2013年06月10日

ガードネラ菌

「ガードネラ菌」という細菌(ばい菌)の名前を耳にしたことがありますか?

正式名称はGardnerella vaginalisといい、「細菌性腟症」の原因菌とされています。
細菌性腟症、よく婦人科におりものの異常でかかると診断される、「細菌性腟炎」とは厳密には異なり、気になる強い帯下のにおいがあります。さらに困ったことに、流産や早産と密接な関係があります。

腟炎は子宮頚部の炎症、頚管炎を併発しやすいです。子宮頚管は腟の一番奥にありますから。細菌を原因とする炎症が起こると好中球と言う白血球がその部位に集まります。好中球は細菌を駆除する際にエラスターゼと言う蛋白酵素を分泌します。頚管炎が起こると、頚管に「好中球エラスターゼ」が豊富に分泌され、これが子宮収縮を引き起こしたり、卵膜を弱くします。このため、腟炎から早産や前期破水が起こるのです。

ガードネラ菌は細菌性腟症の原因の多くを占めるとされ、妊娠中や妊娠前に見つかった場合、腟錠を主とした治療を行います。

治療に用いられるのは、
・スタンダードな抗生物質の「クロマイ腟錠」

・トリコモナス症に対する抗原虫薬「フラジール腟錠」や「ハイシジン腟錠」
を腟内に挿入します。

ガードネラ菌は比較的繰り返しやすく、一時的に良くなっても再燃することがよくあります。
上記のような腟錠を使って根気よく治療をして下さい。

おりものが気になる方、これから妊娠を考える方、妊娠初期の方に腟分泌物培養検査を行いますので、お気軽にご相談ください。
posted by 桜井明弘 at 21:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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