2008年05月06日

HPVワクチン

これまで子宮頚がんの、発症原因として、HPV感染がある、とお伝えしてきました。
また、HPVウィルスに対するワクチン接種、米国では既に開始しており、国内でも検討されている、とお伝えしました。

昨年末に子宮頚がんを予防するHPVワクチン(ガーダシル、Gardasil®)の承認を申請、と万有製薬が発表しました。

これによるとHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン、特に子宮頚がんの発症と関連のある高リスクHPVを含む、HPV6,11,16,18型のワクチンが臨床の場に登場、と期待されます。
子宮頚がん発症の主な原因はHPV16及び18型とされ、同じくHPV感染で発症する尖圭コンジローマの主な原因であるのは、HPV6及び11型で、これらのHPVの感染を予防するワクチンだそうです。
このワクチンは、海外における2万人以上を対象とした臨床試験において、HPV16及び18型に起因する子宮頚がん、外陰がん、腟がん、それらの前がん病変並びにHPV6及び11型に起因する尖圭コンジローマを予防し、また大きな副作用も無かったという結果が確認されています。

女性であれば、皆さん子宮頚がん、子宮頚がん検診については、気になるところだと思いますが、日本では毎年8,000人の女性に子宮頚がんと発症し、また残念なことに毎年2,500人が子宮頚がんのために亡くなっています。最近では特に20〜30歳代、ごく最近17歳の発症が報道され、性行動の低年齢化とともに、若い女性で増加していることが問題となっています。
現段階で、子宮頚がんを早期発見するには、検診を受ける以外に方法がなく、検診で異常を指摘された方、検診にオプションとして追加を希望される方には、これらHPV感染を受けているかの検査もできます。

このHPVワクチンは、2006年6月に米国、メキシコで承認され、現在までにEU27カ国、オーストラリア、台湾、カナダ、韓国など85カ国で承認されているそうです。
 米国では、疾病予防管理センター(CDC)が定める「子どものためのワクチン(Vaccine for Children, VFC)プログラム」に導入され、メディケイド(低所得者・障害者向け医療扶助制度)受給資格がある子どもたち、保険未加入または十分な保険に入っていな い子供たちに無償提供されているそうです。
またオーストラリアでは、政府によって、12〜26歳までの全ての女性がこの4価HPVワクチンを無償で接種できる予防接種プログラムが導入されているとのことです。

日本においても次世代の全女性にとって、福音となりうる可能性が期待でき、承認、投与が開始されると、婦人科検診のあり方や内容が、今後変遷していくかもしれません。


・関連記事一部修正
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posted by 桜井明弘 at 00:11| Comment(6) | TrackBack(2) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先日、ドクターが話しているのを診察介助中に聞き、そうなんだーーーって聞いてました。
でも日本では、まだまだなんだよねって話だったのでまさか日本のメーカーがあつかうことになったとは、存じませんでした。

いつも思うのが先生のブログは、新しい情報を得られるのでラッキーです。
いろんな面でこういう情報って詳しく得るの容易でないんですよ。
学会の出席も九州にいれば、ドクターさえも本当に少ないんですよ。私も学会に参加して色々情報得たいですけどね。
これからも沢山の情報お願いいたします。
お勉強になります。
Posted by maedomari at 2008年05月06日 11:22
maedomariさん、こんばんは。
いくつか補足すると、日本でもまだまだ、ではなさそうです。万有製薬の発表などを見ると、2009年、来年には国内で承認を目指しているそうです。
今までの薬、例えば抗生物質や子宮内膜症に効く薬、抗がん剤など、どれもこれまで疾患を抱えて困ってる方に、またより良い薬、という期待感とともに新しく出てきましたね。今回のHPVワクチンは、将来がんになるのを予防する薬、これまでの概念とは異なり、また性行動という、人間が動物であるがゆえに当たり前に営む行為に関係するもので、ちょっと大げさにとると、子宮頚がんをめぐる概念や、子宮がん検診のあり方、ひいては性行動に対する影響もあるのではないか、という予感がします。

私のニュースソースをばらすと、学会や講習会で聴いた話、知り合いのDr.やMRさんに聴いた話がほとんどです。
ネットサーフィンで得られる情報は残念ながら信憑性が低いため、参考程度にとどめる、または自分の専門分野であればどの程度信頼していいか判断してネタにしています。
Posted by 桜井明弘 at 2008年05月06日 22:04
 遅ればせながら、開業1周年おめでとうございます!診察とブログ更新と、その他いろいろと忙しそうですけれど、ますますのご発展願っております。
今回はHPVワクチンのお話でしたが、このワクチンは既にHPVに感染してしまっている人には効果がないのでしょうか?
そうなのであれば、もう少し早ければと悔やまれてなりません。。。
Posted by 世良 at 2008年05月10日 18:02
世良さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
私の知る限り、予防的投与に用いるので、既に感染してしまった方には効果はないと思います。
しかしこれまでも投与対象は12歳くらいまでの女児、とされていたのですが、米国などで承認されたのは27歳くらいまで、とあります。
この27歳の設定の根拠が良く分かりませんが、必ずしもHPV感染前でなくてもいいのか?と思い始めています。
Posted by 桜井明弘 at 2008年05月11日 21:56
 回答ありがとうございました。やはり感染してしまってからでは遅いのですね…
でも、感染する前は、このようなウィルスがあることすら知りませんでしたしね。
感染後でも効果があるのなら、今からでも受けたいです。
ちなみに、1回注射をすれば、ずっと効果があるのでしょうか?
Posted by 世良 at 2008年05月17日 16:35
世良さん、こんばんは。ワクチンの効果は、少なくとも海外のデータでは1度の投与でかなりの予防効果があるようです。
すでに感染した場合には無効なのか、更なる感染を予防できないのか、これからも調べていきたいと思います。

子宮頸がんがHPVによってもたらされること、だいぶ前から可能性を言われてきましたが、数年前に、ほぼそれ以外に発症要因がない、とまでされました。こういった病態が解明されるまでに感染された方は残念だと思いますが、さらなる感染拡大に、啓蒙を続けていかなければならないと思います。
Posted by 桜井明弘 at 2008年05月18日 00:37
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