2015年01月26日

子宮筋腫と不妊

子宮内膜症と不妊の関係について触れましたので、今回は子宮筋腫と不妊について書きたいと思います。

子宮筋腫は内膜症ほど不妊の因子として知られていないと思いますが、確かに臨床的にも問題とならないことが多いです。

不妊の原因となるのは、「子宮内膜を圧排する」筋腫です。また卵管を閉塞するものも不妊原因となりえます。

筋腫はその発生する部位(深さ)により、粘膜下筋腫筋層内筋腫漿膜下(しょうまくか)筋腫に分けられます。

粘膜下筋腫は子宮内膜を強く圧排し、子宮内腔に突出します。圧排され変形した子宮内膜には受精卵が着床しづらく、妊娠が成立しません。またこの部分の内膜からは月経血が止まりにくく、生理の量が多い、すなわち過多月経の状態を来たしやすいです。他の筋腫に比べ、小さくても病的な意味合いが強いといえます。
また、この粘膜下筋腫は、やがて下方に伸びていき、子宮口から一部突出するような形を取る、筋腫分娩という状態になることがあり、この場合の過多月経は大変多くなります。

筋層内筋腫は子宮の筋肉の中に発生するもので、深い場所にできると粘膜下筋腫のように内膜を変形させるため、同じように不妊の原因となり、過多月経の原因としても同様です。また卵管を閉塞する筋腫も、この筋層内筋腫に多いです。
一方で子宮から飛び出した形をとる漿膜下筋腫は、大きくても無症状であったり、病的な度合いが軽いです。不妊の原因となることはほとんどありません。

いずれ子宮筋腫もシリーズ化し、治療法も書いていきたいと思いますが、子宮内膜症の治療法でも書いたように、根治性を求める場合は手術療法が勧められます。この場合、腹腔鏡下手術・開腹手術と子宮鏡下手術に大別されます。身体へのストレスは子宮鏡、腹腔鏡、開腹手術の順に大きくなりますが、子宮鏡下手術はその適応範囲が狭いです。粘膜下筋腫に限られ、大きさや内腔への突出度が制限因子となります。
腹腔鏡下手術では現在では幅広く筋腫に対しても適応としていますが、一番の制限因子は数だと思います。あまりに多い筋腫は腹腔鏡では取りきれません。開腹手術とともに、筋腫核出部位は筋層の創部となるため、現在では、術後は出産の際に帝王切開を選択されることが多いです。また筋腫核出術は術後の癒着が強いことが多いですが、特に開腹手術でその傾向が顕著です。

薬物療法は偽閉経療法が最も効果が高く、これしかないといえますが、効果発現に時間がかかること、効果が確実ではないことが欠点といえます。子宮内膜症におけるOC(低用量ピル)と同様、直ぐに妊娠を希望していない場合の選択になります。

(初出:2008年10月19日)
(補筆修正:2015年1月26日)

記事の補筆修正情報
無排卵(卵胞発育不全)、一部加筆修正しました。


posted by 桜井明弘 at 20:16| Comment(10) | TrackBack(0) | 生殖医療(不妊治療)一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
子宮筋腫の記事、ありがとうございます。
手術後の癒着については気になります。癒着を少しでも防ぐ方法はあるのでしょうか?また、癒着は、どの程度恐ろしいものなのでしょうか?
Posted by Sanae at 2008年10月21日 00:14
Sanaeさん、こんばんは。開腹で子宮筋腫核出、は、もっとも癒着を作る可能性があります。手術中に癒着防止剤、完全な効果があるわけではありませんが、使うようにしています。
術後、癒着が形成された場合、卵管や卵巣が癒着に巻き込まれると卵管性の不妊となります。これは体外受精では影響の無いことが多いです。

他に癒着が起こった場合ですが、腸の癒着は便秘や腸閉塞を来たす可能性があります。ただ、こういったリスクは全ての方に起こるわけではありませんので、妊娠を優先すべきか、こういったリスクを考えて手術をしないのか、再度相談いたしましょう。

次回の診察まで、わからないことがありましたら、再度こちらに書き込んでくださっても結構です。

書き込みありがとうございました。
Posted by 桜井明弘 at 2008年10月21日 23:38
先生、おはようございます。

記事検索で出なかったのでちょうど見てたところに書き込ませていただきますが、昨日からかゆみがあり、もしかしたらカンジダを再発したかも知れません。

ここ最近は筋腫と妊娠のことで頭がいっぱいで先生にいうのを忘れてましたが、2000年に初めて婦人科にいったきっかけが、カンジダです。

婦人科を受診するのはかなり抵抗があったのですが、日に日に強くなる痛みとかゆみに耐えられなくなって、あえて女医さんを探して行った経緯があります。

それがきっかけで生理の量が多いこととか相談し不正出血があったとき婦人科検診を初めてしてみたら筋腫が見つかり、これは現在に至ります。        

一度なると再発率が高いと言われたとおり、その後カンジダは2回再発してますが、ここ4,5年は無かったのですっかり忘れてました。1回目がひどかったこともあって、かゆみにはかなり敏感になり、ちょっとでも似た症状があると病院に行ってたので、カンジダではなくただのかぶれによるかゆみですねと言われたことも2回くらいあります。

今のところかゆみだけで白いおりものは出てません。排尿痛や排便通もありません。問題なのは月〜水まで仕事で早くても木曜日にしか診察に行けません。

かゆみだけなら、ただあれてるだけなのでしょうか?かゆみが続いたら木曜日までどう対処したらいいでしょうか?

