がんの征圧には、様々な治療の開発、発がんの研究などが大きな役割を持ちますが、一方でわれわれが健康を享受し、がんにならないためには規則正しい生活や喫煙、節酒が勿論必要です。
しかしながら、人体にがんが発生するのは100%防げるものでは有りません。
これまでお伝えしてきたように、がんの治療、予後は早期のがんと進行がんでは大きく異なります。
いかにがんを早期に見つけるか、子宮頚がんや子宮体がんのように「前がん病変」といえる状態のうちに発見し、それ以上進行しないようにするためにはどうしたらいいのでしょうか。
答えは「がん検診」です。
婦人科の3大がん検診は
・子宮頚がん
・子宮体がん
・卵巣がん
です。

それぞれ発生する可能性がある方は異なります。
「子宮頚がん」は以前書いたように、HPVというウィルスが原因です。これは性交渉で感染するため、性交渉の経験が有る方は1年に1回お受け下さい。HPVが感染してすぐに発がんするわけではないので、年齢の目安は20歳です。最近、当院を受診される20代前半の方でも前がん病変が数人見つかっています。出産や閉経を迎えても検診の対象となります。
「子宮体がん」は子宮内膜のがん化。40歳代から閉経後に見られ、不正出血が症状として見られます。また超音波検査で子宮内膜が非常に厚い場合、不整に見える場合、子宮内膜ポリープがある場合は検査をお勧めします。
「若年性体がん」といって、まれではありますが、20,30歳代くらいでもみられることがあります。無排卵周期の方にみられ、数ヶ月生理が来ない方や不正出血がある場合には検査を行います。
「卵巣がん」は原因がはっきりしませんが、10、20歳代でみられる「胚細胞腫」といわれるもの、20歳代以降、40-60歳代をピークに発症する卵巣がんがあり、やはり全年齢が対象になります。
検診の方法もそれぞれ異なり、いずれも内診が必要ですが、
「子宮頚がん」は子宮頚部の細胞診、綿棒でこするので痛みはありません。
「子宮体がん」は子宮内膜の細胞診、内膜細胞を採るため、多少の痛みがあります。
「卵巣がん」は経腟超音波検査。性交経験のない方は肛門から診たり、お腹から診ることもあります。通常痛みは有りません。
よりよい、効果の高い治療の開発や研究は、研究者や医師の努力によりますが、自分の身体は自分で検診を受けることが必要です。
是非1年に1回の検診をお勧めしたく、がん征圧月間である今月は、産婦人科クリニック さくらでもがん検診を啓蒙して行きたいと思います。
当院で行っている女性健康外来もあわせてご覧ください。