2008年12月28日

「医師不足解消を…厚労・文科省、検討会で養成制度見直し、臨床研修制度、後半1年は専門科…厚労・文科省が事実上増員案」

2004年度に始まった、臨床研修制度をご存知ですか? ある年代以上の方だと、医師のインターン制度が持続している、と思われる方もいらっしゃると思いますが、インターン制度は、大学紛争の時代に既に終わりを告げました。
現在の臨床研修制度は似て非なるもので、私の記憶では、小児救急を担う医師があまりにも少ない、内科や他科の医師も、最低限の基礎知識を持つべき、と、この制度が始まったように思います。

ところが制度は現場の声を充分に拾わずに見切り発車、理想論では、すべての医師が医師国家試験に合格した後も2年間、内科、外科、産婦人科、小児科、麻酔科などを必修の研修科として、またオプション的に他の科も選ぶ前期研修医と、各専門診療科を選択したのちに後期研修医として数年研鑽を積む、ひいては専門科の知識と、前期研修で培った一般的、Generalな医療の担い手となりうる、と言うものでしたが、実態はそうは容易いものではありません。
現代医療は細分化、専門化が進み、同じ科の中でも専門が異なると難しいことはわからない、また医師が身につけるべき知識や技術は日進月歩でどんどん増え続けています。我々からすると、数ヶ月その科を学んだとしても、その科の基礎知識をつけられるとは思えない、現場はそんな生半可なものではないのです。ましてや医療訴訟が横行している現代で、研修を積んだとはいえ、他科領域の治療を積極的に行なうのは、患者さんのみならず、行なう医師にもリスクがあります。

そしてこの臨床研修制度によって最悪の結果がもたらされました。この制度が医師不足の一因となってしまい、問題となったのです。

臨床研修制度は、研修生が原則自由に研修先を決めることができる、これは我々の時代でも基本的には同じでしたが、当時は卒業「大学病院」で研修、もしくは卒業はしていないが違う「大学病院」で研修、といった不文律ができていました。このため、一県一医大構想で各都道府県に1つ以上設置された医科大学、大学医学部がたとえ地方であってもその地域の医療を隈なく網羅することができ、明らかな医師の不足は問題となりませんでした。しかし現行制度では研修生の「自由な研修先の選択」のため、下積みが長く給与が低い大学病院勤務を忌避し、一般の市中病院、ことに都市部の病院に人気が集中しました。
もちろん研修医が大学を選択しなくなった原因は、大学病院のあり方に問題もあるのですが、この結果、地方の大学病院などが医師不足に陥り、関連病院に派遣していた医師を呼び戻したため、地方の市中病院から医師がいなくなる、診療科が閉鎖される、といった事態になったのです。

こういった事態の本質、どこまで中央官庁が理解しているか分かりませんが、とにかく医師不足はまずい、と、8月に舛添厚生労働相が、臨床研修制度も含めた医師養成のあり方全般を見直し、厚労省と文部科学省の合同検討会をつくると発表、12月17日、2年間の研修期間のうち後半の1年間を、将来専門とする診療科に特化させる、と発表しました。
 また、「医師の地域偏在については、研修医の募集定員に地域別の上限を設けたり、地域医療の臨床研修を一定期間必修化したりすることで対応、医師不足の診療科を選択する研修医を確保する仕組みも設ける」とのことです。
 本来、「臨床研修制度は、新人医師に広い視野や総合的な診療能力を身につけさせるのが狙いで、大学卒業直後の新人医師が2年間、内科や小児科など7診療科で臨床経験することが必修化された」ものですが、この7診療科を1年間でローテート、単純に2ヶ月弱の研修期間、思い切って研修制度をやめ、以前のように当初から専門科へ進んだらどうでしょうか。
ちなみに私の入局した当時の順天堂大学産婦人科では、出生後の赤ちゃんの初期治療ができるよう、3ヶ月の新生児センター研修、また産婦人科は手術をする科なので、同期間の麻酔科研修が義務付けられていましたが、これは大変勉強になり、その後の産婦人科医としての基盤のひとつとなりました。
このように、その専門診療科独自の研修制度で自分たちの後輩を育てるようにしてはいかがでしょうか。

(2008年8月24日 読売新聞)
(2008年12月18日 読売新聞)


さくらスタッフブログ、「新型インフルエンザ対策 〜その2〜」「〜その3〜」「〜最終回〜」、です。

地震などの災害と同様、一度家族でその際の対応策を考えることをお勧めします。


posted by 桜井明弘 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 産婦人科医の医療日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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