最近お問い合わせの中に、月経痛に対する鎮痛剤の使用方法がありました。
以前より外来では、特に鎮痛剤を使用する際に多くの方が持ってらっしゃる誤解、ことにお母さま方の世代の方がよく仰る点についてお話しすることが多いため、改めてまとめてみました。
・「鎮痛剤を飲むとカラダに悪い」
ここでお話しする鎮痛剤は、いわゆる非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)と言う一般的な鎮痛剤で、最近では代表的な「ロキソニン」もOTC薬として薬局で購入することが出来るようになりましたね。
NSAIDsの副作用の中で、重要なものに胃障害があります。軽くは胃炎、重篤になると胃潰瘍、胃穿孔を来します。
これは、NSAIDsが胃の血流を抑制するためです。
他にも腎障害などありますが、いずれもご高齢であったり、慢性的な病気を持ってらっしゃる場合に注意が必要で、一般的に月経痛に悩む世代の健康的な女性には、安全な薬として認識しています。
また、月経痛、一般的には鎮痛剤が必要なのは月に数日。毎日服用しなければならないお年寄りの病気と比べて圧倒的に服用のリスクは軽い、と言って差し支えないと思います。
・「鎮痛剤をいつも飲むと効かなくなってくる」
よく聞かれるフレーズですよね。確かにそう言われるとそんな気も。また実際に使っていると以前よりも効きが悪くなってきた。。
しかし、これらの鎮痛剤には、効果が弱まってくると言うこともありません。
その前に、そもそも月経痛の原因、きちんと検査しているでしょうか。
具体的には婦人科検診、内診、超音波検査です。また年に1回の子宮頸がん検診も忘れずに。
月経痛の原因として有名な、子宮内膜症や子宮筋腫、こう言う病気があれば、それらの病気が進行している可能性もありますから、きちんと婦人科検診を受けて下さいね。
・「鎮痛剤を飲むと癖になって止められなくなる」
麻薬じゃないんですから、これらの鎮痛剤には常習性はなく、飲まないといられなくなることもありません。
これらの誤解から、「鎮痛剤はなるべく飲まない方がいい」と結論づけているようですが、月経痛の辛い数日、寝込んで仕事や学校に行けなかったり、辛いのを我慢して過ごす方が、よほどカラダに悪いです。
人の身体はストレスに弱く、特に痛みは大きなストレスとなります。
実際痛みを感じているときには血圧が上がります。
自分に合った鎮痛剤を正しく服用して、月経期間中、痛みを感じない、または感じても快適に日々を過ごせるよう、上手くお付き合いして欲しいと思いますし、そのためのお手伝いを婦人科の外来では行っています。