2007年11月30日

インフルエンザワクチン接種の割引制度について

当院での予防接種についてご案内しましたが、割引制度が分かりにくいため、ご紹介いたします。

インフルエンザワクチン接種は、投与量にかかわらず、1回3000円(内税)です。
家族割引として、同時にお受けになるご家族の方がいらっしゃれば、2人目から2500円(内税)とさせていただいております。例えば患者さんとお子さん一人で接種を受ける場合、3000円+2500円となります。患者さんとご主人、お子さんお一人であれば3000円+2500円×2です。

また1シーズン2回目の接種は負担軽減を考え、2000円(内税)です。
小学生以下のお子さんや60歳以上の方には2回の接種が推奨されています。また中学生から成人は、昨年インフルエンザワクチンを接種したか、数年の間にインフルエンザにかかった方は1回で十分、と言われています。

また、割引とは異なりますが、横浜市在住の65歳以上の方は横浜市の公費負担がありますので、1回に限り2000円(税なし)で接種できます。

いずれの方も、初診・再診料はかかりません。

下記記事も加筆修正しましたので、併せてご覧ください。
9/17「いよいよインフルエンザシーズン到来 〜インフルエンザとは? 新しい知見は?〜
10/17「当クリニックのインフルエンザワクチン接種のご案内
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2007年11月27日

分娩施設1割減

11月15日の読売新聞に、分娩施設が減少し続けていることが報じられていました。
1年半前と比較して、1割も減少したそうです。

既に分娩受け入れ施設が無く、お困りの方もいらっしゃると思います。
近くの病医院で分娩予約が出来なかったり、帰省先に受け入れが無かったり。

思えば2004年の「大野病院癒着胎盤」、2006年の「堀病院看護師内診」が大きく報じられ、医療現場に警察の捜査が入ったことがきっかけになり、産科診療、周産期治療施設は大きく様変わりしました。

産科医や小児科医、麻酔科医がその過酷な勤務体制から、年々減少の一途たどっていることは、報道や国会でも取り上げられていること、先の参院選で各党のマニフェストに挙げられたことなどから、国民に知られるようになって来ました。これらの科だけでなく、一般に医療施設の労働環境は劣悪です。

上に挙げた2つの事件が大きく、さらに追い討ちをかけるように奈良県の事件があり、産科医療現場にいた多くの産科医師たちが現場を去りました。医療事故には過失によるものと、正当な診断・治療によっても避けられないものがあります。
前者の場合、故意による過失を除けば、ほとんどが不注意や確認を怠ったことによるもので、リスクマネージメント、ヒューマンエラーの概念から、限りなく0(ゼロ)に近く、無くすよう努力しなければなりません。
しかしながら後者の場合は、これも同様に0に近づけなければならないのですが、人間、人体の持つ普遍的でないもの、つまりバリエーションによって避けられないものがあります。分かりやすい例えで言えば、薬剤によるアレルギーです。既にこの薬や類縁の薬でアレルギーの既往がある場合、処方は避けなければなりません。しかし、初めて使う薬、アレルギーの可能性を持ちつつも、治療に必要なため処方します。ほとんど100%に近い方にアレルギーが無くても、大変重篤なアレルギーが発症する方がわずかにいらっしゃるかもしれません。これを過失と呼べば、医療行為は成立しません。

上記の産科診療問題の全てを過失なし、とは言いませんが、不当な警察捜査や検挙により、患者さんのために、地域医療のために身を粉にしてきた医師が「被告人」のレッテルを貼られ、さらに詳細な調査も無く、ましてや専門知識の無い功名心に駆られただけのマスコミによって社会的に大批判にさらされます。

このような状況で、これからも頑張ろう! と意気込めないと思います。

私自身、周産期治療施設から、一開業医となり、産科診療の最前線から退きましたが、勤務医時代は生活は崩壊し、体力、精神的な圧力は限界に達していました(当時のブログアップの時間を見ていただけたらお分かりだと思います)。それでも自分や病院を頼って来てくれている患者さんの気持ちに応えたい、それと自分を可愛がってくれた上司に報いたい、それだけの気持ちで何とか保ってきたものです。ひょんなことから開業の話が持ち上がり、独立に至ったわけですが。

少し愚痴めいたことを書きましたが、国や政治家が本気で前向きに産科診療、周産期医療の建て直しを考えてくれなければ、この10年くらいでもっともっと現況は悪化すると思います。現場にいれば、その予兆を感じます。

