2008年01月15日

映画製作の学生さんたち 〜AIDの現実を直視する〜

映画製作を勉強している日本映画学校の学生さんたちから、「映画を撮るので待合室で撮影させて欲しい」と持ちかけられ、数回のミーティングを持ちました。
学生さんの製作ですから、全部でおよそ40分程度の作品だそうですが、取り上げるテーマが「AID」。

どうしてあえてこういう重厚なテーマを選んだのか。

AIDは私も1月に生殖医療カウンセリング学会で、AIDで産まれた当事者の生の声を拝聴し、大変考えさせられ、ブログにも書きました

20代の若者たちが選ぶテーマとして、あえて社会問題に取り組もうとしているのか。万一にもAIDをただの素材として取り上げるに過ぎないのか。
彼らに会う前は、正直賛否を付けかねる気持ちでした。

数回の会合を重ねるに従って、彼らのAID、精子バンク、ドナー、AIDで産まれた人たちへのまっすぐなスタンスに共感を覚えました。
不妊治療やAIDなど、どうしても負のイメージがぬぐえない現代社会ですが、彼らの目線は全く曇らず、AIDと言う治療を通して、新しい家族のカタチに温かな目を向けます。
そして、私も全く同感なのですが、こういう治療がある、こういう治療を必要とする人たちがいる、こういう治療によってこの世に生を受ける人がいる、この事実をもっともっと社会に直視して欲しい、「裏を返せば、誰でもみんな何らかの意味でマイノリティーな部分を持つ」、そんな真摯な態度に接し、彼らのことを評価し、彼らの作る映画を期待し、その映画が少しでも多くの人に観てもらうことでこの問題に目を向けて欲しい、と私も思いました。そして若い世代には我々が想像もつかない目を持つ人たちがいることに喜びを感じました。

と言っても、台本を見せてもらったところ、色調の暗い映画、社会問題作、ではなく、とても明るいタッチの、テンポのよい楽しい作品のようです。
勿論AIDを楽しく取り上げるのではなく、楽しい作品の中にAIDが素材として活かされ、主題として家族が描かれるのです。

女性体温計」で物を創り出す苦労、能力について触れましたが、映画作りも全く同じ。無から一つの完成された映像作品を仕上げるには並大抵の努力ではないでしょう。

最初にあったように、彼らとの出会いは撮影場所として提供するか、でしたが、残念ながら産婦人科クリニック さくらでの撮影は行われないことになりました。ただ私にとってはそんなことはどうでもよく、この問題に目を向け、映画をを創る彼らの役に少しでも立てれば、と、医療の現状や不妊治療などについて、話をさせてもらっています。

一般公開もされるようなので、その際にはまた紹介したいと思います。
ラベル:AID
posted by 桜井明弘 at 00:03| Comment(4) | TrackBack(0) | 生殖医療(不妊治療)一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。 新年そうそう手術をしていただいてありがとうございました。 おかげさまで、術後十日ほどで卓球を思い切りやれるようになるほど回復しました。前回は傷にホチキスのようなものでとめてあってそれがはずれるまでは引き攣り感があって痛かったんですが、今回はそれがなく接着剤のようなものでくっついているのでしょうか?痛みが少なく楽なきがしました。 

映画の撮影残念でしたね。 学生さんの作る映画のタイトルがAIDだなんてとっても驚きです!何がきっかけでそうなったのでしょうかね。とても気になります。とかく、当事者でないとなかなか問題視されずらい事だと思うのですが、そういう事に真剣に目を向けて映画を作製しようとしている学生さん、すごい!立派ですね。 良い作品が出来ると良いですね。私も見てみたいです。
Posted by ニヘイ at 2008年01月19日 01:29
ニヘイさん、こんばんは。
退院おめでとうございます。もう卓球で来ますか! 良かったです、無理なさらないでくださいね。

やはり開腹手術と異なり、腹腔鏡は回復が早いですね。それだけ体に優しいんだと思います。
以前の手術の際は、スキンステープラ、と言う、その名も日本語で言えばホチキスですよね、これをつかっていましたが、ステープラを抜くときの痛みや、抜くまでの、ニヘイさんがおっしゃるような引き攣れる痛みがあったので、真皮埋没縫合といって、皮膚の中で創を縫う方法に変更しました。さらに使用する糸を細くしたり、創に貼る被覆剤を現在のカラヤヘッシブ、と言うものに変更しました。今迄で最も創の仕上がりが綺麗になっていると思います。接着剤を使わせていただいた方もあったのですが、期待したほど綺麗ではない、と思い、現在の方法を採用しました。

あ、このあたり、再度ブログに書きましょうか。

映画撮影の件ですが、うちのクリニックが不採用になったのは、それほど残念ではなく、やっぱり機材とか持ち込んだり、診療に差し障るといけませんから。それよりもニヘイさん、やっぱり彼らとの出会い、彼らの志を知ったことが嬉しかったです。

本文でも触れましたが、完成の暁には皆さんにもお知らせします。
Posted by 桜井明弘 at 2008年01月19日 23:07
先生こんにちは。 早速のお返事ありがとうございます。  傷の方はどうやってくっついているのかすごく気になっていました〜  そうですか〜 埋没縫合して下さったんですか〜  最近、医療系の漫画を見ていると、傷跡を残さない縫合!「無縫の頂」などと言われ埋没方での縫合を良く目にするようになってきたんですが、実際自分が体験出来るなんて思いもよりませんでした。こんなに小さな傷にもかかわず埋没縫合していたけたなんてとてもうれしいです。 
最近は整形の方では良く使われていそうですね。

五年前に手術した時と比べて、同じ手術なのに術後随分変わったなと感じました。 痛みが少なかったのが一番の快適さだと思いますが、その他にも腹帯をしなかったり、傷もきれいだったので消毒もしなかった気がします。そう言った点でも普通の服が着れるし動きやすく快適でした。
一回の手術だけだと気づかない事かもしれないけれど、何度か経験してみて、こんなにも医療技術が進歩してるんだなあと実感しました。 それと同時に医療スタッフの方々も日々患者の為を思って努力して下さってるんだと感じ、とても感謝の気持ちでいっぱいです。
お時間がある時でかまいませんので、是非、埋没縫合の極意を教えていただけたら嬉しいです。  楽しみにしてます♪
Posted by ニヘイ at 2008年01月22日 11:25
ニヘイさん、こんばんは。
埋没縫合の極意、ですかー、文にするのはとても難しいですね。後輩には手取り教えていますが。

なんとか書いてみます。

Posted by 桜井明弘 at 2008年01月23日 00:56
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