「学会」には二つの意味があると思います。
まず一つはその学問を探究する研究者の集まる「団体」を指す場合。
私が所属するものでも幾つもあるのですが、「日本産科婦人科学会」が、産婦人科医のほとんどが所属していますから、産婦人科では最も大きな学会です。
そこから、学会の会告、こんな治療はやってはいけない、など出されることもあります。
先日、私も「代理出産」について触れましたが、学会ではこれを禁止する会告を出しています。
http://cl-sacra.seesaa.net/article/25784073.html
http://www.jsog.or.jp/about_us/view/html/kaikoku/H15_4.html
いわゆるギルドのようなものですから、会員に対して、ある程度の規制権を持っている訳です。勿論法的な強制義務はないのですが。
もう一つは、私が良く言うような、「学会」に行って来る、行って来た、の場合。これは正しくは「○○学会学術講演会」とか「○○学会総会」という、簡単に言えば研究発表会です。
ここで発表するために日々基礎研究や臨床研究を重ねるというのもありますが、発表の義務はありません。ただ、他の産婦人科医師に向けて発表する、というのは生半可な研究ではいけませんし、発表内容については詳しく検討しておかなければなりません。この準備が結構大変なんですね。
私も大学の研究室にいた頃は年に幾つも発表があり、更に後輩の発表を指導し、と、年中学会発表に追い回されていました。今の病院に移ってから、発表する機会が少なくなったのですが、これに甘んじると日々の臨床だけになるので、それでもかなり楽です。ただ、そのままでは「呆けて」しまうので、自分に課題を課し、幾つかの発表は続けています。
こういう他の先生や施設からの発表を聞いたり、また「講義」のようなものもあるので、自分の知識を最新に保ち、新しい治療法を導入する良いきっかけとなるのです。
発表の形式は、ほとんどが一般企業などで行われているようなプレゼンテーションのスタイルです。以前はスライドでしたが、今はPCで行えます。
派手な画面を使ったり、最近では動画も見られます。私も腹腔鏡関係の発表をする時は動画を使うことも多いです。
ラベル:学会
さて、学会の発表はわたしもよく拝見しています。医療記者全員の例ではないですが、少なくてもわたしは医学雑誌の投稿論文や学会発表のなかから、新しい治療法やそのテーマに詳しい医師を取材先に選んでいます。そのとき、特に治療法を選ぶときは、その著者だけでなく、学会全体の意見なども第3者の医師に確認してから取材依頼をしています。
ぜひ、今後もクリニック開設でご多忙とは拝察致しますが、研究発表をお続けください。
取材、と書かれていたのですが、フクハラさんの姿勢は全く正しいものだと思います。
学会はいわば発表する自由があるため、好きなこと言えるんですよね、で、ちょっと気を衒った発表をすると特に注目を集める、しかしながら、それが正しいかは検証される機会がなかなかありません。
新聞など、信頼されるべき情報源ですら、対する意見を聞いてないな、第3者意見を聞いていないな、と思われる記事を散見します。
是非、これからもその姿勢で、お願いします。