この問題をはじめ、さまざまな医療問題を取り上げてらっしゃる先生のブログを見つけました。
posted by 桜井明弘 at 00:42| Comment(4) | TrackBack(0) | 産婦人科医の医療日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月26日

第483回横浜市医師会「医学研修の日」 『これからのインフルエンザ対策 新型インフルエンザの備えは万全か』

11月10日にロイヤルホールヨコハマで行われた市の医師会主催の勉強会に出席して来ました。

けいゆう病院の小児科部長、菅谷憲夫先生のご講演で、目からうろこでした。

インフルエンザの治療薬として、あまりにも有名になった「タミフル(中外製薬・ロシュ〈スイス〉)」。当初はA型インフルエンザにしか効果のなかった「シンメトレル(ノバルティス)」に代わる、夢のインフルエンザ特効薬として、そして昨シーズンからは副作用とされた異常行動との関係において。

タミフルによる異常行動を論じる前に、インフルエンザ脳症による異常行動について知らなければなりません。
インフルエンザ罹患者の2〜10%もの患者さんに異常行動が見られる、とされています。ほとんどが発熱後24時間以内に見られ、後で聞くと、「怖い怖い」と恐怖感情があるそうです。
国内で異常行動が見られたケースを見返すと、半数にタミフルやリレンザが投与されていたそうですが、その半数が投与前に見られた異常行動、残りの半数もほとんど1回だけの投与後に異常行動が見られたそうです。
この点では、タミフルやリレンザによる異常行動なのか、そもそもインフルエンザによって見られた異常行動なのか判別できません。

朝日新聞を中心に、タミフル攻撃が展開されたそうですが、記事の根拠となるデータが、製剤の毒性試験結果でした。毒性試験とは、医薬品が開発・販売される過程で義務付けられた動物実験で、どれくらい投与すると悪影響があるか、端的に言うと、生命の危険があるか、という極端な試験です。タミフルの場合も、通常投与量の250倍の毒性試験が行われ、7日の幼齢ラットに投与したところ、70例中10例が死亡(脳内移行が証明)、42日の成熟ラットでは28例で死亡例はなかったそうです。ちなみに250倍量とは、60kgの体重の方が、一度に800カプセル服用する量だそうです。
しかしながら国内で沸き起こるタミフル攻撃に、遂に発売元の中外製薬から、警告が発表されました。

講演内容はまだまだ続き、タミフルによる異常行動は、報道されているよりもずっと少なく、もしかしたら問題がないかもしれない、それよりもタミフルがいかにインフルエンザを早期に治癒させ、インフルエンザによる死亡者現象の一翼を担ったか、と続きます。また流行が危惧されている新型インフルエンザの対処法について、非常に興味深い内容でした。

次回以降、分かりやすく書いていきたいと思います。

当ブログ、「いよいよインフルエンザシーズン到来 〜インフルエンザとは? 新しい知見は?〜」も随時加筆修正しておりますので、ご覧ください。
posted by 桜井明弘 at 00:24| Comment(0) | TrackBack(2) | 医療一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月25日

新しい精子分析レポートできました

新しい精子分析機器SQA-Vによる精子分析レポートを作成しました。

本機器の輸入販売元の「ジャフコ」社から提供されたレポートを、産婦人科クリニック さくらの患者さん向けに加筆修正し、さらに異常所見が見られた場合の治療指針を呈示しています。

以下に掲載します。


精 子 特 性 分 析 レ ポ ー ト

検査日:
ID:
名前:

精液量:    ml
白血球数(正常・異常→精液培養実施)

              WHOによる正常値    
精子濃度:    XM/ml [20XM/ml以上]
運動率:       % [50%以上直進]
前進運動率
速度が速く直進する精子:              % [25%以上直進]    
速度が遅い又は直進性が不良な精子:       %
頭部又は尾部の動きはあるが前進していない精子:      %  
非運動精子:         %
正常形態率:         % [30%以上正常]
*正常形態率は精子の運動性から解析により算出された推定値になります。
正常形態率が30%未満でも、PMSC(a)やSMIが高ければあまり心配は要りません。

運動精子濃度       XM/ml SQA-Vの判定基準
PMSC(a) 高速前進運動精子濃度:      XM/ml [5以上正常]
PMSC(b) 低速前進運動精子濃度:      XM/ml [(a)+(b)が10以上正常]
機能性精子濃度:      XM/ml [3以上正常]
平均精子速度:        mic/sec [5mic/sec]
SMI(Sperm Motility Index)精子自動性指数:           [80以上正常]
受精能力を判定するには運動精子濃度にスピードも考慮して数値化したSMIを判定に用います。

