今年から来年には使用可能となることが期待されているHPVワクチンですが、ハイリスクの型すべてに対する予防効果があるわけではありません。子宮頸がんの主な原因となるHPVの型、「16」、「18」に対する抵抗を獲得できます。その感染予防効果は非常に高く、米国のデータでは99%の予防効果が報告されています。
子宮頸がんにおける欧米でのHPV保有は、「16」、「18」が70%といわれ、日本ではその比率が若干低く、50〜60%で、「52」「58」の比率が欧米に比べて多いとされていますが、若い世代では「16」、「18」が多いようです。
では、HPVワクチンを投与しても、HPVウィルスの半分にしか効果がないか、というと必ずしもそうではなく、ワクチンには「交叉防御性」というものが認められます。すなわち、「16」、「18」に対するワクチンを投与することにより、構造の類似した他のHPV型に対しても予防効果が期待できる、というものです。
この交差防御性に関する臨床試験の結果、実際にどれくらいの割合で予防効果が認められるか、HPVワクチンの真価に期待したいと思います。
・子宮頸がん、HPVについての記事が多くなってきました。
これまで左欄、「カテゴリ」の中の「産婦人科一般」に含めていましたが、新たに独立させ「子宮頸がん・HPV」というカテゴリを作りましたので、記事をまとめて読む際に使ってください。
・産婦人科クリニック さくら スタッフブログ、「3月4月の待合室の香り」紹介しています。
お手数をおかけしますが、お教え下さいませ。宜しくお願い致します。
最近Kikuさんのように、同じ年代の方からもワクチンのお問い合わせをいただいております。
対象年齢では無いとは言っても、HPV感染予防効果は同様にありますし、国内で認可された後も、恐らく接種するのはKikuさんと同年代の方が多いのではないか、という予測もあります。
さて、HPV予防ワクチンですが、人種差は特に言われていないと思います。
また調べてみます。
HPVのことで質問させて頂きたいのですが、先日、子宮けい癌検診を受けまして、その時にHPVの型の判定を受けたのですが、結果は陽性で11型に感染していると言われ、癌のリスクの高い型はないと言われました。桜井先生のブログで、11型は尖形コンジローマの原因となると拝見したのですが、今の時点で、まだ発症はしていなくても、わたしと旦那とも何か治療は必要なのでしょうか?今後、何か気を付けることはあるのでしょうか?HPVのワクチンの接種もしたいと思うのですが可能なのでしょうか?
長くなってしまいすいません。
HPV感染、有効な治療法がないのが現状です。今後、16,18の方に感染しないよう、ワクチン接種も可能です。是非担当の先生とご相談ください。
ただ、まだ新しいワクチンなので、先生によってご意見が異なることもあります。分からなければ再度書き込んでくださいね。