2008年09月07日

「骨盤うっ血症候群」と慢性骨盤痛 

慢性骨盤痛とは、月経時以外にも下腹部の痛みがある状態を指します。
基本的には、排卵痛や月経痛を除く、月経周期と関係のない痛みです。
痛みの程度はさまざまですが、月経周期と関係がないだけに、いつその痛みが来るのか予想ができず、その分厄介な症状といえます。

原因として、炎症性・癒着性疾患が第一に挙げられます。
子宮内膜症クラミジア感染、術後癒着など、何かしらの炎症が起こっている場合、そして炎症の結果として形成される癒着による臓器間の引きつれが痛みの原因となります。
いずれにおいても慢性骨盤痛を来たした場合は、その疾患が重症化してるといえます。

しかしこれらの疾患がなくても慢性骨盤痛を来たすこともあります。

最近よく言われるのが卵巣静脈拡張で、卵巣から大動脈に血液が戻る卵巣静脈が拡張していることで見つかります。骨盤内臓器のうっ血を来たし、そのために痛みを生じると考えられています。この状態を「骨盤うっ血症候群」と呼びます。

超音波検査でも卵巣静脈が拡張している所見をしばしば目にしますし、手術の際にもよく経験しますが、難しいのは静脈の太さは個人差が大きく、拡張しているからといって必ずしも痛みを生じるというものではありません。
血管の太さはMRIでも確認できます。

慢性骨盤痛は、対症療法として鎮痛剤、原疾患に対する治療法として手術的に癒着を剥離する手術もありますが、上に上げた子宮内膜症、クラミジア感染、術後癒着を診察室で診断できないことも多く、骨盤内の状態を確認する目的に手術を行い、その際に癒着を剥離する、といった流れで手術になることもあります。拡張した卵巣静脈をしばる手術を報告しているのを、学会でもみました。
骨盤うっ血症候群では漢方療法が効果的なことがあるそうです。桂枝伏苓丸(けいしぶくりょうがん)が用いられることがあります。

ただ漢方療法の性質から言って、短期間の内服で改善することは困難で、患者さんのお話ではすぐに効果は出たけれども1ヶ月くらいの内服後、やはり症状が再発してきた、とおっしゃってました。

なかなかやっかいな病態なのですが、鎮痛剤以外には手術しかない、といわれていた慢性骨盤痛に「漢方療法」も選択肢に加えることができます。


posted by 桜井明弘 at 23:52| Comment(0) | TrackBack(1) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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