2013年01月21日

卵管検査(超音波下卵管造影検査、卵管通水検査) 〜不妊スクリーニング検査〜

卵管の通過性を調べる不妊スクリーニング検査です。

腟内を洗浄、消毒した後で、腟内の子宮口から子宮の中にチューブ(ヒスキャス、住友ベークライト社)を留置し、生理食塩水を注入しながら超音波検査を行います。

これまで、超音波用の造影剤(レボビスト)を用いて検査を行っておりましたが、レボビストは製造中止となってしまいました。

超音波下検査は従来のレントゲンを使った造影検査(子宮卵管造影検査、HSG)に比べて、

・放射線被曝の危険性がない。
・ヨード性造影剤を使わないので、アレルギーの可能性がきわめて低く、痛みが少ない。
・1日の検査ですむ、その場で結果が分かる。

などのメリットがあります。

以前書いた、クラミジア抗原検査でクラミジアが陰性であることを確認してから行います。

卵管検査は月経終了後から排卵の前に行います。なるべく排卵日より前が望ましいです。

当院ではこの検査は月・水・木・金・土曜日(土は午前中)に行っており、検査時間は約10分です。
予約をおとりになった上で検査を行います。

ヨード性造影剤に比べ、安全性が高いのが特徴ですが、レントゲンで行う子宮卵管造影をお受けになった患者さんは、ほとんど、この本法の方が痛みが軽くすんだ、とおっしゃっています。

通常の卵管検査は卵管通水検査となり、
クラミジア既往、下腹部手術既往、子宮内膜症など、
卵管因子の強い方、また通水検査で卵管の所見が分かりにくい方には、
フェムビューを用いた卵管検査をおすすめします。

*フェムビューとは

これまで用いられてきたレボビストに変わる検査機器ですが、原理はとてもよく似ています。
生理食塩水に細かい水泡を作り、これを子宮内宮から卵管、腹腔内へと通水し、超音波でそれを観察します。

フェムビューを用いた卵管検査は、子宮内チューブ(ヒスキャス)と、検査後の感染予防のために内服していただく抗生物質を含めて全額自費でご負担いただきます。

検査料金は、

これまでのレボビストを用いた卵管検査:11,000円(一部保険)
       ↓
通水検査:8,000円
または
フェムビューを用いた卵管検査:26,000円(全額自費)


となります。

卵管検査に関するよくあるご質問については、こちらにまとめましたので、ご覧下さい。

関連記事
 クラミジア感染症

(初出:2013年1月21日)
(一部加筆:2014年10月9日)
posted by 桜井明弘 at 00:00| Comment(9) | TrackBack(0) | 生殖医療(不妊治療)一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。私の通っている病院の先生は、レボビストでは、はっきりとした情報が得られないから、レントゲンでやるべきだとおっしゃいます。軽い癒着をはがしたり、卵管の内部?の機能を改善することもある、とか言っていたような…。

痛みが怖いので、レボビストで検査をして、詰まっていたら、レントゲンをすればいいのでしょうか?
Posted by kana at 2010年06月07日 20:58
kanaさん、はじめまして。

医療において、どの検査や治療を行うか、おおよそ標準化はされていますが、個々の医師の考え、また患者さんに対して、その医師が最も良いと思われるものを選択しています。

担当の先生の仰ることも正しいですし、我々はレボビストを用いる方法が、ベターだと思っています。

「軽い癒着..」は、卵管造影検査後に妊娠率の向上がみられることがあることを指しているものと思います。油性の造影剤を用いた場合、他の造影剤に比べて妊娠率が向上する科学的な根拠があるようです。

「痛みが怖い...」もその通りです。詳細な情報が得られない、再検査が必要であれば、レントゲンを用いた検査を行っても良いと思います。もっとも、我々はレボビストだけで診断を下していますが。
Posted by 桜井明弘 at 2010年06月19日 01:21
そちらで治療させていただいておりますliberaと申します。卵管造影検査を行っていないのですが(治療開始3ヶ月目)、先生より何も言われなければ、受けなくてもよいものなのでしょうか?インターネット検索をしていると、卵管造影検査は不妊治療には付き物という印象を受けましたので、ご教示いただければと思います。
Posted by libera at 2010年06月19日 22:06
liberaさん、こんばんは。

患者さんの不妊治療に対する考え方によって、検査を勧めるタイミングが異なります。

いち早く妊娠したい気持ちは皆さん同じですが、たとえば妊娠を考えてから日が浅い、とか、年齢が若い場合など、具体的に話が進んでいない可能性もあります。

申し訳ありませんが、次回外来のときにでも、卵管造影についてご質問ください。
Posted by 桜井明弘 at 2010年06月19日 23:53
桜井先生、早々のご返信ありがとうございます。次回伺ってみようとおもいます、よろしくお願いいたします。
Posted by libera at 2010年06月21日 10:58
お忙しい中、返信頂きありがとうございました。
レントゲンの造影は、痛みのほかに、デメリットがあるのでしょうか?油性という事は、体内に残りそうですよね?それもちょっと怖い気がしますね…。

不妊関係のどんな本を読んでも、ほぼ、卵管造影=検査であり、治療である、といった感じの書き方ですし、ネット上でも、造影後半年くらいは、ゴールデン期間などという書き込みが多いから、覚悟を決めた所なのですが。

ありがとうございました。
Posted by kana at 2010年06月22日 22:09
kanaさん、こんにちは。油性の造影剤ですが、確かに体内の残存期間は、短いとは言えません。たまにダグラス窩と呼ばれる、腹腔内で一番低い部分に癒着を作ることもあります。ただ、これはあまり病的な意義はない様です。

卵管造影は治療目的に行うものではありませんが、治療効果もあります。ややこしいですが。ゴールデン期間はよく6ヶ月と書かれていますが、はっきりとしたことはなかなか言えないですね。印象としては、やはり検査後早いうちに妊娠される方が多い気がします。
Posted by 桜井明弘 at 2010年07月07日 17:23
櫻井先生こんにちは。
通院して半年になるのでそろそろ卵管造影検査を考えているところです。
レボビストが製造中止になってしまったのですね。
子宮内膜症があるので、レボビストがなければフェムビューになるということですよね。
Posted by さち at 2013年01月23日 12:48
さちさん、こんにちは。

内膜症があっても、通水検査で所見が得られることもあります。得られない場合にはフェムビューを使って検査いたしましょう。
Posted by 桜井明弘 at 2013年01月25日 12:02
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。