最近の新聞記事に、妊婦さんがインフルエンザワクチン接種を受けると、産まれてくる赤ちゃんの、新生児インフルエンザの罹患率が低い、というのがありました。
昨年このブログに「妊娠とインフルエンザ」と題する記事を書きました。
妊娠とインフルエンザと言うと、よくある質問が「妊娠中のインフルエンザワクチン投与」「授乳中のワクチン」「妊娠を考えている方のワクチン」の3つに集約されます。
インフルエンザワクチンは「不活化ワクチン」であるため、ワクチン接種後にインフルエンザを発症することはありません。またそのため胎児、乳児に対する影響は理論的に無いと考えられます。むしろ米国健康保険局(NIH)のHPでは、妊婦さんはインフルエンザが重症化することがあり、幼児、高齢者と同等のハイリスクである、として、妊娠初期を含めた妊娠中やこれから妊娠を考える方への接種を推奨しています。一方では厚生労働省HPによると、国際的には安全とされていますが、国内では妊娠初期の安全性についてのデータに乏しく、慎重に対応するよう勧められていますが、文末にのHPへのリンクが貼られています。
以上が大体我々が「妊婦とインフルエンザ」について説明する骨子ですが、これに加えて「新生児への予防効果」をメリットとしてお話しするようになるかもしれません。
高温期中の薬の服用についてなのですが、高温期10日以降になぜか体調を崩すことが多く、毎回風邪薬を飲むかどうか迷います。今回も高温期後半に38℃近くの熱が出てしまい、仕事を休むわけにもいかず市販の風邪薬を2日間程服用してしまいました。もし仮に着床していた場合、薬の服用によって駄目になってしまうということはあるのでしょうか?また着床時期の服用は着床に影響を及ぼすのでしょうか?素人のご質問で大変恐縮ですがよろしくお願い致します。
確かに妊娠前、妊娠中の薬の服用について書いた記事がなかったですね。その場合はどこへでも書き込んでください。
さて、ご質問についてですが、排卵後5日目に着床、妊娠反応が出るまでの約10日間は、薬の妊娠への影響は「All or None」とされています。つまり、薬の影響により受精卵が障害を受け、うまく育つことが出来ない、か、障害を修復して全く異常のない妊娠経過となる、ということです。
妊娠反応が出てから約1〜2カ月、薬によっては3ヶ月の間、臨界期、とよばれ流産や赤ちゃんへ異常をきたす可能性があります。もちろん全ての薬がこの危険性を持つわけではなく、危険性の高い薬、安全性の高い薬があり、処方もされます。ですから全ての症状、トラブルを、薬が飲めない、と我慢することはありません。
SAさんの高温期終盤のトラブルですが、対症療法にしてみてはいかがでしょうか。つまり症状として発熱だけだったら、解熱剤だけです。市販の風邪薬は、総合感冒薬なので、風邪の諸症状を緩和する目的に、解熱剤だけでなく様々な薬剤が配合されています。
妊娠中の内服のコツは、最低限の種類の薬を最低限の量だけ内服する、つまり多くの種類の薬、多くの量に暴露されるのを避ける、ことです。
このように、ご質問の時期の内服は、受精卵への障害から受精卵が育たなくなってしまう、ということになりますが、受精卵はすでに着床しているので、着床障害の観点から考えることは必要ないと思います。