2018年10月26日

不妊と子宮内膜症 その原因

子宮内膜症シリーズ、不妊との関係を再アップします。

不妊症の原因の一つに子宮内膜症があります
内膜症があっても妊娠される方もあり、内膜症は絶対不妊の因子ではなく、相対的不妊因子です。

なぜ内膜症が不妊因子になるのでしょうか。

新しく記事にしました

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(初出:2007年11月)
(補筆修正:2008年11月28日)
(補筆修正:2015年3月27日)
(補筆修正:平成30年10月26日)
posted by 桜井明弘 at 17:37| Comment(8) | TrackBack(4) | 子宮内膜症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

卵巣チョコレートのう胞

卵巣に内膜症病変が発生し、卵巣の中に血液がたまる病態があります。古くなった血液が、あたかもチョコレートを融かしたように見えるので、「卵巣チョコレートのう(嚢)胞」と呼ばれます。病気の名前にお菓子の名前が付くなんて、最初は珍しいな、と思いましたが、国際的にも「Chocolate cyst」でも通じます。

チョコレートのう胞は、その血液がたまるため、卵巣が腫大します。しかし、他の卵巣のう腫に比べて、茎捻転は起こしにくいです。茎捻転とは、卵巣のう腫がある程度大きくなると、一般的には5cmくらいからですが、卵巣の付け根の部分を「茎」とし、のう腫が回転(捻転)することで、この「茎」には卵巣を栄養する血管がありますから、卵巣に血液がいかなくなり、悪い言葉で言えば、卵巣が腐ってしまいます(壊死)。このときに非常に強い痛みを突然起こすことがあり、これを卵巣のう腫茎捻転といいます。
チョコレートのう胞は内膜症ですから、前に書いた「癒着」を多かれ少なかれ伴うことが多いです。チョコレートのう胞は、周りの卵管、子宮、骨盤壁、腸管に癒着していることが多いので、茎捻転はほとんど起こしません。

しかし、チョコレートのう胞が出来ることによる圧迫された痛み、周囲の癒着による痛み、茎捻転ではなく破裂する可能性、チョコレートのう胞があると排卵される卵子の質が低下する可能性、わずかながらもチョコレートのう胞のがん化も言われており、チョコレートのう胞は治療の対象となることが多いです。

治療の適応は、症状と大きさによります。
痛みがある場合、まずは鎮痛剤を使いますが、鎮痛剤が効かなければ、内膜症に対する治療の適応です。不妊症の場合、卵巣チョコレートのう胞 また大きさはおおむね5cmくらいを超えた場合に治療の適応となります。

治療は、「子宮内膜症の治療、ラインナップ」をご覧下さい。

その他、最近チョコレートのう胞のがん化がよく言われるようになりました。
年齢や大きさでがん化のリスクが異なります。チョコレートのう胞全体からみると、がん化するのは僅かですが、他方、卵巣がん全体でみると、40〜50歳代でチョコレートのう胞ががん化した方、決して珍しくないのです。
がん化については、別に書きました。

(平成30年10月26日修正)
posted by 桜井明弘 at 13:56| Comment(131) | TrackBack(8) | 子宮内膜症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月25日

「風疹流行の持続」「MRワクチンて?」「男性も避妊?」 〜風疹に関する質問や話題〜

この記事は、2013年の風疹の大流行の際に書いたものです。

残念ながら、5年経過した今年、再度流行しています。

東京、千葉、神奈川といった大都市に多く見られるのも、5年前と同様です。


さて、風疹を予防するMRワクチンとは、どのようなワクチンなのでしょう。

MRワクチンは風疹と麻疹の混合ワクチン。

混合されている麻疹ワクチンですが、妊婦さんが麻疹に罹患すると流産や早産、死産率が高くなるため、やはり予防が必要です。
当院で集計したデータからも、妊娠を希望される20%の女性が、麻疹ワクチンを打たなければならない低抗体価です。


またこれもよく問い合わせのある質問ですが、

MRワクチンを初め、生ワクチンを接種した後は、接種後2ヶ月間の避妊期間が必要です。

接種後、2ヶ月くらいの間、ワクチンに含まれているウィルスの成分が体内を循環している可能性があるため、この間に妊娠した場合、妊娠中に罹りたくないウィルスに罹ってしまうことになるからです。

一方男性が接種した場合、避妊期間は必要でしょうか。
こちらに記事にしました

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(補筆修正:平成30年10月25日)
posted by 桜井明弘 at 09:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月22日

高度生殖医療で行われる卵巣刺激法 〜体外受精では排卵誘発を必ずしなければいけないの?〜

体外受精など高度生殖医療について、簡単に概論をお話ししましたが、今回は高度生殖医療にかかせない、卵巣刺激法についてです。

排卵すること、卵胞が発育することは、妊娠するために最低限必要な事で、生殖医療(不妊治療)では、内服薬や注射剤の排卵誘発剤がよく用いられ、これまで長い間、高度生殖医療ではより多くの卵胞を作り、より多くの卵子を得ることが治療を成功させるには良いとされて来ました。

高度生殖医療では卵巣刺激をしなければならないか、記事にしました。

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(補筆修正:平成30年10月22日)
posted by 桜井明弘 at 16:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 高度生殖医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月09日

黄体機能検査 〜一般生殖医療〜

黄体機能とは、排卵後の黄体ホルモンの分泌機能のことで、ホルモン分泌が少ないと、不妊、流産、不正出血などの原因となります。

黄体機能不全と治療についてブログ記事を作成しました

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(補筆修正:平成30年10月9日)
ラベル:黄体機能検査
posted by 桜井明弘 at 00:02| Comment(36) | TrackBack(1) | 生殖医療(不妊治療)一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月05日

クロミッド 〜排卵誘発剤の作用と副作用〜

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クロミッド、は商品名。一般名はクロミフェンクエン酸塩(かつてはクエン酸クロミフェンとされていました)といい、医師国家試験でも取り上げられるほど、とてもメジャーな薬剤です。

クロミッドは内服の排卵誘発剤の代表的なもので、さまざまな原因による
排卵障害
・ 無月経
・ 不妊症
黄体機能不全
などの治療に広く用いられ、すでに40年を過ぎた臨床使用経験があります。また、不妊治療では、最も多くの患者さんに使われていると言っても過言ではありません。

クロミッドの作用と副作用についてブログ記事を作成しました。

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(補筆修正:平成30年10月5日)
posted by 桜井明弘 at 09:14| Comment(8) | TrackBack(1) | 生殖医療(不妊治療)一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする