2012年05月18日

卵巣過剰刺激症候群(OHSS) 〜高度生殖医療の合併症とその対策〜

他の記事のお寄せいただいたコメントから、記事の内容を5年ぶりに一部補筆修正して再度アップ致します(初出2007年8月14日)


高度生殖医療でみられる合併症、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)について、またその発症を防ぐための当クリニックの対策を書きます。

卵巣過剰刺激症候群、英語の頭文字をとってOHSS、とは、排卵誘発剤(主にhMGの注射)によって卵巣が過剰に刺激されて起こる副作用で、以下の症状があります。

・卵巣が腫れる(主に8cm以上)
・下腹部の痛み
・腹水や胸水がたまる
・尿量が減る
・血液が固まりやすくなる

 排卵誘発剤は、文字通り卵巣から排卵する卵胞の発育を誘発する方法で、卵巣を刺激します。刺激された卵巣に発育した卵胞の中には、顆粒膜細胞があり、この細胞が女性ホルモンの一つであるエストロゲンを産生します。
 エストロゲンは正常の排卵周期を作る最も大切なホルモンの一つですが、過剰に産生されるとOHSSを引き起こします。

 もちろん、OHSSはすべての人におこるわけではなく、診察では発症していないか、また発症した場合でも悪くなっていないかを診ていきますので、軽症〜中等症の場合がほとんどです。症状も次の月経までか、妊娠初期でほとんどの方は軽快しますが、妊娠により一時的に悪化する場合もあります。中にはOHSSになりやすい体質や、重症化して入院治療が必要となる患者さんもいますが、内服剤、例えばクロミッドなどでOHSSが起こることは稀です。

 排卵誘発剤は、内服薬、注射薬の順に効果が強くなり、注射薬のなかではFSH製剤、hMG製剤の順に効果が強くなります。効果が強くなると同時に副作用も多くなります。また排卵調節に用いるhCG製剤が発症のきっかけとなります。

 よって当院では、最初からhMG製剤を用いるのではなく、なるべく弱い効果でも効率よく良好な卵子が採取できるよう、工夫します。またhCG製剤の中でも、より低単位の3000単位から使用し、またhCGの代わりにGnRHa製剤による排卵調節も行なっています。


posted by 桜井明弘 at 23:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 高度生殖医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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