2009年08月25日

Add-back療法 〜日経ドラッグインフォメーション誌の取材を受けました〜

日経BPより発行されている、日経ドラッグインフォメーション(DI) 2009年9月号(9月10日発売予定)の、人気記事シリーズ「医師が語る処方せんの裏側」で、Add-back療法についての取材を受けました。
このシリーズには、これまで「子宮内膜症の痛みにロイコトリエン拮抗剤」とか「月経時偏頭痛の鎮痛剤」など、婦人科でも興味深いものがあるようです。ちなみにロイコトリエン拮抗剤は、このブログでも前に書きました。

Add-back療法については、一度触れたことがありますが、今回の取材を前に最新の知見がないか、再度調べなおしましたので、少し書きたいと思います。

子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症に対する偽閉経療法は、注射や点鼻薬により、一時的に卵巣の機能を抑制、エストロゲン分泌を低下させ治療効果を得る方法で、薬物療法の中では最も効果が高い方法です。エストロゲン依存性、とされる疾患に対し、エストロゲンを極力低下させるのですから、当然効果が高いものの、一方で更年期様症状をはじめとした副作用が大きな問題となっています。

この副作用には、自覚症状として更年期障害症状が見られます。
主な症状は「ほてり」「肩こり」「いらいら」で、他にも「不眠」などがあります。また、うつ症状が出ることもあります。
症状の種類や程度は患者さんそれぞれが異なります。更年期障害用の副作用は強く出る方と軽く出る方、全くない方、と様々です。

他覚症状として最も重篤とされるのは骨密度の低下、つまり骨粗鬆症(そしょうしょう)です。他にも更年期と同様、高脂血症(高コレステロール血症、脂質異常症)が見られることもあります。

この自覚される副作用を低減させる目的に、鎮痛剤、睡眠剤などの対症療法、漢方療法、注射剤では通常4週間ごとに投与する間隔を、5、6週間と長くするDraw-back、そして少量のエストロゲン製剤を投与するAdd-back療法があります。

Add-back療法にもさまざまな方法がありますが、私は簡便でエストロゲンレベルを上げすぎない、プレマリン(結合型エストロゲン製剤)を、2日に1錠(0.625mg)服用してもらっています。もちろん偽閉経療法の主作用であるエストロゲンレベルは、なるべく上げたくないので、上に挙げたようなさまざまな副作用低減の工夫を行った上ですが。

海外ではエストロゲン製剤の他、黄体ホルモンやボンゾールもAdd-Backに用いられていますが、黄体ホルモンは骨密度を上げないので、骨粗鬆症対策にはなりません。その他、最近国内でも発売になった更年期障害治療薬のジュリナやル・エストロジェルなどのエストラジオール(E2)製剤も、治療に用いることができそうです。

海外での文献は、ほとんどが更年期様症状に対する投与というよりは、骨量減少に対する治療効果を論じているものが多く、「エストロゲン製剤を含むAdd-back療法が、偽閉経療法による骨密度減少の予防効果がある」とされ、特に「若年者のGnRHaの際には、骨密度減少予防のため、Add-backが推奨」されています。
また日本では偽閉経療法は、骨密度減少を危惧し、6ヶ月間の投与しか保険適応が認められていませんが、「Add-back併用により、骨量減少をきたさないため偽閉経療法の6ヶ月を越える延長投与が可能になる」としているものもあります。

偽閉経療法による副作用に困ってらっしゃる方もあると思いますが、その一方で確実な効果も実感されるでしょう。偽閉経療法中はさまざまな工夫により快適に過ごせるのに、6ヶ月が過ぎ投与終了し、月経が再開するととたんに様々な症状に悩まされてしまう、何とか長期投与ができないものか、希望される方も少なくありません。Add-back療法の併用により、6ヶ月を越える偽閉経療法が保険適応されると多くの方がそのメリットを享受できると思います。


また後日、日経DI誌発売の際には皆さんにご一報したいと思います。


画像 2224 ヤドカリアップ.JPG
沖縄、読谷村のやどかり君です。

ねむの木ブログの「エコノミークラス症候群の予防に 〜その1〜」シリーズ、旅の前には是非ご一読を。

さくらトリートメントの「9月の営業日について」、
都合により、12日(土)、18日(金)は、お休みさせていただきます。

産婦人科クリニック さくら スタッフブログ、「診察の流れ」シリーズ、是非初診前にご一読いただくと、当日の流れがお分かりになると思います。
すでに受診されている方も、ご存じなかったことがあるかもしれませんよ?


posted by 桜井明弘 at 23:54| Comment(2) | TrackBack(1) | 子宮内膜症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
桜井先生、こんにちは。

今日、職場の後輩が、これ、桜井先生が載っていますよ〜と、日経ドラッグインフォメーションを見せてくれました。

医師が語る処方せんの裏側、という題名もすごいですが、モデルになっている処方箋の医療機関名は、さりげなく、産婦人科クリニックさくら、になっていますし、桜井先生の顔写真も。
ちょっと自慢気に、この先生に手術していただいた事を話したら、まわりの人たちは、書かれた内容以上に、桜井先生の写真に注目していました。

また桜井先生のファンが増えそうですね。うちの娘も先生のファンです。

内容を読ませていただき、まず感じたのは、リュープリンなどの偽閉経療法の副作用対策までわかっている薬剤師は少ないと思うのです。勉強熱心な薬剤師ほど、リュープリンは副作用が多くて怖いというネガティブな考えを持つ人が多くて、現場で使っている先生の考えとはギャップが大きいと、私自身の経験から思いました。今では、上手く副作用対策ができれば、メリットの大きい薬なんだとわかりましたが、私がリュープリン使用当時は何もわかっていなくて、今から思うと恥ずかしいです。

今回のような記事は、とても役にたちますし、勉強になります。機会がありましたら、また書いて下さい。
Posted by R.T at 2009年09月30日 17:25
R.Tさん、こんばんは。

なんだか過分なお言葉で照れくさいです。
薬剤師さん達、とても向上心の高い熱心な方が多いと思いますが、なかなか診療現場と乖離していることがあると思います。そんな穴埋めが出来たら、と思いました。

またDI誌などからの依頼があったら書かせていただきます。
Posted by 桜井明弘 at 2009年10月01日 17:58
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