2013年06月02日

麻疹(はしか)感染の予防 〜風疹感染予防とともに大切な妊娠前の情報〜

昨夏からの風疹の流行により、昨秋より妊婦さんが風疹感染し赤ちゃんの先天性風疹症候群の発症が急増しています。

風疹とともに、あるいはそれ以上に妊娠中の感染が危惧されるのが「麻疹(はしか)」です。

はしか、と言うとお子さんたちが罹る感染症、または子供の頃に罹った、ワクチンを打ったはずだから妊娠を考える世代には無縁、という皆さんの無意識が問題です。

妊娠中に麻疹に感染すると、子宮が収縮することにより、流産を起こすことが多くなります。ある報告では、70%にものぼる、とされています。
妊娠初期はもちろんですが、風疹と異なり、安定期に入っても流産や早産、さらに死産率が上昇します。

日本での患者数は推計で年間20万人程度とされ、小児の感染が多いようです。
しかし、小児以外も時々地域によって流行が報告されており、10歳代から20歳代前半、次いで20歳代後半の順に、ワクチンによる抗体価が低下すると感染の危険性があります。

下に示すグラフは、当院で妊娠を希望されている患者さんで、妊娠に備えて麻疹抗体の検査を行った患者さんたちの結果です。

麻疹NT.jpg


クリックすると拡大します。


384名の方が検査をお受けになり、4倍以下、にあたる19%がワクチン接種の必要性のある方たちです。

風疹と同様、妊娠を望んでらっしゃる、約20%の方が、麻疹の感染リスクを有している、と言うのは驚きの数字です。

是非、風疹と同じく、妊娠を考えている方は麻疹抗体価の測定もお勧めします。
また、現在行われている風疹の公費助成で接種されているMRワクチンは、風疹と麻疹の混合ワクチンです。一度のワクチンで、二つの感染予防となりますが、ワクチン接種ごは2ヶ月間の避妊が必要です。
2ヶ月間、妊娠を待機できる方は、是非ともMRワクチンをお受け頂きたいと思います。

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posted by 桜井明弘 at 19:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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