夕べの性交渉で「失敗」してしまった、とのことでした。
聞くとコンドームは着けずに腟内射精をしてしまったんですね。
コンドームは避妊だけでなく、クラミジアなど性病(現在では性行為感染症=STIと呼ばれます)を防ぐ唯一の方法だと言うことをお話しましたら、あ、以前クラミジアに罹ったことがあります、と。
我々の常識から言えば、一度性病に罹ったのだから、二度と罹りたくない、そのためにはコンドームは性交渉の最初から最後までしていなければなりませんよね。
また、同じく20代前半で、最近、初めての性交渉があり、その数日後からかゆみとおりものの異常に気付き来院。
初めてだったので、痛いんでしょうが、まだ痛いんです。
診察の結果、性器ヘルペスの感染でした。
やはりコンドームは最初は使わず、射精の時だけだったそうです。
その患者さんは、初めての性経験だったので、何も分からず、全てパートナーに任せていたそうです。
ここで問題となるのは、前者の方はクラミジアに感染してしまったことで、一度の感染でも卵管の異常を来す可能性があり、それだけで生涯にわたって不妊症となっている可能性が高くなります。
また、後者の方も、ヘルペス感染は一過性のものでは無く、生涯にわたり繰り返し繰り返し再発し、60歳や70歳になっても再発しうる、ということです。
どちらも生涯にわたる悲劇の始まりを20歳そこそこの若さで背負ってしまったわけですが、性に対する知識や常識が余りにも欠如している事が原因で、こう言った患者さんを一人でも防ぐためには、男女問わない啓蒙活動を、これからもし続けなければならない、と改めて思った外来診療でした。
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