2008年02月20日

子宮内膜症 再発時の治療

手術療法や薬物療法によっていったん治癒、または軽快した子宮内膜症が再発、あるいは再燃した場合、どのような治療をすべきでしょうか。

術後に再発した場合、よく質問されるのが、「また手術をしなければならないか」というものです。
通常、治療後のフォローアップの期間に再発が見つかるため、再発病変も本当に再発か? といった小さな病変のことが多く、再発=治療再開とはなりません。
ここが良性疾患とがんなどの悪性疾患との大きな違いだと思います。

良悪性疾患の進行.jpg

図にあるように良性疾患、内膜症も含めて、その病気の進行は階段式です。
進行する時期と変わらない時期があり、今ある病変がその後も悪くなり続けるとは限りません。これは再発、未治療のいずれでも言えることです。

原則、手術療法を行う方は、以前の内膜症の治療法にあるような子宮または卵巣摘出ではない、内膜症病巣摘出術を、根治手術と考え、2回目以降の治療を行う必要が内容と言った姿勢で我々も治療に臨みます。手術であまりにも病巣を摘出する際のリスクが高い場合、どうしても残存病変ができてしまう場合、手術自体は予定通り根治に近い形で行えた場合、それでも再発は免れません。
薬物療法も同様で、再発、再燃ともに起こりえます。

ただ、術後、薬物療法後のフォロー中に、比較的小さな、初期の病変で見出せた場合、前回と同様の治療まで要さない、あるいは治療が必要ないことが多いです。再発に対する治療は初回診断時の治療の適応とほぼ同様で、

・その疾患による症状などの弊害が生じている。
 ex.
  鎮痛剤が無効な疼痛(月経困難症、排便痛、性交痛、慢性骨盤痛)
  内膜症が明らかに不妊の原因となっている
・現在無症状でも、近い将来、たとえば妊娠を希望した場合、妊娠した場合など、明らかに障害を生じる可能性がある場合
・大きい病変、あるいは増大する速度が速く、上にあげた二つの条件に近い将来達する可能性が高い場合

です。

またその患者さんの状況に合わせた他の適した治療法がある場合が多いため、個々に相談しながら治療法を考えて行きたいと思います。

内膜症はとても再発率が高い疾患で、また女性のQOLを左右する、妊娠を考えているなどライフスタイル、人生設計に治療法が左右される病気ですので、心配な点、疑問な点は何なりと遠慮なく仰ってください。
繰り返しますが、個々に対応した対策・治療法を相談いたしましょう。



posted by 桜井明弘 at 23:54| Comment(5) | TrackBack(1) | 子宮内膜症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは、はじめまして。

すずえと申します。
43歳、未婚、出産経験はありません。

2月2日に内膜症の手術を受けました。

今後の治療に関して、不安があり、ネットをいろいろ調べていたところ、こちらにたどり着きました。先生のご意見を伺うことができましたら、たいへん嬉しいです。

子宮内膜症との付き合いは、もう10年以上です。ホルモン治療なども受けたことはなく、定期検査、鎮痛剤使用で経過観察をしていました。

といいますのは、27歳の時に、脳血管障害で、吻合術の手術を2回受けており、手術はもうコリゴリと思っていたからです。

定期検査はしていましたが、これといった治療もせず、ほぼ放置状態にしていたツケがまわってきたと思ってます。


子宮線筋症、左右の卵巣チョコ嚢腫、子宮筋腫、ダグラス窩内膜症が更に増悪、貧血状態が続いていたため、子宮全摘、チョコ嚢腫摘出、卵管切除、癒着剥離を受けました。

これが50歳前後でしたら、卵巣も摘出してもらいたいところでしたが、まだ微妙な年齢でしたので、できれば残して欲しいと希望し、癒着が酷そう・・・と思っていましたので、私の方から、開腹術をお願いしました。


