2008年11月16日

ノーベル医学生理学賞にHPV、HIV発見者

今年のノーベル賞は、4人の日本人、南部陽一郎、小林誠、益川敏英氏の3人の物理学賞、下村脩氏の化学賞で大いに沸き立ちましたが、それに先立ち、ノーベル医学生理学賞が発表されました。
興味深いことに2種のウィルス、HIV発見した、リュック・モンタニエ氏とフランソワーズ・バレシヌシ氏、HPVを発見したハラルド・ツア・ハウゼン氏の3名の研究者が選ばれました。

HIV、ヒト免疫不全ウィルスは、AIDSを引き起こすウィルスとして知られています。一方でHPVの認知度はとても低く感じます。

HIVはAIDSを発症すると、現在では治療法がありますが、死に至る恐ろしい病気、このためしばしば取り上げられます。

一婦人科医として、HPV発見者が選ばれたのを嬉しく思うのは、HPVの重要性が確立した、と言う点です。
このブログでは何度もHPVを取り上げていますが、ヒトパピローマウィルス、HPVは子宮頸がんを引き起こすウィルスです。
子宮頸がんも進行すれば当然命を落とす病気ですし、HIVよりもずっと感染率の高いウィルスです。しかしなぜHIIVに比べてその存在が知られていないのでしょうか。

HPVもHIVと同様、性行為で感染します。パートナーがHPVを保有していればうつされる可能性があります。
HPVは男性にはがんを作ることはありません。女性だけです。HIVと異なり、感染からがん発症までは数年から10年ほどかかるとされています。もちろんそれよりもずっと早い可能性もあります。
またHIVと異なり、がん化に時間がかかるため、その間の検診などで前がん病変、早期がんの状態で発見することができます。

このように、HIVに比べて経過が緩除である点、女性に病気を引き起こす点、などが原因のためか、知られていないものと思われますが、そのウィルスの保有率、将来がん化する危険性、子宮頸がんの頻度(有病率)を考えれば、むしろHIVよりも着目されてしかるべきだと思いますし、われわれも一層の普及活動、啓蒙活動をしなければならないと感じています。

どうか皆さん、少なくとも年に1回の子宮がん検診だけは、必ずお受けください。またHPV保有の検査も出来ますので、外来でお問い合わせください。


画像 1546.jpg

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「倒木更新」で、親木を苗床にして育った新しい木です。


posted by 桜井明弘 at 22:55| Comment(6) | TrackBack(0) | 子宮頸がん・HPV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
妊娠して血液検査で、HIVが陽性の場合、一ヶ月後の検診まで連絡はしないですか?
Posted by みちる at 2008年11月20日 20:38
みちるさん、ご質問の状況が分からない点もあるのですが、当院でお受けになったのですか?

当院では、お受けになった全検査データを医師が確認しており、万一、HIV陽性やがん検診で「がん」と診断されるような場合は再診の様子がなければこちらからお知らせするようにしています。
施設や規模によりこういう対応が不可能であることも十分考えられます。
Posted by 桜井明弘 at 2008年11月21日 21:50
ノーベル賞取っていたとは驚きました。
免疫力が低下しすぐには免疫力UPしない前提で素朴な疑問です。
@HIV駆除方法はないのでしょうか。
Aコルポ診で異型性部分をすべて取った後、
まだウィルスがいるか見るにはHIV検査をまたやればいいのでしょうが、異型性部分が見当たらなくなった状態でやる場合、細胞検査のようにスクリーニング的に採取して調べるしかないのでしょうか。
要は、それによって円錐切除手術をする必要がないのかもしれないじゃないと思ったのです。  from HIV No18感染者です(^^;
        

Posted by こな at 2009年01月24日 00:30
ちなみに、こちらではNO16,18など高リスクに効くワクチ入手可能でしょうか。念入りに手術後にワクチン摂取、ガンスクリーニングなども考えてます。
Posted by こな2 at 2009年01月24日 00:33
間違えました。。HPV No18感染者です(^^;
Posted by こな3 at 2009年01月24日 00:36
こなさん、はじめまして。
ご質問はすべてHPVについてでいいですね?

現段階ではHPVの駆除はできません。感染を予防するしかありません。
またコルポ診は、診断目的に行うもので、異形成病変をとりきることは不可能です。円錐切除を勧められているのでしたらお受けになるべきだと思います。

HPVがなくなったか、確かにHPV検査を繰り返すことも考えられますが、検査で陰性になってもHPVがいなくなった、とは言い切れず、一度陽性診断がなされた場合は、残念ですが終生感染状態、と考えたほうが安全です。

HPV-16、18を標的にしたワクチン開発が進められ、年内にも国内での販売、投与が可能となる可能性が高いです。
ただ、すでに感染した方を対象にし、治療効果を狙ったものではなく、未感染の方に予防目的に投与するものです。したがってHPV-18を駆除できず、ただ今後16の感染の可能性があればそれを予防できるでしょう。

また分からない点がありましたら書き込んでください。
Posted by 桜井明弘 at 2009年01月27日 13:22
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