前回のブログで水分補給などについてコメントいただきました。また以前のブログでも生活習慣の工夫に触れましたが、今日の記事は、もっと進んでしまった状態、いわゆる宿便となってしまった場合の対応です。
便が作られる際、小腸の中では泥状なのですが、小腸でどんどん水分が吸収され、大腸でも同様に吸収されます。便秘で便通が悪い場合、最後の直腸に来たときには干からびた状態、ころころと硬い、うさぎの糞みたい、と表現されるお通じとなります。これではいくら踏ん張ってもなかなかでない、この時点で下剤を内服しても、出口に近い部分に硬いものが邪魔していますので、口から柔らかくするお薬を使っても、上の方ばかり柔らかくなるばかり。
便秘がやっと解消された、と思ったらとたんにひどい下痢、という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
出口、つまり直腸の硬いお通じをすっきりさせるには、浣腸もありますが、妊娠中の浣腸は少し刺激が強いかもしれません。我々がよく使うのは坐薬です。レシカルボン坐薬は直腸内でガスを発生させ、自然に近い刺激で、この渋滞の原因となっているお通じを出してくれます。
肛門に入れてから少しの間、ガスをしたいのを我慢しなければなりませんが、頑固な便秘になってしまったとき、特に妊娠中はやさしい刺激で使いやすい方法です。
妊娠中期以降の便秘は、初期と異なり、ホルモン状態は落ち着いてきています。今度は妊娠によって子宮が大きくなるため、子宮の真後ろにある直腸を機械的に圧迫することによって、便秘傾向が強くなります。
食生活の改善は勿論ですが、薬物療法として、この場合もラキソベロン液が有用で、よく使われています。コメントを頂いた酸化マグネシウムは、もう少し緩徐に効果がありますが、胃粘膜保護作用もあるため、胃が調子悪い、便秘、の2つの症状を同時に改善してくれます。
ただ、経験的にはトラブルとなったことはありませんが、酸化マグネシウムは血中マグネシウムの濃度が上昇することがあり、妊娠中は注意が必要、と言われています。
マグネシウムは筋肉の収縮を抑制する作用があるため、血中マグネシウム濃度が上昇すると子宮収縮抑制となったり、筋弛緩作用がありますが、内服薬ではあまり考えなくていいでしょう。
次回、便秘と下痢を繰り返す、過敏性腸症候群について触れていきます。
さくらトリートメントの「月刊なちゅらるタイム’s」第4弾、4月号を準備中です。前にお知らせした、次の企画、いよいよ登場です。
今までラキソベロンの方が身体的負担がかかると認識してました。酸化マグネシウムが妊娠中に注意が必要だとは、全く存じませんでした。意外でした。
これから患者様と関わる中で一つ知識が増えました。ありがとうございます。
繰り返しになりますが、酸化マグネシウムの方がマイルドに効く印象は私もあります。また酸化マグネシウムを内服中に妊娠のトラブルになった印象は全くありません。やはり患者さんに応じた処方、指導が必要だと思います。
これからも色々と情報提供、御願いします。
休日はもよおしてくるのですが、平日だとダメです・・・
水分をたくさん取ったりしているのですが、あまり効果はありません。
今は酸化マグネシウムをもらっていますが、くせになりそうな気がして、
出ない日が続くと飲んでいます。
でも、固くなってしまってから飲んでも効果がないのでしょうか?
産婦人科へ行くきっかけが痔だったので、
是非痔についても書いていただきたいです。
女性の皆さん、便秘に悩んでらっしゃる方、本当に多いですよね。
休日と平日の違いがあるとのこと、やはりライフスタイルにも関係があるのでしょうね。休日ですといつでもトイレに行ける、平日、勤務中は行きにくい、とか。
酸化マグネシウムを使って上手くコントロールできるのであれば、私は遠慮なく使った方が良いと思います。
便秘は体質の影響もありますから、我慢して更に硬くなると効かなくなります。
薬に頼ると癖になる、よく聞かれるご意見ですし、そうお感じになるのももっとも、と思いますが、私は反対に使いながら、上手く便秘と付き合うべきだと思います。
癖になる、はないと思いますよ。
「痔」は、外科疾患なのですが、婦人科で相談される方も多いです。更に妊娠中、分娩後悪化することが良くあるため、相談に乗ること多いですね。
ご意見有り難う御座います。今後の記事に反映していきたいと思います。