2010年09月18日

高プロラクチン血症

Twitter上で、「下垂体腫瘍のため、脳外科手術を受けた」方のツイートが、多くリツイートされていたため、急遽執筆しました。

高プロラクチン血症、血液中のプロラクチン濃度が高くなる病気で、原因は
・薬剤性
・下垂体腫瘍
・特発性
・ストレス
に大きく分けることが出来ます。

プロラクチン、とはどんなホルモンなのでしょうか。

授乳中に母乳を作るため。乳汁分泌ホルモン、とも呼ばれています。

当然授乳中のお母さんたちは、採血すればとても高い値を呈します。
妊娠中にも高くなってきますが、妊娠前から高い場合が病的とされるのです。

症状は、有名なところで乳漏症。乳首から母乳が出ます。ただし授乳婦さんとは異なり、沢山出ることは少なく、また白と言うよりも透明であったり、よく見ると滓が付着している、程度のことが多いですが、かなりご本人も驚くことが多いようです。

そして月経不順。最も悪ければ無月経。無排卵のことも、また単に月経が不順なだけのこともあります。もちろん無症状で産婦人科でホルモン検査をして初めて分る場合もあります。

また以前より、高プロラクチン血症の患者さんから得られる卵子、高度生殖医療の場合に分るのですが、受精しても良好胚でない、つまり卵の状態があまり良くない、ということもよく言われています。

さて、血液検査の結果、プロラクチンが高い場合はどうすればいいのでしょうか。

上にも挙げたように、プロラクチンが高くなる原因の一つに、ストレスがあります。
これは当院の患者さんでプロラクチンを研究されている先生がいらっしゃいますが、プロラクチンの話題で診療中に盛り上がりました。マウスなどでもストレスをかけることで、プロラクチンが上昇します。
この場合のストレス、とは、精神的、肉体的いずれも含みますが、プロラクチンが高い時には再検査が必要です。

再検査をしてもほとんど同じレベルのプロラクチンの値であれば、脳のMRI検査が必要です。
高プロラクチン血症の原因の一つに、脳にあるホルモン中枢、下垂体にプロラクチンを産生するプロラクチノーマ、という良性の下垂体腺腫があるからです。

妊娠を希望されていない、下垂体腺腫もない、月経もほとんど順調であれば、治療対象とならないこともあります。

しかし大きな下垂体腺腫は脳外科で手術が必要となることもありますし、小さな腺腫は薬物療法を行います。

症状のある、また妊娠を希望されている方の高プロラクチン血症も、薬物療法を行います。

薬物療法については、また記事を書きたいと思います。
posted by 桜井明弘 at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 卵巣機能不全・排卵障害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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