クリスマスプレゼント、紹介しています。

・さくらスタッフブログの「健康記事Q&A 〜おいしい食材〜」は白菜の紹介です。
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2008年08月12日

卵管因子(卵管性不妊)の治療

卵管因子の治療は二つです。

高度生殖医療(体外受精)
・ 腹腔鏡下手術

もちろん卵管性不妊は、その状態により絶対に妊娠しない、という因子ではありません。つまり相対不妊のため、自然妊娠ができないとは限りません。

主に卵管周囲に形成された癒着性の組織が卵管障害をもたらしますが、体外受精は卵管を経由しない、卵管で起こる受精を体外で行う方法で、本来卵管切除後の患者さんに行う不妊治療法でした。
現在でも原因不明不妊や男性因子による高度生殖医療よりも、卵管因子のほうがおおむね妊娠率が高いです。

腹腔鏡下手術は子宮や卵巣の疾患に対して行われる、低侵襲の身体に優しい手術法ですが、卵管の病気に対しても治療の適応があります。むしろ開腹手術よりも手術野を拡大して見ることができ、また微細な手術手技を用いることができるため、卵管の治療は腹腔鏡が適している、とも言えます。
卵管の病気、当初は子宮外妊娠に対して行われた卵管切除術、そして卵管を温存する卵管線状切開術、卵管周囲の癒着を剥離したり、卵管采を形成する術式が行われています。

卵管因子の患者さんに腹腔鏡を行う場合、卵管をきれいにする、元通りにする、という目的で行うわけですが、手術で目的を果たせる場合と、卵管周囲の癒着が重い場合、手術で完全にきれいにすることができないことがあります。やわらかい腸が癒着していたり、癒着がひどく卵管が元に戻せないことがあるのです。また手術後に術後癒着を形成することもあります。
よって卵管因子で腹腔鏡を行っても、残念ながら治療効果が無いこともあるのです。難しいのは、術前の検査、内診や超音波、クラミジア抗体子宮内膜症の腫瘍マーカー、CA125などの血液検査で、あらかじめ癒着の程度を予測はできるものの、最終的には手術をして卵管の状態を診る、手術をする、術後の経過を追跡することで、はじめて手術を行った価値が評価できます。

手術を行うことへの抵抗や麻酔への不安、入院の可否もありますし、妊娠に対する価値観を考慮しながら、治療の方針を相談して決めています。


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2008年08月11日

卵管因子(卵管性不妊)の原因

卵管因子、卵管性不妊の原因は、大きく3つあります。

(1) 感染による炎症
(2) 子宮内膜症
(3) 術後癒着

(1)の感染、様々な原因菌がありますが、最も多いのがクラミジア感染です。他に淋菌や一般細菌によるものがありますが、これらでは骨盤腹膜炎、骨盤内感染、PIDと呼ばれる症状を引き起こすことが多いです。
PIDは、発熱を伴う下腹痛があり、よく内科的な腹痛と間違われることがあります。クラミジアでもPIDを起こすことがありますが一般的には軽度で、また感染しても無症状のことがよくあります。
いずれの感染でも、感染により炎症が引き起こされ、その結果卵管や卵巣が癒着し、さらに子宮や腸に癒着していることがあります。

(2) の子宮内膜症による卵管因子は、子宮内膜症が炎症を起こすこと、それによる不妊症はすでに触れましたのでリンク先を参照してください。

(3)の術後癒着ですが、主には子宮や卵巣などの骨盤内臓器、子宮筋腫核出術や卵巣のう腫摘出術、帝王切開など、他には虫垂炎、鼠径(そけい)ヘルニアなどがあります。
術後癒着は必ず起こるものではありません。全く癒着が無い場合も、ひどい癒着が起こっていることもあります。開腹手術で強く、腹腔鏡下手術では軽い、またアレルギー体質の方に強く起こる傾向があります。
我々は術後の癒着を来たさないよう、手術終了時にインターシードなどの癒着防止剤を使うことが多く、これは完全に癒着を防げるわけではありませんが使わない場合に比べて明らかに癒着は軽くなります。


*関連記事補筆修正
子宮内膜症の病態 〜「炎症」と「癒着」〜


さくらトリートメントの竹本さんのブログ、また今日も美味しそうな写真が載ってます。
暑い日はこれもいいなあ!

