「今周期、排卵検査薬がいつも陰性なんですが、排卵しているんでしょうか」
「いつも検査しても排卵検査薬が陽性になるんです、私、どこか異常があるのでしょうか」
こう言った質問を、しばしばお受けします。
実は今日いらした患者さんからも質問されたので、4年ぶりに再度アップします。
そもそも排卵検査薬とは、どのような検査試薬なのでしょうか。
排卵期にLHサージが起こることは記事にしましたが、このLHが尿中に分泌されることを利用した検査試薬です。
排卵の前日(36-40時間前)、血液中に、下垂体から分泌されるLHというホルモンが急激に上昇します。これをLHサージと呼び、これを検査することにより、排卵日を知ることが出来ます。
しかし、毎周期、排卵日を正確に検査できる方もいらっしゃいますが、上にあげたように、せっかく排卵検査薬を買って使っても、うまく排卵が分からない、という方も少なくありません。
そもそも、尿中のLHを測ること自体が、我々からすると、信憑性に乏しい部分があるので、排卵日が分からなくてもすぐに異常、と考える必要はありません。
尿は、腎臓から血液中の老廃物や不要な水分が分泌(濾過)されて作られます。
その中に含まれる、LHもそうですが、その濃度は尿の濃度に比例します。
つまり、尿が濃ければ、LHも濃く出ますし、薄ければ検査薬が陰性になります。
それでは、我々生殖医療に携わるものからみた、排卵予測検査の信頼度は、どのような順番になっているかというと、
・ 血中のホルモン値
・ 超音波所見
・ 尿中LH反応(検査薬)
・ 基礎体温
の順ですが、毎日排卵を知るために採血し続けるわけにも行きませんし、超音波で予測してもLHが分泌されなければ真の排卵日は分からない、日々つけてらっしゃる基礎体温もこれらの検査データを裏付ける大切な目安になる、というように、検査をなるべく少なく、効率よく、そして信頼性の高い予測とするため、総合的に判断します。
もちろんまだ妊娠を考えたばかりの方では、血液検査を行うにはためらいもあることもありますので、患者さんのご希望で検査を行い、得られたデータでなるべく予測するようにもしています。
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・補筆修正いたしました。
「D3診察 〜高度生殖医療の実際〜」
ラベル:排卵検査薬