プレトリートメント(Pretreatment)とは、採卵を行う前周期に、卵胞が発育するのを抑制し、採卵周期に最も効率的に良好な卵子を採取する目的に行います。自然周期採卵では必要ないこともあります。
主にOC(低用量ピル)が用いられます。
・ OC(マーベロン):避妊用に開発された一相性の低用量ピルです。副作用が少なく、排卵を抑制することができるため、プレトリートメントに適しています。前周期の月経第1日目から第7日目の間に内服を開始し、21日間内服します。
・ カウフマン療法:卵巣機能障害が考えられる方におすすめします。採卵周期の卵の質を向上させる効果もあります。以下の2つの方法があり、患者さんに応じて選択します。
1・内服薬
プレマリンとプロベラを内服します。
プレマリンはエストロゲン製剤、プロベラは黄体ホルモン製剤です。
月経第5日目からプレマリンの内服(21日間)を開始し、19日目からプロベラを併用します(7日間)。24日目にこの2種類の薬を内服し終わると、2、3日後に出血があります。これを月経と考えて採卵周期開始、とします。
カウフマン療法とは、エストロゲン製剤の内服により、卵胞発育が抑制され、黄体ホルモンを後から併用することにより、人工的にホルモン的な排卵周期を作ることができます。この方法により、
@卵巣が排卵する必要がなく、卵巣がお休みできる
A卵巣を司る視床下部、下垂体に理想的な排卵周期を覚えさせ、次周期以降の排卵周期の改善が期待できる
といった利点があり、生殖医療に限らず、排卵障害などの卵巣機能不全に用いることがあります。
2・注射剤
オバホルモンデポーとルテスデポーを用います。
オバホルモンデポーはエストロゲン製剤、ルテスはエストロゲンと黄体ホルモンの合剤です。
月経第5日目にオバホルモンデポーの注射を行い、15日目にルテスの注射をします。25日目頃に、出血があります。これを月経と考え、採卵周期開始、となります。
上記の内服薬のカウフマン療法と同様に、エストロゲン製剤のにより、卵胞発育が抑制され、黄体ホルモンを後から併用することにより、人工的にホルモン的な排卵周期を作ることができます。
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高度生殖医療のラインナップ(一部加筆修正しました)
どちらへコメントしていいか悩み、とりあえずこちらに書き込んでしまいました。
今日、生理痛のような感じで体調が悪いなと思っていたら、わずかですが出血がありました。
大丈夫でしょうか??
今日でピルを飲み始めて20日目です。
毎日、かかさず決まった時間に飲んでます。
あと心電図の結果はやはり12月中旬に出るそうです。
心電図は予約を入れないで行っても大丈夫ですか?
お忙しいところ申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
OCは、内服中生理(正しくは消褪出血)がなく、服用後に起こりますが、内服中の不正出血が起こることがあります。説明が足らず、申し訳ありません。
不正出血があってもプレトリートメントとしてのOCの効果に影響はなく、また身体に対しても悪影響はありません。
採卵前検査としての心電図ですが、日程によっては出来ないことがあります。
お手数ですが、予約枠がない場合でもその日に出来るかお問い合わせの上、来院されるよう、お願いいたします。
不正出血のことは前の記事にも書いてありましたね。すいません。
生理がくるのかと思ってちょっと不安になってしまいました。
心電図の件は了解しました。