2008年05月07日

「もう子宮がん検診は不要でしょ?」という誤解

時々外来診療などで受けるご質問で、きっと誤解されているんだろうな、と思われる、子宮がん検診は不要?といったものがあります。主に以下の3つのパターンに分けられます。

まず一番多いのが、「一度子宮がん検診を受けて、結果は正常、と言われたので、その後受けていない」子宮がんの発生については何度か書いていますので、このブログを読まれている方は、「」と思われるでしょうが、子宮がんの発生についてもう一度まとめると、

1.性交渉によりHPV感染を受ける



2.HPVが子宮頚部をがん化させる



3.子宮頚がんが発生する


と言った順番です。この「2」の段階に要する時間が分からない部分で、今年「異常なし、正常!」の診断を受けても、来年は異常となっている可能性が誰にでもあるのです。似ている誤解に「子宮頚がんの検診後、性交渉がなければ、子宮頚がんにはならないでしょうか? 検診も不要?」というものもありますが、上の「1」の状態には変わりませんから、いずれ「2」以降に進んでくる可能性はその後の性交渉の有無には関係しません。

また、子宮がん検診で異常を指摘され、細胞診を繰り返したり、精密検査に当たる組織診を行う、そのうちに異常が見られなくなり、正常の診断になることがあります。このときの医師の説明にもよるのでしょうが、「前は異常、と言われていましたが、その後、正常、と言われたのでもう検査は必要ないと思っていました」。これも誤解ですね。上の2から3に至る過程で、前がん病変とも言うべき「異形成」と言う状態になりますが、異形成から必ずがんに進行するとは限らず、正常化することも多いのです。しかし、HPVは持続感染をしている可能性があり、HPV感染により異形成になったのですから、再度細胞の異常が起こってくることはまれではなく、むしろこれまで異常の診断をされたことのない方に比べたら、ずっとリスクは高いと考えるべきでしょう。

最後はちょっとおちゃめなものですが、お年寄りの方から言われます。「この歳になったら子宮がん検診はいらないでしょ?」 んー、ちょっと寓話的、と言うか、この歳になったら子宮がんになってもいい、とお考えなのか、純粋に年齢的に子宮がんにならないと思われているのか、お話していてもすぐに判断できないことがありますが、これも大きな誤解ですよね。HPV感染、確かにそのお歳までがん化しなければ、ハイリスクのHPVはきっとないでしょう。しかしHPVにはローリスクのものもありますので、相当なご高齢になってから見つかる子宮頚がんもあります。
この歳になって子宮がんが見つかっても手術も出来ないだろうし、そのためにこの命が、まあ大往生です、とお考えでしたら待ってください。子宮頚がん、進行した場合、とてもがん性疼痛が強いです。ですから、万一がんが見つかるとしても、ぜひ進行する前の早期のうちに見つけましょう。子宮頚がん検診、年齢の上限はありません。子宮がある限り毎年続けるべきです。


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posted by 桜井明弘 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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