精液検査所見は体調やストレス等により大きく左右されることがあります。

今回異常所見が見られた場合、以下に今後の方針をお示しします。
1.再検査:精液の所見は日々変化し喫煙、飲酒、睡眠不足、ストレスなどを減らし再検査を受けることで正常値を得られることがあります。再検査は概ね、2週間以上の期間を置いてください。
2.薬物療法:漢方薬、ビタミン剤、血行改善剤により、精巣血流を増やしますが、即効性に乏しいことが多いです。
3.人工授精(AIH) 後述するように、元気な運動精子(上記の高速運動精子)のみをできるだけ抽出して、子宮内に注入します。

その他、以下の検査もお勧めします。
・ホルモン検査 下垂体から分泌されるホルモンによって精子形成が妨げられていることがあります。
・泌尿器科受診 「精策静脈瘤」などの疾患の診断をしてもらいます。

重度の乏精子症の場合、以下の治療が必要な場合があります。
・高度生殖医療(顕微授精・ICSI) 重度の乏精子症や精子無力症の場合適応となることがあります。
・精巣上体・精巣精子顕微授精 特殊な機器を用いるため適応となる方は当該施設を紹介します。

これに検査結果を記入してお渡ししています。

posted by 桜井明弘 at 22:52| Comment(0) | TrackBack(1) | 生殖医療(不妊治療)一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月23日

さくらトリートメントが始まり1ヶ月が経ちました。

本日もスタッフが書いてくれたトリートメントの感想とご案内です。

さくらトリートメントの日は火曜・水曜・木曜で場所は5番診察室の奥です。
いつも5番診察室を使っているのに気付かなかった!という声もちらほら。
このお部屋はクリニック内で一番いいお部屋です。陽当たりがよく温かいので日中は暖房要らずです????
ご利用になられた方々はいかがでしたか??
私は肩こりと目の疲れが気になっており、たまにマッサージには行っていましたがなかなか改善せず、今回リフレクソロジーを受けてちょっとびっくりしたことがありました。翌日、予想以上に足が軽くて全身すっきりした事です。
継続はなかなか難しいモノですがこれが続いたら・・・と思いました。
くすぐったい感じもなく、30分は本当にあっという間でした。
15分のお試しコースも出来ましたのでご興味のある方はお気軽にお試しいただけます????????
興味のある方はお部屋の見学も出来ますのでお声掛けください。
posted by 桜井明弘 at 21:59| Comment(0) | TrackBack(3) | クリニックの設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月21日

さくらトリートメント 新メニュー「お試しコース」のご案内

ご好評いただいています、「さくらトリートメント」ですが、「興味あるけど」「どんな内容なの?」といったご質問を受けます。すでにリフレクソロジーやマッサージをお受けになってらっしゃる方も多いかと思いますが、「さくらトリートメント」を、試しに受けてみたい、待ち時間の合間などにもう少し気軽に受けたい、と言った声も聞かれます。

竹本さん、橘さんと相談し、新メニュー「お試しコース」を新設してもらいました。これまでの「さくらコース」60分「プチさくらコース」30分に加え、15分のコースです。料金は「パウダー」1500円、「オイル」2000円です。

産婦人科クリニック さくらのスタッフもトリートメントを受けており、今日はスタッフの一人、Tが感想を書いてくれたので紹介します。
とてもうまくさくらトリートメントの雰囲気を表してくれています。

ベッドに横になり、目を閉じるとアロマオイルの良い香り。
ベッドは保温されており、背中がポカポカ温まる。まるで陽だまりの下で寝ころんでいる気分????????????(????)
体調に合わせてオイルも選択ができるみたい。
肝心のマッサージは絶妙の力加減でコリをほぐしてくれる?n?[?g?????i?????n?[?g?j
しかも完全個室なので気兼ねなく至福の時間を過ごすことができました?????????i?V?????j


営  業  日
火曜日 10:00〜13:00(最終受付)
水曜日・木曜日    10:00〜13:00(AM最終受付)、
           15:00〜18:00(PM最終受付)

ご予約・お問い合わせ
080−5089―0186
sacra.tamaplaza@ezweb.ne.jp
posted by 桜井明弘 at 23:10| Comment(0) | TrackBack(4) | クリニックの設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月19日

