この記事は2007年8月11日のものを補筆修正して再度アップしています。
産婦人科クリニック さくらの「高度生殖医療のコンセプト」をお伝えします。
これも既に掲載した「生殖医療のコンセプト」と通ずるところがあります。ここでは中でも「高度生殖医療」に限定した内容を書きます。
一般的に、これまで高度生殖医療では、多くの卵子を回収する目的に、強い卵巣刺激を行う傾向があり、現在でも多くの施設で行われています。
また、妊娠率の向上のため、複数個の卵子を子宮に移植することが行われてきました。
最近まで「過排卵刺激」と呼ばれていた卵巣刺激法は、よりマイルドな方法が取られるようになってきました。自然周期で行う採卵や軽い排卵誘発剤、すなわちクロミッドやフェマーラなどの経口の排卵誘発剤の使用も行われます。また、より純度の高いリコンビナントFSHが国内でも使用できるようになり、安全度が増しています。さらにhCG製剤による採卵前の排卵コントロールも、GnRHa(GnRHアゴニスト)を点鼻薬として用いることにより、夜間に来院する手間が省けるだけでなく、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発生を予防します。
多胎妊娠も、確かに喜ばしいですが、妊娠中のリスクが高くなります。産婦人科クリニック さくらではこれを避けるため、「移植あたりの妊娠率が低下しても、採卵あたりの妊娠率は低下させない」ことを目標に、原則として単一胚細胞移植(SET)を、開業当初より行っています。
これまで多くの施設の成績は、胚移植あたりの妊娠率が中心でした。しかし、実際の治療で高いリスクと患者さんへの負担を強いるのは、採卵周期です。余った受精卵は凍結保存することにより、後で解凍し、移植することが出来ます。採卵あたりの妊娠率、への発想の転換です。
単一胚細胞移植、SETについては今年4月、日本産科婦人科学会から、会員向け会告が出され、全国的にSETを行う傾向が高まっています。
また安全面の対策として、採卵時には、超音波で血管を同定し、採卵時にこれを避けることにより、より安全な採卵を心がけます。
どのような卵巣刺激を選択するか、どのような胚移植を選択するか、これらは患者さんの価値観を優先して、相談して行きたいと思います。そうは言っても、メリットとデメリットがあるため、決めかねる、確かにそうだと思います。納得されるまで情報提供を行うことで、より適した方法と、よりご夫婦の価値観にマッチした方法を一緒に考えましょう。
また、生殖医療、不妊治療では、多くの悩みやストレスを抱えると思います。
妊娠への期待感と、上手く妊娠しなかったときの失望感が主な原因だと思います。また家族、職場、周囲の理解が得られないことも大きいですし、自費診療のため、治療費がかさむことも大きいと思います。
現在「産婦人科クリニック さくら」のスタッフも、生殖医療を基礎から勉強しなおし、またカウンセリングについても勉強しております。治療に疲れたな、どうしたらいいんだろう、もっともっと詳しく知りたいことがある、どんなことでも構いませんので、院長や桜井加那子医師をはじめ、どのスタッフでもお声を掛けてください。皆さんとともに真摯に考え、よりよい解決策を見出すお手伝いが出来たら、と思います。
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