手術は、予定どおり終わりましたが、やっぱり癒着がすごく、ベタベタだったと医師に言われました。


術後は、今でも傷は痛みますが、なんとか順調です。

卵巣がまだありますので、再発はするだろうなと、思ってはいたのですが、「手術もしたし、しばらくは定期チェックだけかな?」と安易に考えていました。手術が終わった翌日すぐに、再発に備えて(と思います)
GnRHを使用することを、それとなく勧められました。

たぶん、リュープリンでしょうか・・・。

手術が終わったばかりで、すぐに再発のことを考えなくてはならないの?と多少なりともショックだったんですよね。。。

いろいろ調べてみますと、人にもよるのでしょうが、かなり副作用が強いみたいで、それを考えただけで気分が落ち込みます。
すぐに、しなくてはいけないものなのだろうか・・・とも考えてしまって。

調べていくうちに、低用量ピルの治療が目にとまりました。
でも、術後の再発予防のために、ピルを使用したという記載は、見つかりません。

私の現状において、低用量ピルを再発予防のために使用するということは、現実的にあり得ますか?

何せ、副作用がGnRHに比べて、格段に少ない(人によるでしょうが)みたいで、気になっています。気分も安定する人が多いとのことですし。

もちろん、年齢も40歳代で、昔、頭の病気で手術をしているので、多少なりともリスクは考えなければならないと思っています。(脳外科の医師に再度、確認はしますが)
それ以前に、医師がピルを使いたがらないかもしれませんが。。

GnRHは、薬価も高額なので、それも悩んでしまう理由です。3ヶ月製剤もあるようですが、内膜症治療に適応なのでしょうか?

来週の16日に退院後の再診なので、治療についての話しをされると思います。


情けない話しですが、担当医師には聞きたいことも、あまり聞けないような雰囲気です。私がしっかりしていないせいもあるのでしょうけど。

唐突な質問で、申し訳ありませんが、私の記載した内容から、判断できることだけでかまいませんので、先生のご意見を聞かせていただけないでしょうか?

お手数かけますが、よろしくお願いします。

Posted by すずえ at 2010年02月11日 18:47
すずえさん、こんにちは。回答が遅れてしまいました。本日が受診日ですね。

再発予防のために偽閉経療法はもちろん、OC(低用量ピル)も勧められます。

OCは偽閉経療法に比べ、安価で副作用も少ない、のは確かですが、主作用もその分劣ります。またすずえさんが気にされているように、脳血管手術後なので、投与は慎重にするべきです。

GnRHa、偽閉経療法に用いる薬剤ですが、3か月製剤は、前立腺や乳がんに適応があり、内膜症では基本的に使えません。といっても、注射は4週毎ですから、効果や副作用をチェックしながら使うのに適していると思います。

また副作用の点ですが、確かにネット上にあふれている情報では、辛い症状の書き込みが多いですね。外来診療の場では、怖がっていたほどではない、思ったより楽、という声のほうがずっと多いです。ただ、これらの患者さんは「楽です」とは書き込まれないと思います。

本日の診察でよい治療方針が決まるといいですね。
Posted by 桜井明弘 at 2010年02月16日 10:00
はじめまして。7年ほど前に子宮内膜症(卵巣のう腫:チョコレートのう腫)の治療のため、腹腔鏡手術を日本で受けました。その後、アメリカへ結婚のため永住して現在に至り、今年秋で40歳になります。子供はまだいませんが、将来ほしいとは思っています。

こちらの医者には日本での既往歴を話し、毎年婦人科へ通いpap smearを受けていたのですが、保険が変わってしまい、新しい医者(primary doctorで婦人科の先生ではないです。)は異常がない場合、2年おきのpap smearになるといいます。pap smearはがん検診なので私の病気とは関係ないのと私に病歴があってもそういうことらしいです。

