良性の卵巣腫瘍の中で、内部に水や血液、脂分などの液体成分が貯留したものを、卵巣のう(嚢)腫、と呼びます。「嚢」は、袋の意味ですね。
卵巣の悪性腫瘍は、卵巣がん。卵巣には悪性でも悪性度が極めて低い、中間悪性腫瘍があります。
今回はこの卵巣のう腫の中の、「皮様のう腫」について触れます。
卵巣のう腫の中でもっとも頻度が高いのが、皮様のう腫で、内部に脂肪成分を含むのが特徴的です。他に類皮のう腫、成熟奇形腫とも呼ばれ、「皮様」「類皮」の意味で「Dermoid、デルモイド」、「奇形腫」の意味で「Teratoma、テラトーマ」とも呼ばれます。
発生起源は卵巣そのものにあり、卵巣の一部分、皮膚を作る起源細胞が腫瘍化してできます。皮膚には皮脂腺や毛根があるように、この皮様のう腫は、内部に毛髪や脂分を含有し、また同じ皮膚と同じ起源細胞から作られる歯や骨、軟骨、神経、甲状腺組織など、非常に多彩な組織を含みます。
一見、卵巣の中に、うまく作られなかった身体の様々な成分が含まれているような形態から「奇形腫」と名付けられました。
少し誤解を招くその表現は最近では「皮様のう腫」と呼ばれることが多くなりました。
話はそれますが、手塚治虫の医療漫画「ブラックジャック」に、「ピノコ」という女の子が出てきます。
彼女がブラックジャックによって「作られた」のは、ある女性の卵巣に皮様のう腫があり、この腫瘍はその患者さんの姉妹である、単に病気として摘出するに忍びなく、腫瘍に含まれた組織を組み立て、一人の「人」として作り上げたというストーリーがありました。
今読んでみると荒唐無稽な感が否めず、また皮様のう腫には人体の外胚葉由来の組織しか含まれていないので、ヒトの身体は作れませんが、手塚治虫らしいヒューマニズムにあふれたストーリーの素材として取り上げられました。
さて、次回は「皮様のう腫の症状と治療」について触れたいと思います。
(初出:2009年2月3日)
嚢腫や筋腫、手術または治療が必要、と言われましたか?
早とちりをしました。
結果と治療方針のお話しがありましたら、こちらにもご連絡ください。
このブログでカンジダの記事を読んだ途端、カンジダになりました・・・今年の2月に初めてかかって以来、気のせいなのか痒みが続いている感じがします。
低用量ピルが効果あることもありますが、反対に大きくなることもありますから、今のところは経過観察しかないのではないでしょうか。