2007年07月15日

「第6回生殖バイオロジー 東京シンポジウム」で発表しました。

本日、都内で「生殖バイオロジー 東京シンポジウム」と言う学会形式のシンポジウムで発表しました。

私が発表した内容は、このブログでも何回か書きましたが、去年の11月に、東京女子医科大学大2生理学教室の宮崎俊一前主任教授の退官記念国際シンポジウムでPLCζ(ぜーた)という精子由来の卵活性化因子の臨床応用について、再度発表する機会を与えられました。

体外受精・顕微授精で受精卵が得られない方の中に、精子にあるべき卵巣を活性化するたんぱく質がなかったり、部分的に異常を来たしている可能性があります。
まだ臨床応用の段階ではありませんが、ヒトのPLCζも同定されているので、この蛋白合成障害があった場合、卵活性化障害となり、受精卵が得られないため、このPLCζを顕微授精するときに精子と同時に卵子内に注入すれば、この受精障害が解決できるかもしれません。

また、受精だけでなく、1つの卵細胞が2細胞、4細胞、と分割するときにも、このPLCζが重要な役割を持っている可能性もあり、受精したけど分割しないため、胚移植できない患者さんにも応用できるかもしれません。

本シンポジウムでは、培養室の環境づくりやリコンビナントFSHの使用成績、など興味深いものが沢山ありましたが、今回は私の発表もそうですが、「精子」に関係した発表が多かったです。
とかく数が少ない卵子については、多くの研究がされていますが、卵子に比べ、精子の研究はそれほど多いとは言えません。
今回、精子の形態による選別や、形態や運動能だけでは精子の本当の機能を評価できない、など、刺激的な内容も多かったです。

高度生殖医療、ARTの分野ですが、顕微授精や受精卵凍結以来、革新的な技術は余り見られていませんが、国内だけでも多くの先生方や研究者の方々が、日夜、よりよい治療、より高い妊娠、を目指して、研究が続けられているのを見て、勇気付けられたのと同時に、私も同じように、新しい知見を勉強するだけでなく、「産婦人科クリニック さくら」から一つでも新しいことを産み出していきたい、と、改めて思いました。
posted by 桜井明弘 at 23:43| Comment(0) | TrackBack(1) | 生殖医療(不妊治療)の研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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