卵巣のう腫の手術後、バースコントロールピルは太ると思っていたので、日本では偽閉経の注射を何度かしましたが、ほてりがひどく仕事に集中できず、断念しました。

その後、渡米し、月経痛がひどくなってきたので結局、医者の薦めでピルを服用しはじめましたが、最近ネットでピルの副作用(血栓など)のこと(アメリカの情報)や40歳くらいで服用はやめたほうがいいという日本の情報を複数見かけたので自己判断で服用を中断しました。
新しい保険の病院に変わって医者に診てもらってから不信感が特にあり、億劫になって婦人科の予約をまだしておりません。最後のpap smearは去年の1月です。

過去の婦人科医にしても3人ほど診てもらいましたが、卵巣のう腫のことに関してはピルの服用以外とくにコメントをもらったことはありませんので、ピルを服用している間、のう腫が進行していたのかどうかもわかりません。

ピルは5年は服用したと思いますが、上記の情報の見聞きのほか、体重増加がやはり徐々にあったのと、毎月、出血の際、頭痛に悩まされていましたのでやめたくなった次第です。

中断後、すぐ月経は始まり、今3度目の月経です。一度目、二度目と不快な症状はあり、夜中に目が覚めたりしましたが、今回の月経が最も痛みがひどく、しつこい頭痛もあり心配になってきました。

今回の月経痛では左側は痛まず、右側、おへその延長線上のあたりから付け根の間くらいが特に痛みます。これは今までとは違う痛み方で、痛さの程度は7年前の検査・手術前のひどい痛さと同じです。

結婚して6年ほど経ちますが、渡米してから主婦の傍ら、4年制大学に復学し来年卒業を控えておりますのですぐに妊娠出産は望んでおりません。

来月、その新しいほうの婦人科に行こうとは思っておりますが、事前にこちらでも、もしお聞きできたらと思い、長々書いてしまいました。

私の場合、年齢に関わらず、ピルは継続して服用すべきなのでしょうか。

私自身はもう服用したくないと思っております。素人判断ながら、来年卒業後以降に妊娠もできれば希望しており、1、2年ほどピルなしで大丈夫かなと簡単に考えておりましたが、痛みが毎回ひどくなり、昔の症状とあっという間に同じになってしまい、心配になってきました。

お忙しいところ、大変恐縮ながら、もし先生からコメントいただけたらと思い、こちらに書き込みさせていただいた次第です。ありがとうございました。
Posted by NR at 2010年07月20日 10:57
NRさん、こんばんは。明らかな再発病変は分かっていないんですね? ピルについてですが、内膜症の進行を遅らせる可能性があります。ただ、今内膜症の活動性があれば、ですが。
NRさんは副作用もあったようなので、使いたくないでしょうね。
妊娠についても、現在の病態が明らかでない以上、これもコメントしにくいです。今の状態で妊娠が可能か、難しいのか。治療をすべきなのか。
是非一度信頼できる先生に診察していただくのが一番と思います。
Posted by 桜井明弘 at 2010年07月25日 19:05
桜井先生、お忙しいところ、ご丁寧なコメントを頂戴しまして、どうもありがとうございました。

とても心配しておりますが、とにかく医者の診断してもらうことにいたします。
来月、16日に婦人科の診察を受けるよう予約を取りました。

今の状況を説明して診察を受けたいと思います。信頼できる先生をぜひ見つけたいのですが、今回の診察はNurse Practitionerになります。一応、ドクターも選らんでいるのですが、初診でpap smearだからなのか、オンラインではナースの予約しか取れませんでした。

cystが今、あるかないかもしっかり見つけてもらえるようにお願いしたいと思います。

本当にありがとうございました。
Posted by NR at 2010年07月27日 05:43
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子宮内膜症 「治療の適応」
Excerpt: 良性疾患の進行については、子宮内膜症、再発時の治療で述べたように、悪性疾患が右上がりに増悪する一方であるのに対して、階段状、悪くなる時期と変わらない時期を繰り返します。 脱線しますが、上に書いた「増..
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Tracked: 2008-02-26 23:11
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