腟内を洗浄、消毒した後で、腟内の子宮口から子宮の中にチューブ(ヒスキャス、住友ベークライト社)を留置し、生理食塩水を注入しながら超音波検査を行います。
これまで、超音波用の造影剤(レボビスト)を用いて検査を行っておりましたが、レボビストは製造中止となってしまいました。
超音波下検査は従来のレントゲンを使った造影検査(子宮卵管造影検査、HSG)に比べて、
・放射線被曝の危険性がない。
・ヨード性造影剤を使わないので、アレルギーの可能性がきわめて低く、痛みが少ない。
・1日の検査ですむ、その場で結果が分かる。
などのメリットがあります。
以前書いた、クラミジア抗原検査でクラミジアが陰性であることを確認してから行います。
卵管検査は月経終了後から排卵の前に行います。なるべく排卵日より前が望ましいです。
当院ではこの検査は月・水・木・金・土曜日(土は午前中)に行っており、検査時間は約10分です。
予約をおとりになった上で検査を行います。
ヨード性造影剤に比べ、安全性が高いのが特徴ですが、レントゲンで行う子宮卵管造影をお受けになった患者さんは、ほとんど、この本法の方が痛みが軽くすんだ、とおっしゃっています。
通常の卵管検査は卵管通水検査となり、
クラミジア既往、下腹部手術既往、子宮内膜症など、
卵管因子の強い方、また通水検査で卵管の所見が分かりにくい方には、
フェムビューを用いた卵管検査をおすすめします。
*フェムビューとは
これまで用いられてきたレボビストに変わる検査機器ですが、原理はとてもよく似ています。
生理食塩水に細かい水泡を作り、これを子宮内宮から卵管、腹腔内へと通水し、超音波でそれを観察します。
フェムビューを用いた卵管検査は、子宮内チューブ(ヒスキャス)と、検査後の感染予防のために内服していただく抗生物質を含めて全額自費でご負担いただきます。
検査料金は、
これまでのレボビストを用いた卵管検査:11,000円(一部保険)
↓
通水検査:8,000円
または
フェムビューを用いた卵管検査:26,000円(全額自費)
となります。
卵管検査に関するよくあるご質問については、こちらにまとめましたので、ご覧下さい。
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クラミジア感染症
(初出:2013年1月21日)
(一部加筆:2014年10月9日)
痛みが怖いので、レボビストで検査をして、詰まっていたら、レントゲンをすればいいのでしょうか?
医療において、どの検査や治療を行うか、おおよそ標準化はされていますが、個々の医師の考え、また患者さんに対して、その医師が最も良いと思われるものを選択しています。
担当の先生の仰ることも正しいですし、我々はレボビストを用いる方法が、ベターだと思っています。
「軽い癒着..」は、卵管造影検査後に妊娠率の向上がみられることがあることを指しているものと思います。油性の造影剤を用いた場合、他の造影剤に比べて妊娠率が向上する科学的な根拠があるようです。
「痛みが怖い...」もその通りです。詳細な情報が得られない、再検査が必要であれば、レントゲンを用いた検査を行っても良いと思います。もっとも、我々はレボビストだけで診断を下していますが。
患者さんの不妊治療に対する考え方によって、検査を勧めるタイミングが異なります。
いち早く妊娠したい気持ちは皆さん同じですが、たとえば妊娠を考えてから日が浅い、とか、年齢が若い場合など、具体的に話が進んでいない可能性もあります。
申し訳ありませんが、次回外来のときにでも、卵管造影についてご質問ください。
レントゲンの造影は、痛みのほかに、デメリットがあるのでしょうか?油性という事は、体内に残りそうですよね?それもちょっと怖い気がしますね…。
不妊関係のどんな本を読んでも、ほぼ、卵管造影=検査であり、治療である、といった感じの書き方ですし、ネット上でも、造影後半年くらいは、ゴールデン期間などという書き込みが多いから、覚悟を決めた所なのですが。
ありがとうございました。
卵管造影は治療目的に行うものではありませんが、治療効果もあります。ややこしいですが。ゴールデン期間はよく6ヶ月と書かれていますが、はっきりとしたことはなかなか言えないですね。印象としては、やはり検査後早いうちに妊娠される方が多い気がします。
通院して半年になるのでそろそろ卵管造影検査を考えているところです。
レボビストが製造中止になってしまったのですね。
子宮内膜症があるので、レボビストがなければフェムビューになるということですよね。
内膜症があっても、通水検査で所見が得られることもあります。得られない場合にはフェムビューを使って検査いたしましょう。