産婦人科クリニック さくら スタッフブログ、連載中です。
癒しアロマ2」ではさくらトリートメントの橘さんお手製のリキッドソープを案内してます。またまたクリニックの新しいアイテムです。

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2008年08月10日

卵管因子(卵管性不妊)の病態

様々な不妊因子の中で、卵管に原因があるものを「卵管因子」と呼び、卵管因子による不妊を卵管性不妊と呼びます。

卵管因子は、卵管閉塞、卵管周囲癒着に大きく分けられますが、卵管閉塞の原因が卵管周囲癒着であることが多く、厳密に分けないで考えることもできます。

卵管は妊娠にとって欠かせない場所です。
腟内に射精された精子が子宮内をのぼり、卵管を通過し、卵管膨大部に至ります。排卵された卵子は卵管采から卵管内に取り込まれ(Pick Up)、卵管膨大部に至ります。この卵管膨大部で卵子と精子が出会い、受精が起こる、その受精卵が赤ちゃんになるわけです。

つまり精子側からも、卵子側からも卵管は最低限、通っていないと妊娠は成立しないのです。卵管閉塞が、絶対不妊である理由です。

卵管は通っているものの、卵管の周りに癒着した組織が形成されている場合、卵管の通過性は劣ります。また卵子を取り込む卵管采が障害を受けている場合も同様です。ただし、卵管が通っている卵管周囲癒着では、妊娠できることもあります。この場合、絶対不妊ではなく、相対不妊、妊娠しにくい状態、といえます。

卵管因子の原因、治療法は別に書きますが、もうひとつ知っておきたいのが、卵管周囲癒着がある場合、妊娠に至っても子宮外妊娠が起こる恐れがあります。

卵管膨大部で受精した卵は、1細胞が2細胞に、2細胞が4細胞に、というように細胞数を2倍ずつに増やしながら卵管内を子宮に向かって移送されます。
やがて5日ほど後、胚盤胞と呼ばれる状態に至り、子宮に着床します。

卵管周囲癒着は、この受精卵の移送を妨げる可能性があります。つまり移送障害のため、途中で卵が胚盤胞になり卵管に着床してしまうのです。これが卵管妊娠、子宮外妊娠の中で最も多く見られる形です。妊娠反応が陽性に確認されても子宮内に着床したのを確認する、つまり子宮内に胎のうが見られるまでは、慎重に診察を要します。
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2008年08月09日

クラミジア抗体検査

リクエストいただいたので、今日からクラミジア感染と卵管性不妊(卵管因子)について書きたいと思います。
クラミジア感染症について、またクラミジアの抗原検査についてはこれまで書いてきました。

今日はクラミジア抗体、このあと卵管因子シリーズ、
卵管因子の病態
卵管因子(卵管性不妊)の原因
卵管因子の治療
を書いていきます。


クラミジア感染が卵管の周囲に炎症を起こし、不妊症の原因(卵管因子)となったり、下腹部痛の原因になる、ということは既にお話しました。

最近の世田谷区報に「STIの増加に注意」として、特にクラミジア感染が増加している、という記事が載っていました。
STI、これまではSTDと呼ばれ、いわゆる性行為感染症、性病のことです。

区報の記事でショッキングな一文がありました、「クラミジア感染によりエイズ感染が増加する」というものです。一見同じ性行為で感染する病気とはいえ、クラミジアに感染したからといって、HIVに? と思いますが、クラミジア感染を来たした場合に免疫力が低下し、他の感染症にも罹りやすくなるということがあるそうです。

クラミジア感染の検査には、クラミジア抗原検査、抗体検査があります。
抗原検査は子宮頚がん検診と同じように、子宮の出口、頚管を綿棒でぬぐい、ここにクラミジアが存在するのか診ます。結果が出るまで1週間弱の時間がかかります。
抗体検査は血液検査です。抗体とは血液中のタンパクの一種で、クラミジア感染が起こると少し時間を置いてから産生されます。

クラミジアの場合、抗体はIgA、IgGという2種のタンパクを測定します。
これらの検査値の解釈については以前から色々と言われてきましたが、私の印象では感染直後はどちらも陰性、少しするとIgAが陽性に、またもう少しするとIgGも陽性に。治療が施されるとやがてIgAが陰性化し、最後にIgGが陰性化します。この陽性化、陰性化の時間、期間は一概には言えません。理由の一つは、感染の機会が特定できないためです。
経験的にはIgGの陰性化は10年近くかかるように思います。

また単に陽性、陰性を診るだけでなく、抗体価の値の高さは感染の強さをある程度反映するようです。

このように血液検査で抗体を診る事で役立つのは、「今までの感染の有無」「感染の強さ」が、上に書いた卵管の障害とある程度相関関係にあることです。
「クラミジアの既往感染があったとしても、必ずしも卵管が障害されているとは限らない」
「卵管や卵巣の周りに癒着が形成されていても、絶対に妊娠しないわけではない」
のですが、他の不妊因子に異常が無く、数周期の治療を行っても妊娠にならない場合、やはり不妊原因に卵管因子が関わっている、と予測されます。

卵管因子の克服は、腹腔鏡下手術による治療か体外受精などの高度生殖医療しかありません。
前者では治療が可能な場合、治療できたけど再度癒着してしまう場合、治療が全く不可能である場合もあります。これはまた後ほど書こうと思います。


さくらトリートメントの竹本さんのブログ、なんとも美味しそうな映像とともに「夏野菜でむくみ予防」載ってます。
暑い毎日、これで乗り切りましょう!

