時には患者さんの質問などから、最近はそんなことが言われているんだ、そんな商品が販売されているんだ、とこれも教えて頂くことがとても多いです。
言葉も同様で、「茶おり」と言う患者さんが増えています。茶色のおりもの、と言う意味のようです。
妊娠12週くらいからを指す、「安定期」という言葉も、実は医学用語はなく、俗語です。対する妊娠11週までの時期を「不安定期」とは呼びませんし、決して不安定とは言い難いからです。
さて、今回の都市伝説的な俗語、「ピル抜き」です。
ピル、現在では多くの方が低用量ピル(OC、LEP)を服用されています。主な目的は、避妊、月経不順を改善するため、月経痛、月経前症候群(PMS)、ニキビ、肌荒れなど。。
都市伝説では、「あんまり長い間飲み続けるとカラダに悪い」「たまにはピルを飲まない月を作った方が健康的」という理由から、「ピル抜き」という言葉が生まれたようです。
まずこの都市伝説が正しいのは、多かれ少なかれ、薬剤の長期的な服用により、副作用が起こりうる、と言う点です。
産婦人科クリニック さくらでは、副作用をチェックするため、血圧測定、問診、そして血液検査を行っています。
そして「ピル抜き」が誤っているのは、ピルの最大の副作用、血栓の発症パターンが無視されている点です。
血栓症は、服用を開始後最初の1ヶ月の間に最も起こりやすい、とされています。この開始後1ヶ月、とは、「ピル抜き」をした後に再開した最初の1ヶ月も同様の傾向があるのです。
つまり、ピルは服用しないなら一切しない、しかしながら服用する必要のある方は、出来るだけ継続して服用した方が、血栓症の発生、と言う観点からは、より安全、と言うことになります。
かつてはピルを服用した後の出血がない時には、1ヶ月空けましょう、と指導していました。
これはピルを服用しているとは言え、わずかながら妊娠する方がある、これを見逃してはいけない、と言う考えがベースにありました。
ピルはきちんと服用、さらにコンドームを併用することで、避妊率を高めます。
ですから、出血がなくてもこれらの点に留意していれば、妊娠は考えにくい、さらには休薬する必要がない、と言うことになります。
もちろん、ピルには血栓以外のマイナートラブルや副作用もありますから、休薬してはいけない、と一概に言えませんが、自己判断で休薬・再開したりせず、医師の指導をお受けになって下さい。
(初出:2015年5月5日)