市販のぬり薬など塗ってもいいですか?


Posted by Yukari_n at 2008年10月26日 09:44
Yukari_nさん、こんばんは。

まだカンジダの記事、無かったので近いうちに書きます。

かゆみの原因ですが、カンジダ(かび)、細菌、むれ・かぶれなどが主なものです。診察をしないとわかりませんが、おりものが無いところからは、カンジダではないかもしれませんね。

むれ・かぶれであれば、市販のかゆみ止めだけのクリームを使っても構いませんが、カンジダや細菌感染を起こしているときにこの類の薬を使うとひどくなりますから、塗ってみて症状が悪くなるようでしたら直ぐに止めて早めに受診してください。症状が落ち着いても、一度受診した上で原因を探りましょう。
Posted by 桜井明弘 at 2008年10月26日 21:13
先生、こんばんは。

早くにコメント頂いて、対処法が分かり、ちょっと安心しました。

そういえば思い出しましたが、初めての時ひどくなったのは、病院に行く前に市販の薬で治らないかと思って塗ったのが原因だった気がします。

リュープリンの2回目を打ってから、おりものの色がかなり濃い黄色で色は若干気になってましたが、量も多くないし薬のせいかなくらいに思ってたんですが、かゆみがあってから、中からズキっとするような痛みと一緒に水っぽいおりものが出てきて、なんか最近のおりものと違うと思い、そのあとかゆみがずっと続いてるので嫌な感じがして、すぐに診察に行けないし不安になりました。

まだかゆみはあるんですが、市販の薬は持ってるので塗って様子をみてみます。

明日かゆみが落ち着くのを祈りつつ、また報告させてください。
Posted by Yukari_n at 2008年10月26日 23:04
先生、こんばんは。

すぐにコメント頂きありがとうございました。

昨日の夜から、市販のフェミニーナ軟膏をつけ、今日もトイレの度にこまめにつけたところ、つけると患部が熱をもつように熱くなる感じでヒリヒリする感じもしましたが、徐々にかゆみが落ち着いてきましたし、白いおりものも出てないので、やはりただのかぶれだったのでしょうか。。

今日、仕事帰りに薬局で軟膏をいろいろ見てたところ、あるメーカーのものに

閉経後のかゆみに…閉経後は皮膚が薄くなります。

とかいてあり、偽閉経状態のわたしには目にとまりました。

まさか3ヶ月でそうなるとも思えませんが、前よりは少し敏感になってるんでしょうか。。

木曜日に診察に行きたいところですが、実はまだ保険証がきていません…。

来週はリュープリンなので必ず診察に行きますが、その前に診察して頂いた方がよいでしょうか?
Posted by Yukari_n at 2008年10月27日 23:11
Yukari_nさん、こんばんは。
症状、落ち着いてきたようで安心しました。落ち着いてきたので急がなくてもいいかもしれません。来週の診察でしたらそのときでも。

閉経後の皮膚の薄さ、と3ヶ月目の偽閉経療法が共通するかわかりません。
偽閉経療法が長期化すると、腟の萎縮を来たしたりしますが、皮膚そのものの変化については、おっしゃる方はあまりないと思います。過敏になっている、というのはあり得ると思いますが。

また変化があったら教えてください。

「カンジダ腟炎」について、記事にしましたので、参考にしてください。
http://cl-sacra.seesaa.net/article/108710148.html
Posted by 桜井明弘 at 2008年10月28日 01:38
今日、子宮ガン検診に行き子宮が少し大きいので筋腫かもと言われました。
桜井先生に診察していただきたいのですが・・・検診結果が出てからの方がいいのですもか?
先月は月経の量も多く腰痛・貧血もあります。
Posted by のん at 2011年07月27日 15:00
のんさん、こんにちは。

子宮筋腫か? と言う内容でしたので、こちらに移動させていただきました。

診察は検診結果、出ても出ていなくても結構です。

ご都合の良い時にいらしてください。
月経中は避けた方がいいと思います。
Posted by 桜井明弘 at 2011年07月27日 15:27
記事読みました。お忙しい中、いつもありがとうございます。また、報告させて頂きますね。
Posted by 鈴亜 at 2015年01月23日 16:33
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