産婦人科クリニック さくら スタッフブログ、連載中です。
健康維持 〜紫外線最終回〜」も、夏を乗り切るコツが載っています。
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2008年05月13日

性交障害にシアリスを処方しています。

性交障害について、当院ではシアリスの処方を行っています。

性交障害の対策の図を示します。
性交障害.jpg.jpg

シアリスはED治療薬ですが、「性交障害」に対して処方も可能です。「シアリス」はこれまでのED治療薬と異なり、薬の持続時間が36時間、と圧倒的に延長しました。

性交障害、射精障害について、また対策法について産婦人科クリニックさくらのHPのブログ記事に更新しました。
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2008年02月24日

LHとhCG

LHとhCGについて、ご質問を頂き、以前から書こうと思っていたものをアップします。07年06月06日の記事、「月経周期の女性ホルモンの推移、排卵、妊娠」と重複しますが、二つの類似したホルモンをまとめてみました。

LHは脳の一部である下垂体から分泌され、卵巣に発育した成熟卵胞を排卵させます。
またhCGは、妊娠によってできる絨毛膜と呼ばれる組織から分泌され、妊娠を維持する役割があります。妊娠反応とは、このhCGの分泌の有無をみて妊娠の判断をするものです。

これらLHとhCGは分子的に構造が似ているため、少し前の時代では、検査してもどちらのホルモンが高いのか判定できませんでした。
現在LHの製剤が開発中で、実際には臨床的に用いることができないため、この似ている構造を利用して、hCGを薬剤として、LHの代わりに、つまり排卵させるため(排卵のコントロール)に用いられています。

両者に共通の構造はα鎖と呼ばれ、異なる構造はβ鎖と呼ばれる部分です。
今は昔、妊娠反応を見るのに、これらを区別できず、できるようになってからしばらくは、妊娠性ホルモン、hCGを、わざわざβ-hCGと呼んでいました。

このように、少しややこしいですが、似ているホルモンを区別する技術、似ている部分を利用した治療法、と、医療って、様々な先人の工夫とアイディアが蓄積された領域です。医はart(芸術)とされる所以がここにも感じられます。

ラベル:LH hCG
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2008年02月18日

第21回不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座

少し前になりますが、日本不妊カウンセリング学会第21回不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座が昨年10月6日(土)、7日(日)に行われました。

以前から産婦人科クリニックさくらのスタッフも参加していますが、今回は院長の私は都合で参加できませんでした。スタッフが4名参加し、多くのことを学んできてくれました。

スタッフの参加レポートを、今日は掲載します。


さくらスタッフで21回目のものに参加してきました。
その中から、私達が興味深かったものを少しご紹介したいと思います。

・〈不妊カウンセリングに求められているもの〉の講座の中から
不妊の悩みを主訴としたカウンセリング初期においては、大半の女性が抑うつ感を訴えており、精神科・心療内科を受診内服治療しているとの報告でした。
なかでも流産、死産の経験や不妊治療全般において女性の心理状況は危機的であるとのこと。
このような状況下にある場合、十分なケアと休養が必要となる。しかし、医師から「休んでいる暇はない」と促され十分な感情を表出できずパニック発作に見舞われたり、次々と迫る不妊スケジュールをこなすことになってしまうのは医療の場にメンタルヘルスの観点がかけているためにおこっていると言う。心の状態に耳を傾け、必要であれば院内外の心理カウンセリングや心療内科等の情報を提供するなど多方面からの支援体制を整えていく事が重要となってくるとのことでした。
私達も、日々の治療スケジュールをこなすだけになってしまわないように心理状況にも注目して患者さんにいろいろな情報を提供していけるようにしていきたいと思いました。
産婦人科クリニックさくらでは、医師・看護師をはじめスタッフ全員で情報を共有し、勉強会等にも積極的に参加しています。


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2008年01月15日

映画製作の学生さんたち 〜AIDの現実を直視する〜

映画製作を勉強している日本映画学校の学生さんたちから、「映画を撮るので待合室で撮影させて欲しい」と持ちかけられ、数回のミーティングを持ちました。
学生さんの製作ですから、全部でおよそ40分程度の作品だそうですが、取り上げるテーマが「AID」。

