この記事は5年ぶりにアップします。
この誤解は、大きく二つに分けられます。「排卵日」に関するものと、「左右交代に排卵」です。
「排卵日」を知るには、自分でできる方法として、以下のものが知られています。
・ 基礎体温
・ 排卵痛
・ 粘液(子宮頚管粘液、おりものとして自覚)
・ 排卵検査薬
これらはおおむね排卵日を知る方法として、簡便ですし、これから赤ちゃんを考えている方には、ご自分でできるいい方法だと思います。が、なかなか難しいですね。この日が排卵、を特定することで、「もう排卵が終わったはずなのに、まだ体温が上がらない」「今月は排卵が無かったみたい」という声も良く聞かれます。
通院して超音波や血液検査を行っている場合、排卵日を特定する、排卵の前後を知る、といったことができますが、例えば「基礎体温」、よく排卵日は低温期の最後の日に少し下がる、「体温陥凹日」として計測できる、と言われます。しかし、この少し下がる日が無い、低温から徐々に高温に移ったため、分かりにくかった、と言うことがあると思います。
我々もこれまでの基礎体温表を見せていただいた場合、この「体温陥凹日」を排卵日、として数えます。しかし、排卵予測をするために卵胞計測を行っている周期で、陥凹日が排卵、陥凹日の翌日少し上がったところで排卵、体温が上がりきったところで排卵、と、様々です。この違いは、人によっても、また同じ方でも周期によっても異なることがあります。
体温が高温になるのは、卵胞が排卵することによって黄体となり、ここから黄体ホルモンが分泌されるためです。この分泌は超音波でまだ綺麗な卵胞が見られる、つまり見たところ、まだ排卵していない、という時から少しずつ始まっており、この場合、間もなく排卵を迎えます。この微妙な変化は、血液検査が得意とするところです。
そもそも基礎体温は起床時の身体を動かす前の微妙な変化を捉えるものです。その微妙な変化をもたらすのが黄体ホルモン。しかし人間の身体は機械では無いので、その微妙な変化を完全に正確に基礎体温上に反映させることができません。ですから日々の0.2,3℃の変化や1,2日だけ妙に高かったり低かったり、「体温陥凹日」がよく分からなかったり、これらをすなわち異常、と解釈する必要ありません。
このような体温変化なので、完全にホルモン分泌を表せないことがありますから、上に書いたように、「体温陥凹日」=「排卵日」でないこともあるのです。
シリーズ記事には「排卵痛」も取り上げています。
関連記事修正
・不妊スクリーニングラインアップ
さくらトリートメントの竹本さんのブログ、そろそろ季節を迎えるため、興味深いです。
「花粉症も冷えから」
(初出:2008年3月22日)
(補筆修正:2013年12月5日)
もしかしたら場所が違うかもしれないですが質問をさせてください。
花粉症が毎年辛く困っています。
妊娠希望中のために今年は薬を服用していなかったのですが、いよいよ辛くなってきました。
もし花粉症の薬を服用した場合は赤ちゃんに危険(奇形等)があったり、妊娠しにくくなる等の問題はあるのでしょうか?
ちなみに過去に田舎の内科医に相談したことがあるのですが「問題が起きる可能性は低い」と薬(アレグラ)を処方してもらいました。
まだ少し不安があるので専門の先生はどの様なお考えでしょうか?
服用しても問題がないものでしょうか?
