風疹とともに、あるいはそれ以上に妊娠中の感染が危惧されるのが「麻疹(はしか)」です。
はしか、と言うとお子さんたちが罹る感染症、または子供の頃に罹った、ワクチンを打ったはずだから妊娠を考える世代には無縁、という皆さんの無意識が問題です。
妊娠中に麻疹に感染すると、子宮が収縮することにより、流産を起こすことが多くなります。ある報告では、70%にものぼる、とされています。
妊娠初期はもちろんですが、風疹と異なり、安定期に入っても流産や早産、さらに死産率が上昇します。
日本での患者数は推計で年間20万人程度とされ、小児の感染が多いようです。
しかし、小児以外も時々地域によって流行が報告されており、10歳代から20歳代前半、次いで20歳代後半の順に、ワクチンによる抗体価が低下すると感染の危険性があります。
下に示すグラフは、当院で妊娠を希望されている患者さんで、妊娠に備えて麻疹抗体の検査を行った患者さんたちの結果です。
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384名の方が検査をお受けになり、4倍以下、にあたる19%がワクチン接種の必要性のある方たちです。
風疹と同様、妊娠を望んでらっしゃる、約20%の方が、麻疹の感染リスクを有している、と言うのは驚きの数字です。
是非、風疹と同じく、妊娠を考えている方は麻疹抗体価の測定もお勧めします。
また、現在行われている風疹の公費助成で接種されているMRワクチンは、風疹と麻疹の混合ワクチンです。一度のワクチンで、二つの感染予防となりますが、ワクチン接種ごは2ヶ月間の避妊が必要です。
2ヶ月間、妊娠を待機できる方は、是非ともMRワクチンをお受け頂きたいと思います。
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