現在使用されているHPVワクチン「サーバリックス」は、日本の子宮頸がんの原因となっているHPVのうち、16、18番に罹らないよう予防する効果があります。
この16,18番は、子宮頸がんを起こしうる10数種類の高リスクのHPVの中でも日本では60%を占めるHPVです。
つまり、このワクチンを接種すれば、子宮頸がんの発症が40%くらいに低下させることが出来るのです。
さらに、近年の研究により、16、18のみならず、近縁のHPVまでも予防できる可能性が分って来ており、子宮頸がんの実に80%が発症しないで済むかもしれないのです。
ただ、この数字、決して100%では無いこと、お読みになればお分かりになると思います。
産婦人科医は、HPVワクチン+子宮頸がん検診をお受けになることで、子宮頸がんの発症を、少なくとも初期の段階で発見し、子宮頸がんによって亡くなる方を無くす、また、年々若年者の発症が危惧されている子宮頸がん、妊娠・出産を控えた方たちの発見により、子宮を取らざるを得ない悲劇を無くすことを目標にしているのです。
そんな活動をしている中で、最近当院に来院された患者さん。薬剤師の方で、当然我々からしたら、医療関係者ですし、何より薬のことは分ってらっしゃると思っていたのに、
私「子宮頸がん検査は最近お受けになりましたよね?」
患者さん「いえ」
私「じゃあ、今日は別件ですが、検査しておきましょうか」
患者さん「私、HPVワクチン受けたので、必要無いです」
私「...、でも予防効果は100%じゃないのはご存知ですよね?」
患者さん「はい。でもワクチンしたので、検査は希望しません」
このままでは堂々巡りになる可能性が大きいので、
私「それは貴女の考えですから、私も強制はできません。でも、貴女のように、プロフェッショナルの人が誤解していたり、それを周りの方たちに広めて欲しくは無いのです。お分かりですね?」
その後その患者さんは来院されなくなってしまいしたが、どこかで子宮頸がん検査を受けてくれれば良いのですが。また、私の「周りの方に、、、」の言葉は、医療情報について影響力のある人が、間違った情報を広めて欲しくなかった一心で伝えたのです。
このような患者さんが少なくありません。
ワクチンを受けた患者さんは勿論、助成対象の中高生ではもしかしたら意味がまだ分らないかもしれません。ですから一緒に来院されたお母さんたちに、一人ひとり、訴えて行くしかないのです
どうか、この記事をお読みの方たちは、誤解の無いよう、お願いします。
一人でも子宮頸がんを減らすべく、一緒に考えて下さい。