2016年05月04日

高度生殖医療、2016治療方針のご案内

産婦人科クリニックさくらでは、体外受精など、高度生殖医療の治療成績を毎年振り返り、より妊娠率の高い方法を皆さまにお勧めしています。

妊娠率は女性の年齢AMH(抗ミュラー管ホルモン)値によって異なります。

産婦人科クリニックさくらでは、年齢とAMH値によって卵巣機能を5つのグループに分け、それぞれの治療方針を立てています。

Aグループ;40歳以下でAMHが3.0以上
Bグループ;40歳以下でAMHが1.0〜3.0
Cグループ;40歳以下でAMHが1.0未満
Dグループ;41歳以上でAMHが1.0以上
Eグループ;41歳以上でAMHが1.0未満
そして多嚢胞性卵巣(PCOS)またはそれに準ずる方で、AMHが5.0以上が目安です。

このAMH値ですが、3.0は33歳相当、1.0は43歳相当です。

これらのグループ別に、治療前に行う準備、卵巣刺激法、受精卵の培養期間、受精卵凍結の有無(新鮮胚移植をするか)が決められます。表にすると、以下のようになります。

2016戦略1.jpg

2016戦略2.jpg

・治療前の準備
Aグループの方は卵巣機能が良く、妊娠率もとても高いため、行う必要はありません。
B〜Eグループの方たちには、4種類のサプリメントを服用して頂くことをお勧めします。
 厳密にはMVMとARTサポートがサプリメント、DHEAメラトニンは医薬品に分類されるため、後2者は服用前に同意書にサインを頂いています。
 これらのグループの方たちは、4種のサプリを服用して頂いた方が、妊娠率が向上します。
Eグループの方たちには、さらに妊娠するカラダ作りのため、当院の漢方専門外来受診もお勧めしています。

・卵巣刺激法
採卵までに卵胞を育てる方法です。

卵巣機能の良いA、Bグループでは、Long法が最も妊娠率が高いです。ただし、Long法は毎日注射通院が必要です。
次に妊娠率が高いのが、FSH(ゴナールF、フォリスチム)の自己注射をする方法で、Aグループは内服薬クロミッド、Bグループはレトロゾールを併用します。
連日通院も自己注射も出来ない場合、次の方法は自然周期です。自然周期は基本的に一つだけ卵胞が育ちますので、得られる卵子は一つだけであることがほとんどです。
自然周期で排卵が出来ない、または排卵がとても遅い場合は内服薬の排卵誘発剤、Aグループはクロミッド、Bグループはレトロゾールを服用します。

多嚢胞性卵巣の方は、クロミッドに注射製剤であるHMGを併用する、連日通院の方法が最も妊娠率が高く、連日通院出来ない方にはFSHの自己注射を併用する方法が勧められます。

Cグループではレトロゾールの内服が最も妊娠率が高いため勧められます。

D、EグループではHMGアンタゴニスト法、連日HMGによる注射をお勧めします。

・培養期間
採卵後の体外培養期間です。

A、Bグループは胚盤胞まで育てる、採卵後5または6日目まで、C~Eグループは分割期である2日目まで体外培養します。

新鮮胚移植/凍結融解胚移植
採卵した周期に体外培養を経て胚移植するか、一度胚凍結して次の周期以降に融解胚移植を行うか、です。

A、Bグループでは、これまでの規定内であれば新鮮胚移植が可能です。
すなわち、
・子宮内膜が10ミリ以上に達している
・採卵前のE2(エストラジオール)値が1000以下
・両側の卵巣腫大がない
などです。

C~Eグループでは採卵後2日間培養し、凍結保存して次の周期以降に融解胚移植することをお勧めします。


これらの方法はあくまでも昨年の妊娠率の高い方法の順に治療法を決定しました。
治療を受けるカップルのご都合や価値観を共有し、より良い治療法選択を一緒に考えていきたいと思います。

治療相談は、「さくら相談室」もご利用になれますので、お気軽にご連絡下さい。
posted by 桜井明弘 at 08:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 高度生殖医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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