2008年06月26日

緊急避妊

最近「緊急避妊」、「(モーニング・)アフターピル」と認知されるようになった避妊方法です。

理想的な避妊方法は、コンドームを正しく装着、とか、低容量ピル(OC)を内服する、子宮内に避妊用のリング(IUS、IUD)を装着する、といった方法ですが、運悪く避妊に失敗してしまった場合に、「緊急避妊」として治療を行うことがあります。

方法は2種類あり、避妊に失敗した後、72時間以内であれば、簡便な中容量ピルの内服で行うことができます。
中容量ピルは、避妊効果からすると国内で使用できる薬剤の中では、「プラノバール」が最も理想的、とされています。プラノバールを2錠内服、さらに12時間後に2錠内服する方法です。
ただ、プラノバールは比較的嘔気の強い中容量ピルで、副作用として吐いてしまうと、薬も同時に吐き出されてしまう恐れがあります。

緊急避妊効果は、ピルにより一過性に高エストロゲン・高プロゲステロンの状態になるためで、これにより排卵を抑制する、内膜への着床を妨げる、とされていますが、詳しい機序は不明なところがあります。
もちろん、避妊効果は100%ではなく、約10%ほどの妊娠が認められるといわれていますが、私はもう少し妊娠率は高い、と感じています。統計学的に信頼性が低いデータで語られていると思います。
またその一過性の高エストロゲン・高プロゲステロン状態のため、服用後不正出血があったり、次の予定の月経が早まる、または遅れる、といった月経の不順が起こる可能性があります。
内服後、2週間しても月経がない、あるいは通常と異なる少量の出血しかない、といった場合は、妊娠反応をチェックしましょう。
とはいえ、妊娠を望んでいない場合は、内服だけすれば妊娠を避けられるのですから、簡便な方法、といえます。
産婦人科クリニック さくらでは、緊急避妊目的の来院で、他に検査や処方がない場合、診察料と処方箋料、薬品代で、計5000円のご負担が生じます。

もう一つの緊急避妊はIUS(子宮内避妊リング)によるものです。IUSについては、以前触れました。中容量ピルの緊急避妊が、避妊失敗後、72時間という有効な期限があるのに対し、IUSの挿入は受精卵の子宮内膜への着床を妨げるため、72時間を過ぎた場合でもある程度の有効性が可能性としてあるためです。
ただし、IUSの開発は、本来緊急避妊を目的としていないため、その有効性について具体的なデータがあるわけではありません。それでも、受精卵の着床障害、という点では、理論的には効果のある方法だと思います。
このような経緯から、この方法を強くお勧めすることはできませんが、どうしてもお困りの場合は、よく外来で説明を聞いた上で、ご自身の判断で治療をお受けください。


posted by 桜井明弘 at 23:52| Comment(4) | TrackBack(0) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
桜井先生、こんばんは。

どんなに願っても赤ちゃんに巡り会えない人、欲しくないのに授かってしまう人・・・人生ってなかなか思うようにいかないものですね。
Posted by Nとも at 2008年06月27日 21:46
Nともさん、こんばんは。

確かに妊娠には多くの矛盾、というか、ありきたりな表現ですが、それぞれの状況がありますね。

不妊治療をしながらも、避妊の指導もする、一見背反することのように見えますが、婦人科では内分泌学的な方法を用いるので、理論的には非常に近いことなんです。

我々の仕事は患者さんの健康を守ること、一人ひとりのニーズに応える治療を提供することです。どんな方のどんな相談にも応じて、その方の健康福祉に寄与したいと思っています。
Posted by 桜井明弘 at 2008年06月27日 23:45
こんばんわ。
アフターピルが5000円?
びっくりしました。
私の以前の職場は、もう少しお値段がしましたが、それでも安いと評判でした。もっと値上げして30000円ぐらいとるべきだと
一昨年、性犯罪容疑で逮捕された某婦人科ドクターが豪語してました。
福岡市内のクリニックの相場は、一万円ぐらいでは、ないでしょうか?
アフターピルがあるから大丈夫という安易な考えを持たれている現状にちょっとがっかりしますが。
産婦人科の土曜日、日曜日の午後は、この手の電話が必ず何件かかかってきてました。
Posted by maedomari at 2008年06月29日 09:40
maedomariさん、こんばんは。

自費診療の価格設定は、とても難しいですね。記事本文に書いたように、それぞれの単価を自費請求すると大体5000円くらいになります。

「もっと値上げして...」の発言の意図も理解できますが、我々医療者は罪を裁いたり、罰を与える立場にはありません。患者さんの困った状況を何とかしてあげたい、という立場であるとすれば、治療でも、避妊でも同じスタンスで向かい合うべきだと思っています。

仮に緊急避妊をしないで望まない妊娠をされた場合の身体への影響などを鑑みれば、緊急避妊は必要とされる一つの方法だと思います。

ただ、残念なことに避妊効果が完全ではないので、仰るように安易にこの方法が期待されてはならないこと、また同時に感染症の予防にはならない点も患者さんに伝えていかなければならないでしょうね。

自費診療費は各医療施設の特徴や状況に左右されるため、一概には述べることができません。また我々は上記の理由から、相場という考えでは診療費を設定していません。
Posted by 桜井明弘 at 2008年07月01日 01:45
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