2009年08月07日

2009年衆議院議員総選挙 マニフェスト医療 〜民主党〜

自民党が「責任政党」を謳い、8月中旬予定であったマニフェスト公表を、流石に各党出揃っていることに焦りを感じたのか、7月下旬に発表、本日国民新党もマニフェストを発表し、これで各党のマニフェストが出揃いました。

今日は公明党に続いていち早く公表された、政権交代がほぼ確実視されている民主党のマニフェストを見てみたいと思います。民主党のマニフェストは、音声版、点字版もあります。
実質上、これが与党マニフェストとなる可能性が大きいので、そのつもりで読み進めてみましょう。

民主党のマニフェストは、5つ大項目からなり、マニフェスト政策各論に詳細が、医療については「2 子育て・教育」と「3年金・医療」に述べられています。

10.出産の経済的負担を軽減する
【政策目的】○ほぼ自己負担なしに出産できるようにする。
【具体策】
○現在の出産一時金(2009 年10 月から42 万円)を見直し、国からの助成を加え、出産時に55 万円までの助成をおこなう。
【所要額】
2000 億円程度


このように、民主党のマニフェストは財源不明、と与党から攻撃されていますが、所要額を示し、これはわかりやすい工夫だと思います。
出産の自己負担が無くなるのは、以下の項目と同じように、子育て支援、ひいては少子化対策となりうる方策です。

11.年額31万2000円の「子ども手当」を創設する
【政策目的】
○次代の社会を担う子ども1人ひとりの育ちを社会全体で応援する。
○子育ての経済的負担を軽減し、安心して出産し、子どもが育てられる社会をつくる。
【具体策】
○ 中学卒業までの子ども1人当たり年31 万2000 円(月額2 万6000 円)の「子ども手当」を創設する(平成22 年度は半額)。
(後略)


子育て支援のひとつとしての「子ども手当て」は、具体的な金額提示と、高校までの負担軽減を謳っています。

14.保育所の待機児童を解消する
【政策目的】
○縦割り行政になっている子どもに関する施策を一本化し、質の高い保育の環境を整備する。
【具体策】
○小・中学校の余裕教室・廃校を利用した認可保育所分園を増設する。
(後略)


すでに一部の地域で実験的に進められている事業ですが、過剰施設と不足施設がうまく噛み合った方法です。また、小中学生にとって、幼い保育園児との触れ合いを持つことができ、昨今失われている貴重な縦の繋がりを体験できることになります。

21.後期高齢者医療制度を廃止し、国民皆保険を守る
【政策目的】
○年齢で差別する制度を廃止して、医療制度に対する国民の信頼を高める。
○医療保険制度の一元的運用を通じて、国民皆保険制度を守る。
【具体策】
○後期高齢者医療制度・関連法は廃止する。廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する。
○被用者保険と国民健康保険を段階的に統合し、将来、地域保険として一元的運用を図る。
【所要額】
8500 億円程度


後期高齢者医療制度は、年々増大する医療費のもっとも大きな部分を占める高齢者医療費の自己負担を増額することで、国民健康保険の負担を減らそうという目的で導入されました。
騒がれたようにお年寄りに負担を強いる方法で、非難を浴びていますが、民主党が示すように8500億円程度で済むものであれば、他の財源から代替できそうなものです。

22.医療崩壊を食い止め、国民に質の高い医療サービスを提供する
【政策目的】
○医療従事者等を増員し、質を高めることで、国民に質の高い医療サービスを安定的に提供する。
○特に救急、産科、小児、外科等の医療提供体制を再建し、国民の不安を軽減する。
【具体策】
○自公政権が続けてきた社会保障費2200 億円の削減方針は撤回する。医師・看護師・その他の医療従事者の増員に努める医療機関の診療報酬(入院)を増額する。
○OECD平均の人口当たり医師数を目指し、医師養成数を1.5倍にする。
○国立大学付属病院などを再建するため、病院運営交付金を従来水準へ回復する。
○救急、産科、小児、外科等の医療提供体制を再建するため、地域医療計画を抜本的に見直し、支援を行う。
○妊婦、患者、医療者がともに安心して出産、治療に臨めるように、無過失補償制度を全分野に広げ、公的制度として設立する。
【所要額】
9000 億円程度


医療従事者の増員、より良い医療サービスの提供は、これまでも政治やマスコミ、知識人から再三医療現場に要求されてきたことです。ただ、これまでの提案の中で「診療報酬の増額」はほとんど触れられてきませんでした。これまでは医療機関に負担を強いるのみで、見返りが全く提起されてこなかった、といえます。公明党の公約では、少し異なり勤務医確保のための診療報酬上の評価(実質増額?)と表現されており、医師増員に対する増額は今回の民主党の公約が初めてといえます。
医師数の増員も、より良い医療サービスの提供という観点から、歓迎されるべきことと思いますが、単純に医師数が増えれば医療が向上する、というわけではありません。医師の養成は時間と手間、国費、そして医師当事者の資質が重要です。医師のように、極端に専門性が高い職種の場合、免許を取得できる人が増えれば医療全体の向上が期待されるとともに、裾野が広がる分、医師個々人の質の低下を招く可能性も秘めています。民主党は議員定数削減も公約していますが、議員定数が過剰であれば、遊んでいる議員が増える、と同じわけです。
この点、「医師養成数を1.5倍にする」という表現がうまいな、と思いました。つまり医学部定員数を増やして、医師数は単純に1.5倍としない、より資質の高い医師が養成される仕組み、と私は解釈しています。

23.新型インフルエンザ等への万全の対応、がん・肝炎対策の拡充
【政策目的】
○新型インフルエンザによる被害を最小限にとどめる。
○がん、肝炎など特に患者の負担が重い疾病等について、支援策を拡充する。
【具体策】
○新型インフルエンザに関し、危機管理・情報共有体制を再構築する。ガイドライン・関連法制を全面的に見直すとともに、診療・相談・治療体制の拡充を図る。ワクチン接種体制を整備する。
○乳がんや子宮頸がんの予防・検診を受けやすい体制の整備などにより、がん検診受診率を引き上げる。子宮頸がんに関するワクチンの任意接種を促進する。化学療法専門医・放射線治療専門医・病理医などを養成する。
○高額療養費制度に関し、治療が長期にわたる患者の負担軽減を図る。
○肝炎患者が受けるインターフェロン治療の自己負担額の上限を月額1万円にする。治療のために休業・休職する患者の生活の安定や、インターフェロン以外の治療に対する支援に取り組む。
【所要額】
3000 億円程度


新型インフルエンザ対策、現在も世界レベルでは死者も増え続けています。日本においても今秋から再拡大が懸念されています。政府の指針と同様、対策を謳っています。
婦人科がん関連では、やはり公明党とともに子宮がん予防ワクチンに積極的、と聞いていましたが、政権担当、与党を担う自覚からか、「任意接種を促進」に留まっています。


全体的には、公明党のマニフェストに比べ、具体的、突っ込んだ公約に乏しいのが実感です。これが自民党の言う与党、責任政党としてオーバーな公約ができない、というものかも知れません。

民主党のマニフェストでも、公明党と同様、残念だったのが不妊治療について触れられていないことです。特定不妊治療費助成が開始されていますが、まだまだ費用面や精神面のサポートが必要です。不妊治療の敷居が低くなり、成績が向上すれば少子化対策にもつながるものと思います。患者さんに対するサポートと不妊治療研究に対して言及してほしかったです。


「ボートマッチ」、紹介しました。 読売新聞の読売オンラインの中に「日本版ボートマッチ」があります。
さまざまな政策についての考えを簡単に選択していくと、自分の考えと政党の考え方の近い、遠いが分かります。若い人の選挙離れが喧伝されていますが、彼らの意見を聞くと、「どこに投票していいのか分からない」というのがあります。そんな方に是非お勧めです。
数分で終わりますので、是非試してみてください。

2009年衆議院議員選挙 医療マニフェスト比較
公明党

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この虹と、きれいな夕焼けは、メディカルモール・たまプラーザで育まれた、素敵なお二人の披露宴の日に見られたものです。
偶然ですが、ねむの木ブログの「にじ! 虹! ニジ〜!」にあるように、竹本さん、同じ空を見上げていたんですね。

さくらトリートメントの夏期休業、
・8月11日(火)
・8月12日(水)
です。

さくらトリートメントで行う、「次回アロマ教室のお知らせ」、産婦人科クリニック さくら スタッフブログに載せました。皆さんのご参加をお待ちしています。

産婦人科クリニック さくら スタッフブログ、「白湯飲みダイエット」とは??


posted by 桜井明弘 at 23:43| Comment(0) | TrackBack(1) | 産婦人科医の医療日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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2009年衆議院議員選挙マニフェスト 〜公明党〜
Excerpt: 衆議院解散、総選挙に伴い、各党がマニフェストを公表しつつあります。 2007年の参院選の際にも民主党、公明党のマニフェストの中、医療関係の公約についてコメントしました。 若年層の選挙離れ、政治無関心..
Weblog: 産婦人科クリニック さくら
Tracked: 2009-08-08 02:16
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