2008年12月15日

中枢性卵巣機能不全 〜視床下部性卵巣機能不全・下垂体性卵巣機能不全とは 卵巣機能不全・排卵障害をもたらす疾患〜

視床下部、下垂体が原因で起こる卵巣機能不全は、「中枢性卵巣機能不全」とも呼ばれます。視床下部、下垂体、ともに脳の一部にあり、卵巣機能を司る、まさに「中枢」といえます。

この病態を理解するためには、視床下部―下垂体―卵巣の機能を理解しなければなりません。

視床下部は卵巣から分泌されるエストロゲン(E2;エストラジオール)の血中濃度を敏感に察知し、エストロゲンが低下しているときにLH-RHというホルモンを分泌して下垂体を刺激します。下垂体はその刺激によりFSHと少量のLHを分泌し、卵巣を刺激し始めます。これが月経期から排卵前に起こる現象です。主にFSHの刺激により、卵巣には卵胞が発育し、卵胞の中には卵子が育ち、卵子を取り巻く顆粒膜細胞からE2が分泌されます。やがて卵胞が充分成熟し、E2がそれにともない高値に達すると(自然周期では200pg/ml)、再び視床下部が察知し、下垂体を刺激、今度は下垂体からLHの分泌が起こります。これがLHサージです。
LHサージにより卵胞は排卵し、卵子が卵胞から卵管内に取り込まれることにより、その頃卵管内に達した精子と出会い、受精が起こり、やがて妊娠にいたるわけです。

卵胞は排卵後、内部に出血を来たし、黄体化します。黄体から黄体ホルモンであるプロゲステロンが分泌され、高温期が作られ、これが2週間すると消褪するため月経が起こります。
月経期にはE2値が最低値になるため、再び視床下部が働き始め、LH-RHを分泌して下垂体を刺激。。。
と、視床下部に起因し、下垂体を介した卵巣の働きにより毎月月経が起こる、妊娠の機会を迎える、という流れがお分かりでしょうか。

少し難しいですね。産婦人科医の中でもこの働きを充分理解できないくらい難しいのです。

これら「中枢」の異常により引き起こされる卵巣機能不全ですが、視床下部の機能が悪ければ下垂体を刺激できない、下垂体の機能が悪ければ視床下部からの刺激を卵巣に伝えられないため、「症状」である無月経や月経不順、不正出血が来たされるのです。

視床下部・下垂体の機能異常を疑うのは、下垂体から分泌されるLH、FSHが低値を示すとき。LH、FSHが正常でも視床下部の機能が異常である場合があります。大切なのは、中枢性卵巣機能不全が疑われた場合、その責任部位が視床下部であるか、下垂体であるかを見極めることです。

まず第一に原因と治療法が異なります。そして重症度が異なります。

次回はこの点に触れたいと思います。


さくらスタッフブログ、「12月のプリザーブドフラワー」、来院された方はもうご覧になりましたか?
これまでのプリザーブドフラワーも、可愛らしい作品が多かったですが、今月のものは必見です。年末にふさわしくゴージャス。手作りしたスタッフをほめてあげたいです。写真を撮って帰る方もいらっしゃいますよ。


posted by 桜井明弘 at 00:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 卵巣機能不全・排卵障害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先生お久しぶりです。以前お医者様の会合用のレストランの件でコメントを差し上げた者です。賛育会病院さんで先生に診てもらった患者です。私は20代のころ第二度無月経になりました。精神的ショックとその直後の無謀なダイエットのせいかと思います。まあ、ダイエットはじめたころからすぐ止まってしまったのですが。これってきっと視床下部とか下垂体が調子わるくなっちゃったせいなんですよね。結局あの頃6年くらい大学病院さんに計2か所通ってホルモン療法受けて、29歳くらいで治り始めました。しかし結婚出産の最適齢期に不調だったのは痛かったなと思います。そのせいではないかもしれませんが、いまだ独身です。ちゃんとしたパートナーがいなかったので子作りする機会もありませんでした。あの頃両親は私の無謀なダイエットをやめさせようとしてくれましたが、私自身が非常に頑固で女性の体を大切にするという意識が低かったのだと思います。今は若い人でも20年以上前よりみんな自分の体のことを勉強して大切にする傾向が強くなってきたようでとてもいいことだと思います。今お若い方々には私のような過ちはしてほしくないと思い、ここに書きこませていただきました。あと、少子化って、結婚できないこと(フランスみたいな事実婚も含めて)にも原因あると思います。でもこれも自分の責任かもしれませんが。女性ならほとんどみんな(少なくとも私は)赤ちゃん産みたいと思うと思います。まあ私は40代後半なので、遅いよねって感じですが。今でも健康管理のためという名目で体温測ってはいますが(しつこいかも)。バブルってた頃(私はバブルってませんでしたが)遊び場の情報ばかりでなくもっと妊娠適齢期について勉強するべきでした。先生のブログをお読みの方は意識の高い方々だと思うので、すばらしいなと思います。すみません、長くなりました。みなさんがそれぞれ幸せを感じられる生き方ができるよう、また先生のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
Posted by K. at 2012年04月21日 12:25
すみません。自分の文読み返したら長いしえらそうだし、御不快に思われた方いらしたら、申し訳ございませんでした。先生、せっかくのブログに長々書き込んですみませんでした。
Posted by K. at 2012年04月21日 14:48
K.さん、とても貴重な書き込みです。
是非多くの女性と、男性にも読んで頂きたく思います。

これからもコメント、よろしくお願いします。
Posted by 桜井明弘 at 2012年06月05日 23:37
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