11月20日、院長代診です。

お伝えしましたが、明日11/20(火)、桜井加那子医師休診につき、院長が代診します。診療時間は従来どおり、午前のみとさせていただきます。
また、12月の休診も以下の通りありますので、ご迷惑をお掛けしますが、よろしくご承知おきください。
12・10(月)桜井加那子医師休診
12・15(土)桜井加那子医師休診

思えば、開業以来6ヶ月が経ちましたが、院長の火曜日診察は初めてで、普段と違う雰囲気に少し緊張気味です(笑)。
posted by 桜井明弘 at 19:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療のご案内 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月18日

不妊と子宮内膜症 その原因

子宮内膜症シリーズ、今日は不妊との関係です。

不妊症の原因の一つに子宮内膜症があります。
内膜症があっても妊娠される方もあり、内膜症は絶対不妊の因子ではなく、相対的不妊因子です。

内膜症の状態も腹膜上に内膜症病変が見られるだけの軽度のものから、子宮後面に直腸が強固に癒着する重症(ダグラス窩癒着)のものまで様々です。

ではなぜ内膜症が不妊因子になるのでしょうか。これには大体3つの理由があります。

まず第一に内膜症が引き起こす癒着です。特に卵巣、卵管の癒着が原因として大きいです。卵巣・卵管の癒着により、排卵された卵子が、卵管采に取り込まれない、いわゆる「Pick Up障害」となります。上に挙げたダグラス窩癒着があっても、卵巣・卵管の癒着が無い場合、妊娠率があまり低下しない、と言われています。

次に卵巣チョコレートのう胞の患者さんで言われるのが、卵の「質の低下」です。これは体外受精で採卵された卵子を観察することで明らかになってきましたが、古い血液が貯留した状態である、チョコレートのう胞の存在が卵の質を低下させる要因として研究されています。

最後が内膜症病変そのものの存在です。
内膜症患者さんの手術のときに、お腹に腹水が貯まっていることが良く見られます。この腹水、分析すると「サイトカイン」と言う物質が、内膜症患者さんでは高い濃度で検出されます。サイトカインとは、炎症が起こったときに産生されるたんぱく質で、正常の細胞にも障害をもたらします。
排卵された卵子は卵胞から飛び出し、卵管采に取り込まれるまでの間、僅かな時間ですが、腹腔内に存在します。つまり個々で腹水中のサイトカインに暴露されることが予想されます。
最初に軽度の内膜症として、腹膜病変のみが見られる、と書きましたが、この病変からもサイトカインが産生されるとすれば、軽症の内膜症でも不妊の要因になる可能性があります。

次回、「不妊と子宮内膜症」、治療方針について書きます。
posted by 桜井明弘 at 23:40| Comment(0) | TrackBack(3) | 子宮内膜症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月17日

腹圧性尿失禁

笑ったり、走ったり、くしゃみしたり。いずれもお腹に力が入りますが、このときに起こるのが、腹圧性尿失禁(尿もれ)です。

産後、特に経腟分娩後に一過性に見られたり、しばらく続いたり、また40代、50代、60代と、加齢変化の一つとしてだんだん多くなります。

飲み物を控えたり、努力してもなかなかよくならず、気になって外出を控えたり、女性のQOL(クォリティー・オブ・ライフ)を著しく損ねています。

いったいどれくらい多くの女性が、尿もれに悩んでいるのでしょうか。
年齢や分娩歴によって異なりますが、20〜30%の女性が尿もれに苦しんでいる、とされています。意外に多いと思いませんか?

尿もれに悩んでも、治ると思っていない、どうしたらいいか分からない、特にデリケートな問題なので友達にも相談できない、ましてや医療機関で相談すべきことではない、そう思っている方がいかに多いか。
担当する診療科は、泌尿器科や婦人科です。婦人科で尿もれを心配して相談される方、あまりいらっしゃいませんし、他のことで受診された方にも、我々からあえて、「尿もれはありますか?」と聞けるものでもありません。

なぜ尿もれが起こるのでしょうか。
2つの大きな理由があり、一つは骨盤底筋のゆるみ、衰えです。これは分娩によって過度に進展された骨盤底筋の収縮力が弱くなったり、やはり加齢によります。もう一つの理由は神経の問題です。尿の調節は非常に複雑な神経支配があり、尿をためるときは膀胱がゆるみ、尿道口を締めます。膀胱は筋肉で出来た袋、尿道口は尿道括約筋によって調節されています。また排尿時には、尿道括約筋がゆるみ、尿道口が開き、反対に今度は膀胱が収縮して一気に排尿、となります。筋肉の収縮、弛緩がその調節に必要で、これらの筋肉は当然神経によって支配されています。

