これまで不妊治療にかかわる倫理問題はとかく国の議論として取り上げられにくく、更なる国民全体の世論形成が難しかったです。不妊治療にかかわらず、新しい医療技術が倫理的な問題を有している場合、いつも暗礁に乗り上げ、結局新技術を期待する患者さんへの精神的、肉体的な苦痛を強いていました。
向井亜紀さんや諏訪マタニティクリニックの代理出産が報道され、国がこんなに早く腰を上げることは余り無かったと思い、新しい傾向なのかな、と嬉しく思います。
しかも1年を目途に議論をまとめる、とは、大いに期待したいと思います。
が、人工授精や体外受精についても議論、今更どんな内容を議論するんだろう、と「?」が沸きました。同新聞記事(1日、朝刊)を読んでもこれ以上詳しい内容はありませんでした。
ラベル:代理出産
色々な価値観があるのは当然だと思いますが、私が一つ願うのは、代理出産に限らず不妊治療によって生まれた子どもを、決して色眼鏡で見るようなことはしないで欲しいと言う事です。
何年か前に、宮内庁が、皇太子殿下とお話をされる敬宮愛子様の肉声をテレビで公開すると言う、異例とも言える行動に出た事がありましたが、これは、「ああいう治療で生まれた子だから」発育が遅いとか、体が弱いなどと言う、一部の間違った知識を持った国民の声を払拭するためだったと聞いたことがあります。
愛子様がどんな治療でお生まれになったかは分かりませんが、特に、高度生殖医療で生まれた子どもに対して、医療従事者が、その健康面を把握するために、追跡調査を行う事は、今後の治療を進める上でも重要だと思います。でも、それ以外の一般市民が、子どもを偏見の目で見るということは、無くなって欲しいと願います。
私のような仕事をしていると、「色眼鏡」はありませんが、まだまだ一般的にはそういう見方がされてしまうことは残念でなりません。
国民一般に対する啓蒙活動は、継続的に行っていかなければならないし、この問題に携わっていない方々も含めた世論形成のために議論して欲しいと思います。