どうしてあえてこういう重厚なテーマを選んだのか。

AIDは私も1月に生殖医療カウンセリング学会で、AIDで産まれた当事者の生の声を拝聴し、大変考えさせられ、ブログにも書きました

20代の若者たちが選ぶテーマとして、あえて社会問題に取り組もうとしているのか。万一にもAIDをただの素材として取り上げるに過ぎないのか。
彼らに会う前は、正直賛否を付けかねる気持ちでした。

数回の会合を重ねるに従って、彼らのAID、精子バンク、ドナー、AIDで産まれた人たちへのまっすぐなスタンスに共感を覚えました。
不妊治療やAIDなど、どうしても負のイメージがぬぐえない現代社会ですが、彼らの目線は全く曇らず、AIDと言う治療を通して、新しい家族のカタチに温かな目を向けます。
そして、私も全く同感なのですが、こういう治療がある、こういう治療を必要とする人たちがいる、こういう治療によってこの世に生を受ける人がいる、この事実をもっともっと社会に直視して欲しい、「裏を返せば、誰でもみんな何らかの意味でマイノリティーな部分を持つ」、そんな真摯な態度に接し、彼らのことを評価し、彼らの作る映画を期待し、その映画が少しでも多くの人に観てもらうことでこの問題に目を向けて欲しい、と私も思いました。そして若い世代には我々が想像もつかない目を持つ人たちがいることに喜びを感じました。

と言っても、台本を見せてもらったところ、色調の暗い映画、社会問題作、ではなく、とても明るいタッチの、テンポのよい楽しい作品のようです。
勿論AIDを楽しく取り上げるのではなく、楽しい作品の中にAIDが素材として活かされ、主題として家族が描かれるのです。

女性体温計」で物を創り出す苦労、能力について触れましたが、映画作りも全く同じ。無から一つの完成された映像作品を仕上げるには並大抵の努力ではないでしょう。

最初にあったように、彼らとの出会いは撮影場所として提供するか、でしたが、残念ながら産婦人科クリニック さくらでの撮影は行われないことになりました。ただ私にとってはそんなことはどうでもよく、この問題に目を向け、映画をを創る彼らの役に少しでも立てれば、と、医療の現状や不妊治療などについて、話をさせてもらっています。

一般公開もされるようなので、その際にはまた紹介したいと思います。
ラベル:AID
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2008年01月10日

排卵の予測 〜一般生殖医療 診療のポイント〜

排卵の予測は、
基礎体温
・卵胞計測
ホルモン検査
などから総合的に判断します。

・最初の周期は、月経開始後12〜14日目くらいに受診して頂きます。基礎体温をつけている方は大体の排卵日が分かるため、受診に適した日程を外来でご相談ください。
・基礎体温では高温期になる頃に排卵することが知られています。
・卵胞計測は経腟超音波で行います。卵胞とは卵巣にできる卵子の入った袋のことで、自然周期で約20mm、クロミッドを服用した周期で約30mmに発育した頃に排卵します。
・ホルモン検査は「LH」「E2(エストラジオール)」「P4(プロゲステロン)」の3項目を行うことが多いです。ホルモン検査は外来では通常、超音波検査の後に行うことが多く、排卵日を予測するには、院内で迅速検査を行います。採血後、約20分で結果が出ます。排卵日がおおよそ一定している場合、数日前の診察で予測できる場合は、先に採血を行うことがあります。

・これらを総合して排卵を予測することができます。ただし初めての周期や、卵胞の発育が遅いと排卵日の予測が難しいこともあり、翌日または何日か後に数回受診していただくこともあります。
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2007年09月24日

不妊スクリーニング検査 〜クラミジア検査(抗原・抗体)〜

クラミジア感染についても以前書きました。
ここでは不妊スクリーニング検査としてのクラミジア感染検査の意義について触れます。

クラミジアは性行為感染症(STD)の一つですが、感染しても症状が出にくく、知らないうちに進行してしまうこともある病気です。
症状としては卵管の閉塞や癒着を引き起こすため、下腹部の痛みや不妊の原因になります。

近年、増加傾向にある為、不妊原因検索の重要な一つとして行っています。
「抗原」検査は子宮頚部のクラミジアを採取し、卵管造影検査などを受ける支障にならないか、パートナーに感染させないか、と言う点から重要ですし、「抗体」検査は血液検査で行い、特に卵管周囲の腹膜炎がないか、以前にも感染した可能性がないか、つまり不妊因子として卵管の因子がないかをみることができます。

クラミジアに感染しているとわかった場合、抗生物質の処方を行います。パートナーと一緒に治療していただかないと再感染を起こしますので、必ずお二人で治療を受けて下さい。
posted by 桜井明弘 at 23:51| Comment(1) | TrackBack(4) | 生殖医療(不妊治療)一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする