2011年09月27日

第2のHPV予防ワクチン、「ガーダシル」、2011年8月26日発売へ。

HPVワクチン、4価ワクチン、ガーダシルの流通は解消されました。


国内では、第2のHPVワクチン、「ガーダシル」の講演会に、2週続けて参加してきました。
いよいよ発売が、8月26日に決定しました。

ガーダシルについては、既に当ブログでも再三記事にしております。

ご存知の様に、HPVワクチンには2価ワクチンのサーバリックスが1年半前から発売され、中1から実質高2生までの公的助成が行われる様になり、大分周知されて来た感があります。

現在先行して用いられているサーバリックスは、数あるHPVの遺伝子型のうち、子宮頸がんの原因のトップ2を占める16、18型に対する予防効果を有する2価ワクチンで、子宮頸がんの6割がこれにより防げる計算になります。

一方今回発売されるガーダシルは4価ワクチン、サーバリックスの2価に加え、6、11型の予防効果も有しています。この2つの遺伝子型は低リスク型のHPVですが、主に尖圭コンジローマの原因とされます。

つまり2価のサーバリックスでは子宮頸がん予防効果が、また4価のガーダシルではそれに加え、尖圭コンジローマの予防効果を有するのです。

子宮頸がんの予防効果は、現在ともに8年以上を経過し、同等である為、単純にガーダシルがサーバリックスに比べて二つの低リスクHPVに対する効果を有している分、アドバンテージがあるように思えます。

ここで両者の違いについて幾つか書いていきたいと思います。

まず第一に交差耐性の問題。

これはサーバリックスでは、16、18に対して産生された抗体(噛み砕けば、免疫力)が、近縁のHPVに対しても予防効果が見られ、既に5つの発がん高リスクのHPVによる、前癌病変である異形成の発症予防効果が認められています。
しかし、交差耐性は、まだ検討中ですが、恐らくガーダシルにも有りそうで、また交差耐性の場合、短期の予防効果しか無い可能性も有り、これを大きな特徴とする事は出来ないそうです。

またガーダシルの18型に対する抗体価が比較的早めに低下している事が注目されていますが、そもそも抗体価の測定法がサーバリックスと異なり、また抗体価がすなわち発癌予防効果と相関しない事、更には抗体価が低下していても18型に起因する発癌もみられていない事から、この抗体も大きな論点となり難いようです。

この様に書いてくると、現状ではサーバリックスに比べてガーダシルの方が、やはり当初の予想通り、4価であるため優位なようです。


ガーダシルとサーバリックスの違い、たかが尖圭コンジローマ、イボだから死ぬ病気ではない、と言った意見もありますが、尖圭コンジローマを診断され、長年に渡る治療を施されている患者さんの、経済的、肉体的、心理的負担はとても大きいです。

のみならず、産婦人科医でさえあまり馴染みの無い乳児再発性呼吸器乳頭腫は、尖圭コンジローマを有する妊婦さんより赤ちゃんに産道感染し、乳児期に繰り返される手術、また時に生命の危険さえあるとのことです。

勿論、両者の真の発癌予防効果は、10年、数十年後の歴史が証明する事で、現段階の短期間のデータでは憶測の域を出ません。

我々産婦人科医は、一人でも多くの女性に、HPVワクチンを接種してもらい、子宮頸がんの罹患や死亡をなくして行く事、そしてワクチン接種後も子宮頸がん検診を併せて行う事により、子宮頸がんを撲滅させる事が悲願なのです。


ガーダシル関連の過去の記事はこちらをご覧ください。

HPVワクチン

HPVワクチンで子宮頸がん撲滅

子宮頸がん予防ワクチン(ガーダシル)が不妊原因に、と言うデマについて

HPV予防ワクチン接種は痛い??


posted by 桜井明弘 at 16:38| Comment(8) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先生こんばんは。記事拝見しました。
比較するとガーダシルのほうが良いような感じを受けるので、まだサーバリックスも入ってこないし、この際だからガーダシルにしようかなと思ったのですが、ガーダシルは26歳までなのですか?
自分なりにもいろいろ調べていたのですが
対象が9〜26歳までと書いてあったので・・・


Posted by 鈴亜 at 2011年08月19日 23:56
鈴亜さん、いつもありがとうございます。

対象年齢は決まっていますが、自費による接種ですので、先生と鈴亜さんが十分理解していれば、接種は可能と思います。

私は対象年齢外でも積極的に接種することを推奨します。
Posted by 桜井明弘 at 2011年08月21日 11:42
ガーダシル打ってきました。
痛いです(泣)腕が上がりません。。。
打ってもらった病院でも言われましたが
「これで癌にならないと考えれば」と思い我慢します。

Posted by 鈴亜 at 2011年08月25日 22:57
当院でも26日から接種を始めましたが、、。

早いですね、26日から使えるようになったのですが。

痛みに関しては別記事もありますので、ご参照くださいね。
http://cl-sacra.seesaa.net/article/137855260.html
Posted by 桜井明弘 at 2011年08月27日 01:30
打ってもらった病院は婦人科ではなく、予防接種専門の病院で、海外から直輸入しているとのことで、前々から行っているそうです。接種後3日経って、ようやく腕を動かせるようになってきましたが、サーバリックスを受けた友達は4日間痛かったと言っておりました。
Posted by 鈴亜 at 2011年08月28日 00:04
なるほど、都心で行なっている施設ですね。

サーバリックスを打ってからの痛みですが、全く痛くない方から、1週間くらいまで。

痛みに対する感受性は人によって異なるので、他人と同じ反応ではありません。

助成対象の方たちの話を聞くと、年齢が若いほど痛みが強いようです。

また初回よりも2回目、と、接種回数が重なるほど痛みは軽くなっていくようです。
Posted by 桜井明弘 at 2011年08月28日 17:23
中3の娘にガーダシルを9/17土曜日に一回目を接種予定ですが、ここにきて公的接種者がガーダシルは今年度に限れば少ないので不安になってきました。(一回目の接種を9/30までにしなければいけないので)ただ自費で受けられている方もいらっしゃるようなので、無用の不安でしょうか。
Posted by 啓子 at 2011年09月15日 23:38
啓子さん、当院でお受けになられたのでしょうか。

不安、とありますが、今年度に限れば少ない、の意味が分りかねます。

再度投稿して下さい。
Posted by 桜井明弘 at 2011年09月19日 01:16
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