次回は治療編を書きます。
posted by 桜井明弘 at 22:59| Comment(0) | TrackBack(1) | 医療一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月16日

卵巣チョコレートのう胞

卵巣に内膜症病変が発生し、卵巣の中に血液がたまる病態があります。古くなった血液が、あたかもチョコレートを融かしたように見えるので、「卵巣チョコレートのう(嚢)胞」と呼ばれます。病気の名前にお菓子の名前が付くなんて、最初は珍しいな、と思いましたが、国際的にも「Chocolate cyst」でも通じます。

チョコレートのう胞は、その血液がたまるため、卵巣が腫大します。しかし、他の卵巣のう腫に比べて、茎捻転は起こしにくいです。茎捻転とは、卵巣のう腫がある程度大きくなると、一般的には5cmくらいからですが、卵巣の付け根の部分を「茎」とし、のう腫が回転(捻転)することで、この「茎」には卵巣を栄養する血管がありますから、卵巣に血液がいかなくなり、悪い言葉で言えば、卵巣が腐ってしまいます(壊死)。このときに非常に強い痛みを突然起こすことがあり、これを卵巣のう腫茎捻転といいます。
チョコレートのう胞は内膜症ですから、前に書いた「癒着」を多かれ少なかれ伴うことが多いです。チョコレートのう胞は、周りの卵管、子宮、骨盤壁、腸管に癒着していることが多いので、茎捻転はほとんど起こしません。

しかし、チョコレートのう胞が出来ることによる圧迫された痛み、周囲の癒着による痛み、茎捻転ではなく破裂する可能性、チョコレートのう胞があると排卵される卵子の質が低下する可能性、わずかながらもチョコレートのう胞のがん化も言われており、チョコレートのう胞は治療の対象となることが多いです。

治療の適応は、症状と大きさによります。
痛みがある場合、まずは鎮痛剤を使いますが、鎮痛剤が効かなければ、内膜症に対する治療の適応です。不妊症の場合、卵巣チョコレートのう胞 また大きさはおおむね5cmくらいを超えた場合に治療の適応となります。

治療には、「子宮内膜症の治療、ラインナップ」で書きましたが、
1.卵巣チョコレートのう胞摘出(核出)術
2.偽閉経療法
3.ディナゲスト
4.ピル
があります。上から根治的な治療法の順ですが、同様に身体に対するストレスも大きい順になっています。

1.の手術療法ですが、最近ではほとんどが腹腔鏡下に行われています。大きすぎるもの、癒着がひどいもの、悪性の可能性がある場合には開腹手術が行われています。

その他、最近チョコレートのう胞のがん化がよく言われるようになりました。
年齢や大きさでがん化のリスクが異なります。チョコレートのう胞全体からみると、がん化するのは僅かですが、他方、卵巣がん全体でみると、40〜50歳代でチョコレートのう胞ががん化した方、決して珍しくないのです。
がん化については、別に書きました。

(2008年2月26日補筆訂正)
posted by 桜井明弘 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(6) | 子宮内膜症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月13日

11月・12月の休/代診(再訂正版)と年始の診療開始日について

先週訂正版をアップしましたが、一部再訂正がありますので、お知らせします。

変更点は11/19(月)の予定です。この日、桜井加那子医師は平常どおり診察に当たります。他、お伝えしたとおりの休代診の予定を再掲します。

11/20(火)桜井加那子医師休診、院長代診。平常どおり午前のみの外来です。

12/10(月)桜井加那子医師休診。院長外来は平常どおりです。

12/15(土)桜井加那子医師休診。院長外来は平常どおりです。

以上です。変更があり次第、再度お知らせします。


また、年末の休診を30日より、とお伝えしました。年始の診療開始は5日(土)とさせていただきます。
posted by 桜井明弘 at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療のご案内 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月12日

子宮内膜症は増えているのか?