せっかく頂いたご質問、また外来診療でもしばしばこの件について皆さんから聞かれます。改めて、別に記事にしようと思います。
花粉症の薬、様々なものがありますが、おおむね外用薬、つまり点鼻、点眼薬に関してはなんら影響が無いと考えられています。
問題となるのは、やはり内服薬。また厄介のなのは、上にあげた外用薬では効果が見られず、内服薬が必要となる方が多いですね。
内服薬の中心は抗ヒスタミン剤と呼ばれる抗アレルギー剤です。
この抗ヒスタミン剤にはいくつかの世代があります。要するに開発された順に古いもの、新しいものがあります。
新しいものがいい、これは花粉症治療には当てはまります。アレグラも新しい抗ヒスタミン剤です。
一方古い世代の抗ヒスタミン剤、有名なところではポララミンがあります。
ポララミンも治療効果が高く、また妊娠への影響も分かっていますが、経験的に赤ちゃんへの影響が無いとされています。ただ、抗ヒスタミン剤でもっとも問題となる副作用、眠気が強いです。
これに対して新しい抗ヒスタミン剤は、眠気が少なく、大抵の抗ヒスタミン剤は服用している間、自動車の運転を控えるよう指導されますが、例えば新しい「タリオン」は自動車の運転に規制がありません。ただ、新しい世代の抗ヒスタミン剤は赤ちゃんへの影響があります。明らかに因果関係が分かっているのは、口唇口蓋裂の発生です。顔面の完成は、左右が中央で接合することですが、これは妊娠16週ころに完成、とされています。つまり理論的にはこれまでの週数では新しい世代の抗ヒスタミン剤で口唇口蓋裂が発生する可能性があり、反対に16週以降では既に完成しているため、発生が起こらないとされています。
花粉症と闘いながらも、妊娠をしたい、お気持ちは充分分かります。このあたりを踏まえて主治医の先生と相談され、より安全で効果的な治療を選択して下さい。
今年、妊娠を希望されている方、数名に、花粉症シーズンの前から漢方薬を内服していただいています。これがかなり効果的で、また妊娠への影響が考えにくいため、今後の治療効果を見ながら、改めて情報発信して行きたいと思っています。
大変興味深く、大切な質問を頂き、ありがたく思っています。今後ともよろしくお願いします。
今まで、基礎体温で排卵の予測がついていたのですが、今周期はよくわからない状態です。
月経開始から8日目くらいに粘液のピーク、その後から徐々に体温が上がっているので、排卵してしまったと思いましたが、12日目に受診した時は複数の卵胞が大きくなっていて、そのうちの1つは22mm。まだこれから排卵との事でした。
でも体温が上がっていくので不思議です。
誘発剤で複数の卵胞が排卵する時は、一個排卵した後に時間をおいてまた排卵、などというような事はあるのでしょうか?
月経開始から16目にあたる今日、すこし体温が落ちて(普段よりは高いですが)下腹部痛があり、少量の出血が見られたので、おそらく排卵ではと思いました。
最近は低体温を改善するために努力中でしたし、その結果なのかは…よくわからないですが、排卵日の予測は難しいと思いました。
体温だけで排卵を予測すること、この記事の本文中にも書きましたが、難しいですね。
排卵はLHサージによって起こります。LHサージは1周期に一度きりですし、LHサージの際に排卵しなかった未熟な卵胞も、LHの作用を受け黄体化するため、再度排卵することはありません。
以前21歳での内膜症について相談させていただきました。
その後基礎体温をはかりはじめました。約一ヶ月がたちました。
私の体温は高温と低温に分かれません。
全体的には微妙に分かれているような気もしなくはないですが…
グラフにしてみるとMのようにいきなり高温かと思えば次の日はいきなり下がると言った感じです。
一番高温でも36度7分くらいです。平均は35度半ばから36度くらいのあたりで、上下します。
排卵日に下がるとの事ですが、一度排卵日あたりに下がった日があり、その後高温になったので、排卵日かと思っていましたが…
生理が終わって4日目の今日今までで一番低い35度04を記録しました。
このような基礎体温の流れは不妊の可能性があるのでしょうか?
ちなみに私は仕事の形態が朝早い日もあれば、普通の日もあるので、時間はバラバラです。
時には夜中に目ざめた時に、はかったりします。
それがいけないのでしょうか?
言葉での説明で申し訳ありませんが、分かる範囲でのアドバイスをお願いします。
お忙しいところすみません。
書き込んでいただいた内容が、基礎体温についてでしたので、こちらに移動させていただきました。
書き込みからは、あやさん、かならずしも異常ではないかもしれませんね。実際の体温表をみないと分かりませんが。
同様に、内容から、=(イコール)不妊とは、とてもじゃありませんが、断定は出来ません。短絡的に結びつけることが出来ないからです。
是非一度、担当の先生にも診てもらってください。一緒に診てくれる先生だといいのですが。