2007年11月12日

子宮内膜症は増えているのか?

よく内膜症の特集などで、「子宮内膜症は増えている」と言うフレーズを目にします。実際にどれくらい前と比較しているのか明らかではなく、現在の患者さんたちのお祖母さんたちの時代と比較したらどうか、もっと近年のお母様方の時代では、と考えますが、内膜症という病気の概念がなかった、もしくは乏しかったため、当時の内膜症の発生率などは分かりません。

「内膜症は生理のたびに悪くなる」これもよく耳にしますが、これは本当だと思います。もちろん進行の速さや、再発の有無など、個人差がありますし、同じ患者さんでも内膜症が進んだり止まったり、また進んだり、と生理が来ているときでも一概に言えません。また「妊娠すると内膜症がよくなる」も本当で、妊娠で内膜症が治ったり、進行が止まったり、と言う患者さんをよく経験します。
「産むと生理痛が軽くなる」とは言われてきたことで、これを考えると、昔からきっと内膜症はあったのでしょう。

現代女性は上の世代の方々と比べると食生活の欧米化などで明らかに栄養状態がよく、初経年齢が早まっています。また進学や就職があるため、結婚年齢が上昇し、初産年齢が30歳を超えました。妊娠回数は少なく、出産は多くて3回くらいでしょう。さらに平均的な日本人の閉経年齢は52歳だそうです。これに対し、上の世代の方々は個人差があるものの、初経が遅く、まもなく結婚し、妊娠、出産をしました。出産の後、すぐにまた妊娠、と出産回数が多く、また閉経が早かったです。
こう考えてくると、現代女性と上の世代の女性では、最も異なるのが生涯の月経の回数です。「内膜症は生理のたびに悪くなる」が真であれば、現代女性のほうが内膜症にかかりやすい人生を送っている、といっても過言ではありません。
他に増えている理由として、以前にも触れましたが、数年前にはダイオキシンなど環境ホルモンの影響があるのではないか、と大分騒がれました。確かに土壌汚染など環境の悪化により病気が増えている、と言うのはわかりやすいですし、センセーショナルです。当時はこれを単なる統計的なデータとしてだけではなく、実験的に証明すべく、各方面で研究も盛んでした。
最近あまり学会発表も目にしなくなりましたが。

現代女性に内膜症が増えている最も大きな要因は、上に挙げた、月経回数が増えたことによる、と思われます。


posted by 桜井明弘 at 00:53| Comment(2) | TrackBack(2) | 子宮内膜症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
内膜症の数値があがれば不妊症になるということですか?
Posted by 名無し at 2010年03月06日 00:05
名無しさん、こんばんは。

「内膜症の数値」とは、おそらく、腫瘍マーカーCA125の値のことだと推察します。

以前に書いた記事もご覧下さい。
http://cl-sacra.seesaa.net/article/104759039.html
http://cl-sacra.seesaa.net/article/67418539.html

CA125の値は、主に内膜症の「活動性」と関連しています。
また、内膜症が不妊の原因となる理由にはいくつかの機序が考えられていますが、CA125値と不妊に、直接的な関係はまだ証明されていないと思います。
Posted by 桜井明弘 at 2010年03月07日 23:02
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

卵巣チョコレートのう胞
Excerpt: 卵巣に内膜症病変が発生し、卵巣の中に血液がたまる病態があります。古くなった血液が、あたかもチョコレートを融かしたように見えるので、「卵巣チョコレートのう(嚢)胞」と呼ばれます。病気の名前にお菓子の名前..
Weblog: 産婦人科クリニック さくら http://www.cl-sacra.com/
Tracked: 2007-11-16 23:01

「ディナゲスト」 ~子宮内膜症の新しい内服治療薬~
Excerpt: 来週1月21日に、子宮内膜症の新しい治療薬が発売されます。 内服の治療薬は、実にダナゾール以来、とのことで、新しい薬に期待が集まっています。 最近ではGnRHアゴニスト製剤が注射剤で数種類発売されて..
Weblog: 産婦人科クリニック さくら http://www.cl-sacra.com/
Tracked: 2008-01-19 23:52
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。