クラミジア感染症について、またクラミジアの抗原検査についてはこれまで書いてきました。
今日はクラミジア抗体、このあと卵管因子シリーズ、
・卵管因子の病態
・卵管因子(卵管性不妊)の原因
・卵管因子の治療
を書いていきます。
クラミジア感染が卵管の周囲に炎症を起こし、不妊症の原因(卵管因子)となったり、下腹部痛の原因になる、ということは既にお話しました。
最近の世田谷区報に「STIの増加に注意」として、特にクラミジア感染が増加している、という記事が載っていました。
STI、これまではSTDと呼ばれ、いわゆる性行為感染症、性病のことです。
区報の記事でショッキングな一文がありました、「クラミジア感染によりエイズ感染が増加する」というものです。一見同じ性行為で感染する病気とはいえ、クラミジアに感染したからといって、HIVに? と思いますが、クラミジア感染を来たした場合に免疫力が低下し、他の感染症にも罹りやすくなるということがあるそうです。
クラミジア感染の検査には、クラミジア抗原検査、抗体検査があります。
抗原検査は子宮頚がん検診と同じように、子宮の出口、頚管を綿棒でぬぐい、ここにクラミジアが存在するのか診ます。結果が出るまで1週間弱の時間がかかります。
抗体検査は血液検査です。抗体とは血液中のタンパクの一種で、クラミジア感染が起こると少し時間を置いてから産生されます。
クラミジアの場合、抗体はIgA、IgGという2種のタンパクを測定します。
これらの検査値の解釈については以前から色々と言われてきましたが、私の印象では感染直後はどちらも陰性、少しするとIgAが陽性に、またもう少しするとIgGも陽性に。治療が施されるとやがてIgAが陰性化し、最後にIgGが陰性化します。この陽性化、陰性化の時間、期間は一概には言えません。理由の一つは、感染の機会が特定できないためです。
経験的にはIgGの陰性化は10年近くかかるように思います。
また単に陽性、陰性を診るだけでなく、抗体価の値の高さは感染の強さをある程度反映するようです。
このように血液検査で抗体を診る事で役立つのは、「今までの感染の有無」「感染の強さ」が、上に書いた卵管の障害とある程度相関関係にあることです。
「クラミジアの既往感染があったとしても、必ずしも卵管が障害されているとは限らない」
「卵管や卵巣の周りに癒着が形成されていても、絶対に妊娠しないわけではない」
のですが、他の不妊因子に異常が無く、数周期の治療を行っても妊娠にならない場合、やはり不妊原因に卵管因子が関わっている、と予測されます。
卵管因子の克服は、腹腔鏡下手術による治療か体外受精などの高度生殖医療しかありません。
前者では治療が可能な場合、治療できたけど再度癒着してしまう場合、治療が全く不可能である場合もあります。これはまた後ほど書こうと思います。
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