2007年11月26日

第483回横浜市医師会「医学研修の日」 『これからのインフルエンザ対策 新型インフルエンザの備えは万全か』

11月10日にロイヤルホールヨコハマで行われた市の医師会主催の勉強会に出席して来ました。

けいゆう病院の小児科部長、菅谷憲夫先生のご講演で、目からうろこでした。

インフルエンザの治療薬として、あまりにも有名になった「タミフル(中外製薬・ロシュ〈スイス〉)」。当初はA型インフルエンザにしか効果のなかった「シンメトレル(ノバルティス)」に代わる、夢のインフルエンザ特効薬として、そして昨シーズンからは副作用とされた異常行動との関係において。

タミフルによる異常行動を論じる前に、インフルエンザ脳症による異常行動について知らなければなりません。
インフルエンザ罹患者の2〜10%もの患者さんに異常行動が見られる、とされています。ほとんどが発熱後24時間以内に見られ、後で聞くと、「怖い怖い」と恐怖感情があるそうです。
国内で異常行動が見られたケースを見返すと、半数にタミフルやリレンザが投与されていたそうですが、その半数が投与前に見られた異常行動、残りの半数もほとんど1回だけの投与後に異常行動が見られたそうです。
この点では、タミフルやリレンザによる異常行動なのか、そもそもインフルエンザによって見られた異常行動なのか判別できません。

朝日新聞を中心に、タミフル攻撃が展開されたそうですが、記事の根拠となるデータが、製剤の毒性試験結果でした。毒性試験とは、医薬品が開発・販売される過程で義務付けられた動物実験で、どれくらい投与すると悪影響があるか、端的に言うと、生命の危険があるか、という極端な試験です。タミフルの場合も、通常投与量の250倍の毒性試験が行われ、7日の幼齢ラットに投与したところ、70例中10例が死亡(脳内移行が証明)、42日の成熟ラットでは28例で死亡例はなかったそうです。ちなみに250倍量とは、60kgの体重の方が、一度に800カプセル服用する量だそうです。
しかしながら国内で沸き起こるタミフル攻撃に、遂に発売元の中外製薬から、警告が発表されました。

講演内容はまだまだ続き、タミフルによる異常行動は、報道されているよりもずっと少なく、もしかしたら問題がないかもしれない、それよりもタミフルがいかにインフルエンザを早期に治癒させ、インフルエンザによる死亡者現象の一翼を担ったか、と続きます。また流行が危惧されている新型インフルエンザの対処法について、非常に興味深い内容でした。

次回以降、分かりやすく書いていきたいと思います。

当ブログ、「いよいよインフルエンザシーズン到来 〜インフルエンザとは? 新しい知見は?〜」も随時加筆修正しておりますので、ご覧ください。
posted by 桜井明弘 at 00:24| Comment(0) | TrackBack(2) | 医療一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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