低用量ピルは排卵を止めることで避妊効果やその他の副効用が期待されます。
つまり毎月消費されている卵子の消耗が抑えられる、という理由です。
著名な先生が監修された、有名な女性雑誌での特集にも小さく取り上げられたりしてましたから、この都市伝説は意外と広範囲に信じられているのではないでしょうか。
そもそも人間の臓器は、使用されなくても老化、エイジングがあります。
また臓器そのものでなくても、持って産まれた卵子は増えることはなく減少する一方ですが、細胞にはアポトーシスという現象があり、そのため低用量ピルを服用してもしなくても、同じ様に卵子は失われていきます。
例えば35歳で低用量ピルを服用し始めて、閉経を過ぎた60歳まで服用するとします。
服用を止めたら排卵するでしょうか、妊娠が出来るでしょうか。
一方でこの仮説、指示するかのようなデータもあります。
20歳以上の方が10年以上ピルを服用していると、服用後の妊娠率が高くなる、と言うものです。
さらに、日本国内で低用量ピルとして処方されているものは全て、エストロゲンの含有量が少ないため当てはまりません。
また、この疫学的なデータが、果たして卵子の温存によるものか、もちろん分かっていません。
皆さんの中に広められた噂、を一つ一つ訂正していくのも我々の務めとは思いますが、正しい医療知識を知って欲しいと思います。