よく内膜症の特集などで、「子宮内膜症は増えている」と言うフレーズを目にします。実際にどれくらい前と比較しているのか明らかではなく、現在の患者さんたちのお祖母さんたちの時代と比較したらどうか、もっと近年のお母様方の時代では、と考えますが、内膜症という病気の概念がなかった、もしくは乏しかったため、当時の内膜症の発生率などは分かりません。

「内膜症は生理のたびに悪くなる」これもよく耳にしますが、これは本当だと思います。もちろん進行の速さや、再発の有無など、個人差がありますし、同じ患者さんでも内膜症が進んだり止まったり、また進んだり、と生理が来ているときでも一概に言えません。また「妊娠すると内膜症がよくなる」も本当で、妊娠で内膜症が治ったり、進行が止まったり、と言う患者さんをよく経験します。
「産むと生理痛が軽くなる」とは言われてきたことで、これを考えると、昔からきっと内膜症はあったのでしょう。

現代女性は上の世代の方々と比べると食生活の欧米化などで明らかに栄養状態がよく、初経年齢が早まっています。また進学や就職があるため、結婚年齢が上昇し、初産年齢が30歳を超えました。妊娠回数は少なく、出産は多くて3回くらいでしょう。さらに平均的な日本人の閉経年齢は52歳だそうです。これに対し、上の世代の方々は個人差があるものの、初経が遅く、まもなく結婚し、妊娠、出産をしました。出産の後、すぐにまた妊娠、と出産回数が多く、また閉経が早かったです。
こう考えてくると、現代女性と上の世代の女性では、最も異なるのが生涯の月経の回数です。「内膜症は生理のたびに悪くなる」が真であれば、現代女性のほうが内膜症にかかりやすい人生を送っている、といっても過言ではありません。
他に増えている理由として、以前にも触れましたが、数年前にはダイオキシンなど環境ホルモンの影響があるのではないか、と大分騒がれました。確かに土壌汚染など環境の悪化により病気が増えている、と言うのはわかりやすいですし、センセーショナルです。当時はこれを単なる統計的なデータとしてだけではなく、実験的に証明すべく、各方面で研究も盛んでした。
最近あまり学会発表も目にしなくなりましたが。

現代女性に内膜症が増えている最も大きな要因は、上に挙げた、月経回数が増えたことによる、と思われます。
posted by 桜井明弘 at 00:53| Comment(0) | TrackBack(2) | 子宮内膜症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月09日

年末休診と高度生殖医療の排卵誘発について

年末の診療予定をお知らせします。
12月29日(土)まで診療し、翌30日から休診させていただきます。

これに伴い、高度生殖医療(体外受精など)の排卵誘発は、11月30日までの開始とさせていただきます。12月1日以降の排卵誘発開始される場合、胚移植後の黄体補充が休診に当たる可能性があるためです。

尚、排卵誘発法は患者さんによって異なり、内服薬の排卵誘発剤や、自然周期の採卵を予定されている方はこの限りではなく、また12月後半の排卵誘発開始も可能であることもありますので、詳しくは担当医師にご相談下さい。
posted by 桜井明弘 at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療のご案内 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月08日

新しい精液検査のご案内 〜SQA-V Goldを用いたより詳細な検査〜

診察室5番の電子カルテ画面の横に、見慣れない器械が置かれているのに気付かれた方も多いと思います。
新しい精液検査機器、SQA-V Goldです。
これまで試験的にお借りして精液検査に使ってきたのですが、従来の精子濃度、運動率だけをみる精液検査から、格段に詳細な検査ができるようになりました。

例えば、「高速直進運動精子」の比率です。
運動精子には、まっすぐ早く運動している良好な精子から、動いてはいるもののあまり進みがよくないもの、動いているがその場でくねくねと、ほとんど進まないものなどがあります。妊娠にあずかるのは、この「まっすぐ早く」の精子なのです。
これまでの顕微鏡での観察では、どれくらいを早いとするか、検査を担当する人によって若干異なることがあり、施設内、施設間での成績や治療方針に差が生じていました。
器械でカウントすることは、人間の不得手な客観的な評価を可能にし、また多くの精子を同時に解析できる点が大きなメリットです。

当院で行う新しい精液検査は、この機器を用いるため、通常の保険診療で行うよりも詳細な結果が得られ、治療方針に役立たせることが出来ます。
検査は、自費診療とさせていただき、1回4000円のご負担を頂いております。
posted by 桜井明弘 at 01:16| Comment(0) | TrackBack(1) | 生殖医療(不妊治療)一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月01日

インフルエンザ、青葉区にも発生。

とうとう青葉区・青葉台、都筑区・中山にもインフルエンザが発生したそうです。都内でも杉並区で発生があり、いよいよ本格的なインフルエンザシーズン到来、といった感じです。

皆さん、ご自愛下さい。
posted by 桜井明弘 at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 医療一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする