2007年07月30日

卵巣がん検診

卵巣は子宮と異なり、腹腔内臓器です。
分かりやすく表現すると、子宮は腟の奥に実際に見える臓器ですが、卵巣は見えません。

これを踏まえて言うと、卵巣がんに関しては、子宮頚がん、体がんに比べて症状が出るのは進行してから、と言う特徴があります。大きくならないと分かりにくいため、本当は半年に1回くらいの検診、経腟超音波検査が望ましいですが、これも発症率からすると、全ての女性に強制するのは行き過ぎのような気もします。

卵巣がはれている、卵巣のう腫がある、といった方は、少なくともそれくらいの検診をお受けになったほうがいいかもしれません。

腫れている、が良性なのか、万が一悪性ではないか、また、卵巣のう腫の中でも、子宮内膜症に伴う卵巣チョコレートのう胞、皮様のう腫はがん化することが知られています。

当クリニックでは、市のがん検診では、超音波検査を併用しております。
posted by 桜井明弘 at 01:08| Comment(0) | TrackBack(2) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月29日

子宮体がん検診

これまでの日本人の婦人科領域のがんは、子宮頚がんが断トツで多かったのですが、近年では子宮体がんと卵巣がんの発生が高くなってきています。広い範囲で言うと、乳がんもそうです。
これは食生活、生活スタイルの欧米化、が原因ともされていますが確かに一理ありそうです。
それでも体がんの発生はまだまだ頻度が低いこと、頚がんが性交経験のある女性であれば、誰でもHPV感染の点から、発症する危険があるのに対して、体がんはある程度リスク群があることの違いがあります。また、検診で行う細胞診のリスクが頚がん検査より高いことから、全ての女性に、と言う検査ではありません。
もちろん、不正出血のある方や、一度でも体がん検査で疑陽性が出ている方は、最低でも1年に1度の検査がお勧めです。

子宮体がん検査も市の検診の範囲ですので、市がん検診でお受けになれます。

少しでも心配な点があれば、ぜひともご相談下さい。
posted by 桜井明弘 at 23:36| Comment(0) | TrackBack(20) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月28日

公明党マニフェスト 2007参院選 〜各党医療問題マニフェスト比較〜

いよいよ明日に参院選が迫りました。
このシリーズの構想では、今日までに各党のマニフェストについて触れようと思ったのですが、思うようにはかどりませんでした。

前回の民主党に続いては、公明党です。公明党に対する賛否や好き嫌いは別にしても、与党連合の一端を担う責任政党です、また、SEO対策が上手なのか、検索で上位ヒットします。自民党はなぜかヒットしない...。
与党の一つとして、この短いマニフェスト比較の最後として触れます。

参院選重点公約
としてHPに掲載されています。
まず第一に掲げられた公約は、
「1.国民の命に責任(命のマニフェスト)」
中でも、
「(医師不足対策)」
が最初にあります。

「医師不足地域に対して、緊急に医師を派遣する体制を国レベルで整備します」
大変重要な点だと思いますが、緊急に派遣される医師はどのように確保するのでしょうか。
 
「産科・小児科など医師が不足している特定の診療科に対して診療報酬の引き上げなどにより増員を図るとともに、女性医師の確保対策の一環として、院内保育所の整備や女性医師バンクの体制強化を進めます」
民主党マニフェストでは触れられなかった、具体的な産科・小児科不足の対策だと思います。
民主党マニフェストブログで私が触れた、これだけで志望する若い医師が増えるか、といった疑問に対しては解決策、といえると思います。好き好んでリスクが大きい、訴訟される確率が高い科には進まないでしょう。医療の世界でも需要供給バランスがあります。短期的に供給不足に陥ると需要が高まるため、大学などの医局レベルでは、数年のスパンで各課の入局者が増減します。中長期的には、足りない科の医師に給与を上げることにより、安定供給を図ります。日本でも既に麻酔科医師の確保のため、沢山の病院で取られた手法です。

『がん対策の強化で、「がんに負けない社会」へ』
大体が民主党案と同様ですが、以下の点は公明党オリジナルのようです。

「治療の初期段階から、がんの痛みをとる緩和ケアが受けられるようにするため、10年以内に、がんを担当する全ての医師に『緩和ケアの研修』を実施します」
ただ、医療の世界も専門分化が激しくなっており、机上の空論です。がんを担当する、外科系医師、放射線科医師も日々の臨床に追われ、化学療法だけが、各科にわたる診療科として独立しつつあります。更に、終末期医療を担う医師も、ターミナルケア、ホスピス、緩和ケア、として既に独立しています。
これらを全て同一の医師が担うには、医療の範囲が広くなってきている、ということです。勿論、がんの手術を専門とする医師に、緩和ケアとは何か、基本的に知っておいて欲しいとは思います。
各がん治療専門医は、外科系、化学療法、放射線療法、緩和ケア、予防医学(検診)をそれぞれ研修し、総合的な判断ができるようになって欲しいです。

「ドクターヘリの全国配備」
・「救急医療用ヘリコプター特別措置法案」に基づき、5年以内に全国50カ所(2006年度末時点で10道県11機)のドクターヘリの配備を進め、救急医療における救命率の向上や、過疎地や離島における医療の確保を推進します。
・日没後の救急対応が可能となるよう、山間部など医療過疎地を中心に夜間照明付きのヘリポート(災害広場兼用)の整備を推進します。
・フライトドクターなどドクターヘリ関係医療スタッフの育成支援を実施します。
・ドクターヘリ事業への都道府県負担を軽減するため、医療費の削減効果等を踏まえ、健康保険等の適用が可能となるよう早期に措置します。
公明党の医療問題の売りの一つに、ドクターヘリがあります。北海道・札幌市の近郊の病院では、大変活躍しているようです。テレビでも特集していました。これもスタッフ、ことに医師確保をどうするのか、具体案が欲しいです。最後の健康保険適用は分かりますが、これ以上保険者に負担を増やせば、被保険者である国民の保険料を上げざるを得ない、それが医療費削減に繋がるでしょうか、また、国民の負担増を強いる結果にならないでしょうか。

その他、子育て支援もあるのですが、時間が取れずに医療問題に絞って触れました。

明日の参院選、お天気は微妙のようですが、是非皆さん投票所へ足を運び、明日の日本を託す一票を投票しましょう。
posted by 桜井明弘 at 20:32| Comment(0) | TrackBack(2) | 産婦人科医の医療日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月26日

民主党マニフェスト 2007年参院選 〜各党医療問題マニフェスト比較〜

7月29日(日)、参院選が行われます。一人ひとりが持っている一票は小さいですが、大勢の意見が集まれば国政を左右することができる、大切な機会です。当日投票できなければ、期日前投票もあります。是非有権者の皆さんに投票をしていただきたいものです。

最近では各党が選挙公約として、マニフェストを発行しています。
街頭で配布されたり、選挙事務所で手に入れられたり、インターネットでダウンロードしたりも出来、各党の考えを読み比べることが出来ます。

さて、当ブログでは、来る参院選までの間、各党のマニフェスト、特に医療問題について、私が読んだ感想を書いていきたいと思います。

まずGoogle検索で、「マニフェスト 参院選」でヒットした順に読んでいきます。検索すると一番上位にあったのは「民主党」でした。

民主党のマニフェストは「3つの約束」と「7つの提言」からなっており、最初に党の重点政策が列挙されています。

医療問題、育児問題では
「約束2 安心して子育てできる社会。1人月額2万6000円の「子ども手当」を支給します」
「提言2 医師不足を解消して、安心の医療をつくる」
の2項目に着目しました。

『子ども1人当たり月額2万6000円の「子ども手当」は中学校卒業まで支給』されるそうで、出生時から計算すると、12年間で374万円にもなります。こう書くと、確かに育児費用の負担軽減にはなるでしょうから、「産みにくい」、「育てにくい」社会構造の中で、少子化対策と言えるかも知れません。額は妥当でしょうか、これには各家庭での収入や家計にも左右されると思いますが。財源は様々な無駄をなくすことにより増税しなくても確保できる、本当に可能なのかは私には単純には分かりませんが。
その他、「公立高校の授業料の無料化を進め、高校・大学生への奨学金制度を拡充する」、としています。

さて、「提言2」の医療問題です。7つの提言のうち、雇用に次ぐ2番目に位置していることは、それだけ重要視している、と言うことでしょうか。
医師不足の解消については、「医師・看護師等の配置を適正化する緊急行動計画を策定」する、と書いています。具体的な適正配置をとる、
「特に、産科・小児科の医師不足は早期に解消します」は心強いと思います。「女性の医師・看護師等が仕事を続けやすく、また、復職しやすい環境を整備します。そのために、院内保育所の整備や復職のための研修を進めます」
非常に大切なポイントです。女性医師の場合、男性と同じ教育を受け、研鑽を積んでいるのに、結婚、妊娠・分娩、育児によって、第一線を退かざるを得ない、これは他のどの職種にも言える事かも知れませんが、専門技術を持った、特に仕事にのっている世代の女性が、半ば引退してしまうのは、本人は勿論、職場も社会的にも損失である、と言えます。
自転車や自動車の運転は、しばらく休んでも、ほとんど問題なくまた運転できますが、医師の仕事はそうは言えません。しばらく休んでいるうちに新しい技術や薬が開発され、またこれは運転とも近いかもしれませんが、自分の技術も後退します。
このような、第一線を離れた時期のフォローを、研修会や講習会によって補い、「即戦力」として復職できるよう支援する、また、とかく復職は職場内での軋轢が生じることもあるでしょう。社会的なコンセンサスが必要です。
現在のように、医師不足ですと、どの医局も人員が欲しいため、この点は解決できそうです。

もう一つ大切なポイントは、「院内保育所」です。
コストがかかるため、院内保育所が整備されている病院、余り多くないと思います。私が見てきた病院でも、なぜか、看護婦さんのお子さんは入れるのに、女医さんの子供は入所資格がない、なんてところもありました。どうしてそんな不公平が生まれるのか、理解しがたいですよね。

「全国どこにいても、最善のがん治療や最新のがん情報が受けられる体制をつくります」
いよいよ日本人の死亡率首位に立ったのが、「がん」です。
高齢化が進めば進むほど、長生きをするようになったのですから、がんにかかる方も単純に増えてきます。
勿論、死因となる病気ですから、対がん戦略は重要な医療問題、研究課題だと思います。それを国が支援してくれることは国民にとって有用ですし、予防医学が重視されてきた現在、我々第一線に立っている医師にとっても、ありがたい話です。

ただ、一般的に言って、「全国どこでも、最善の治療」は美辞麗句、の感があります。これだけ医師不足が問題となっているのに、どこでも同じ医療が受けられるか、疑問ではありませんか。

マニフェストには、さらにこれらの大項目の詳細な記載、政策各論があります。

「1.くらし」

「2.小児科・産科医をはじめ医療従事者不足を解消」
には、
「小児科では開業医が地域小児科センターで時間外外来を担当するといった協働作業による集約化をさらにすすめます。産科医は勤務が過酷なだけでなく、訴訟リスクなども高いことから、無過失補償制度と医療事故原因究明のための医療安全委員会を設立します」

特定の業種に就くマンパワーが不足している場合、「集約化」による効率化を上げるのは、一つのキーワードだと思います。しかし、この文面だけで、小児科医・産科医不足の解消に繋がるでしょうか。
あなたが医学生で、これからどの科に進もうか、悩んでいるときに、この文を読んでこれがなされた暁に、よし、リスクの高い、ハードな小児科、または産科を選ぼう! と、思えるでしょうか。

「医療費抑制と称して10%削減された医学部定員を元に戻し、地域枠、学士枠、編入枠とします。各診療科の必要医師数を明示し、医療圏ごとの数値目標を提示します」

医学部定員は医療費抑制が原因だったのですね、医師が全国的に大体充足したから、とされていたと記憶していました。
医療圏ごとの各診療科に必要な医師数、確保する目標を掲げるのは分かりますが、一体どうやってそれを達成するのでしょうか。

また「1.くらし」の中に、
「4. 医療事故の原因究明と再発防止」
があります。
その「@医療メディエーターを養成」や「A『裁判外紛争処理機関』」は非常にいい考えだと思います。全国の医療訴訟を見ると、医療機関側には非がない、偶発的に起こった症状の変化、と思われるものも裁判に発展しています。
医療訴訟の経験が豊富な弁護士が患者さん側についた場合、カルテを見ることで大体医療機関側の非があるか、止むを得なかった案件か、判断がつくのですが、余り経験がない場合、患者さんからの話だけで判断し、訴訟を起こす、という事例が目に付きます。勝てるかもしれないし、勝てなくても示談に持ち込めば病院から見舞金が取れる、その両方がだめでも、弁護費用はもらえます、そんな構図の気がしてなりません。
客観的に中立を保ち、無駄な裁判(時間と費用の面で)を少なくし、双方が納得できるようこの「紛争処理機関」には期待をしたいと思います。
その一方で、『B国の機関として『医療安全委員会』を設置」することにより、医療事故は徹底的に追求し、再発を最大限防ぎ、事故を繰り返す医療機関に対する行政指導を行い、全医療機関で安全な医療が受けられるよう、よりよい医療の新しい時代を期待します。

他にも「環境」や「政と官」など、面白く読みました。「外交」は少し浅薄に思い、もっと現代の国際問題に突っ込んだ内容だったらよかったのに、と思いました。これらは専門外なので、ブログでは取り上げませんが、残り1週間足らず、各党のマニフェストを手に取り、じっくり読んでみてはいかがでしょうか。
posted by 桜井明弘 at 19:35| Comment(4) | TrackBack(2) | 産婦人科医の医療日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月24日

再稿 日本の周産期医療の優秀性について

診察にみえた患者さんから、「ブログ読んでます」と言われると、とても嬉しいです。少し恥ずかしく思いますが。

先日見えた患者さんが、「日本の新生児死亡率は一番高いんですよね」とおっしゃるので、びっくりしました。

以前の記事に書いた「世界で最低」が誤解を招いたようですが、死亡率が最低、とは、医療レベルは最高、の意味なのです。分かりにくい表現をとってすみません。

改めて、当時の記事へリンクしておきますので、是非皆さんお読み下さい。

現在でも同じく産科医療の崩壊が報じられ続けています。皆さんのお住まいの地域ではいかがでしょうか。
posted by 桜井明弘 at 18:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 産婦人科一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月23日

排卵誘発剤 〜注射剤;r-FSH、u-FSH、hMG〜

高度生殖医療のラインナップでお示しした、r-FSH、u-FSH、hMGについて述べたいと思います。

本稿は、高度生殖医療に限らず、一般生殖医療にも深く関係します。

内服の排卵誘発剤(クロミッド、フェマーラ)で排卵が認められない場合、排卵は正常に起こっても妊娠に至らない場合、また高度生殖医療の採卵で、たくさんの卵子を得たい場合に注射剤が使われます。

FSHとは、「卵胞発育刺激ホルモン」のことで、もともと下垂体から分泌されているものです。これを薬として使うことで、より効果の大きい「排卵誘発」をすることができます。またエストロゲン分泌が盛んになるため、子宮内膜が厚く作られます。

注射剤は従来「hMG製剤」と呼ばれてきましたが、今日では注射剤の中には「hMG」「u-FSH」「r-FSH」の3種類があります。「r-FSH」は今年4月、新しく保険適応となりました。

r-FSH 
リコンビナントとよばれる技術を用い、尿由来ではない、100%純粋なFSHの製剤で、現在国内では「フォリスチム」という薬剤のみが保険適応になっています。下のu-FSH製剤と比べて、若干コストがかかりますが、純粋で夾雑物がありません。LHは「LHサージ」で知られるように、排卵させるホルモンですが、r-FSHには「LH」が全く含まれないため「卵巣過剰刺激症候群」「多胎妊娠」の発生率が低下します。一方で単独で使用した場合の排卵誘発効果が弱いため、「クロミッド」や「フェマーラ」と組み合わせ、より身体に優しく有効な排卵誘発を行います。

u-FSH 
尿由来のFSH製剤で、下のhMG製剤と比べて、「LH」の含有量が極めて少ないです。「LH」は排卵前の卵胞期に投与されると強い卵巣刺激があります。u-FSHはr-FSHと同様に「卵巣過剰刺激症候群」や「多胎妊娠」の発生率を低下させます。、「クロミッド」や「フェマーラ」と組み合わせる方法は、やはりr-FSHと同様です。

hMG 
以前よりあった注射の排卵誘発剤です。製剤によりLHの含有量が異なるため、なるべくLHの量が少ないものを用います。たくさんの卵子を採卵するためには最も効果的ですが、「卵巣過剰刺激症候群」の発生に注意しなければならず、また「胚移植」を行わない、タイミング法、人工授精(AIH)では、多胎妊娠のリスクが高くなります。

この記事をお読みになり、お使いになっている製剤に対する疑問や不安な点など、何なりとご質問下さい。
posted by 桜井明弘 at 20:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 生殖医療(不妊治療)一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月19日

8月30日代診と午後休診のお知らせ

来る8月30日(木)、院長が日本受精着床学会に出席するため、午前桜井加那子医師が代診を行います。尚、勝手ながら午後は休診とさせて頂きます。

昨日の午後代診、来週の夏季休暇、とご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願い致します。
タグ:代診 休診
posted by 桜井明弘 at 23:33| Comment(0) | TrackBack(1) | 診療のご案内 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月18日

尿失禁の新しい治療

尿失禁、尿漏れ。

ひとにはなかなか相談しにくいことですし、病院、診療所で相談することなのだろうか。これは病気なんだろうか。

例えば、妊娠中。子宮が大きくなり、膀胱を圧迫し、膀胱が小さくなるため、意外と尿失禁は多くみられます。破水かと思った! と、びっくりされた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
産後、狭い狭い産道を赤ちゃんが通ってくるときに、腟の前にある膀胱に強い力が加わり、一過性に尿漏れがあること、これも決して少なくありません。

更に年齢を重ねるごとに、尿失禁、特に腹圧性尿失禁が増えると言われています。くしゃみしたり、笑ったり、走り出すときに、と言うきっかけが多いです。

当院では新しい尿失禁(尿漏れ)の治療機器「ssTES(仙骨表面治療的電気刺激) のどか」を用いた治療を開始しました。

女性の尿失禁の原因として多い「腹圧性尿失禁」は、出産や年齢による骨盤底筋力の低下や尿道抵抗の低下により起こります。
また、年齢とともに膀胱容量が小さくなることも原因の一つです。

仙骨(腰より下、お尻の上の辺りの背骨)の第2〜4番目には、骨盤内臓器(膀胱、子宮、卵巣など)を司る神経が通っています。この神経を刺激することにより、膀胱容量を増大させたり、膀胱、尿道括約筋や骨盤底筋を鍛えることが出来ます。

今回当院で開始する治療はこの第2〜4仙骨の神経を刺激する方法です。

ssTESの特徴は、骨盤底筋体操で効果のみられなかった方、薬物療法でも効果がない、副作用があった、といった方に効果が期待できます。
また、皮膚表面からの刺激なので、非侵襲的でリスクが少なく、これまでに重篤な副作用の報告はありません。

お産後の一時的な尿漏れにも効果が期待できます。また、年齢による頻尿にも効果があります。詳しくは、外来でおたずね下さい。


本日のブログ記事は、桜井加那子医師と院長が執筆いたしました。
posted by 桜井明弘 at 00:18| Comment(0) | TrackBack(4) | クリニックの設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月17日

メディカルモール・たまプラーザ健康講座のお知らせとご意見募集のご案内

産婦人科クリニック さくら」が入っている?a?@メディカルモール・たまプラーザには、内科皮膚科歯科薬局があります。

9月に5つのテナントが主催する健康講座exclamationを行う予定で、現在準備を進めています。皆さんのためになる企画を考えており、ご評価いただければ、数ヶ月ごとに定期的に開催したいと思っています。

さて、今回は初めての企画ですので、皆さんからご意見を頂きたくご案内いたします。最初ですから、各院長の得意分野をお話したいと思いますが、こんな話が聞きたい、といったご意見があったらお寄せ下さい。

日程は9月の土曜日、午後、場所は参加してくださる人数にもよりますが、メディカルモール・たまプラーザ内の予定です。

お聞きしたいのは、
1)参加してみたい、参加しない

2)参加するならこんな話が聞きたい
2-1)内科(とくうえ内科クリニック)
2-2)皮膚科(山本皮フ科クリニック)
2-3)歯科(こうづま歯科医院
2-4)薬局(サニタ薬局)
2-5)産婦人科(産婦人科クリニック さくら
*2)はご意見ある施設だけでも結構です。

3)その他企画に関するご意見がありましたらお願いします。

以上、
kenko-mmtp@cl-sacra.com
までお寄せ下さい。上手くアンケート調査フォームが作れなかったため、ご面倒をお掛けしますがよろしくお願いします。

尚、頂きましたご意見は、本講座開催の目的以外には使用いたしません。また、お送り頂いたメールアドレスは、厳重に管理させていただき、いかなる目的にも使用しないことをお約束します。

2007年07月16日

高度生殖医療のラインナップ

以前に「高度生殖医療の流れ」を図示しましたが、この流れにある検査、治療のラインナップを簡単に説明します。
是非、「流れ」の図をご覧になりながら、以下の説明を読んでください。


採卵前検査

採卵を開始する前に行う検査です。採卵は少ないながらも出血を伴う治療行為です。医療従事者への血液を介する感染を予防する目的と、赤ちゃんへの感染を予防するために行う検査と、採卵時の合併症などを未然に防ぐために検査を行います。検査結果によっては、当クリニックでの採卵が行えない場合もあります。


プレトリートメント(Pre-treatment)

採卵の前周期に発育する卵胞を抑え、採卵周期に最も効率的に良好な卵子を回収する目的に行います。月経周期が完全に正常な場合は、以下の自然周期採卵では必要ないこともあります。主にOC(低用量ピル)が用いられます。


・ 排卵誘発プロトコール

1)自然周期

排卵誘発剤を全くしようせずに採卵します。通常1つの卵子しか回収できず、また採卵時に排卵してしまっている可能性もありますが、身体に優しい方法です。

2)排卵誘発剤(内服剤)

内服の排卵誘発剤は、最も低刺激の排卵誘発で、自然周期に準じた合併症の少なさがあります。自然周期と同様に、採卵時に排卵してしまっている可能性もあります。

2a)クロミッド

通常2〜5個の卵胞が発育します。しかし子宮内膜の菲薄化(薄くなること)が妊娠率を低下させるとも言われています。

2b)フェマーラ

 「クロミッド」の副作用である、「子宮内膜の菲薄化」がみられず、不妊患者さんに適していると考えます。

3)排卵誘発剤(注射剤)

 単剤で用いることは余りなく、クロミッドやフェマーラと組み合わせることで、卵胞発育の効率を上げ、子宮内膜を肥厚、また副作用の軽減が期待できます。
 また、GnRHaとの併用による、Long法、Short法があります。
*u-FSH、r-FSH、hMGそれぞれの解説はクリニックでお渡ししている「生殖医療のご案内」、また当ブログでも近いうちに書きます。

3a)クロミッドまたはフェマーラ+u-またはr-FSH

3b)クロミッドまたはフェマーラ+hMG

3c)GnRHaとの併用

Long法
 以上の方法で良好な卵子や受精卵が得られない場合に行います。採卵の前周期の黄体期からGnRHaを点鼻し、卵巣の働きを抑え、出血後に排卵刺激を行います。

 ・Short法
 Long法と同様にGnRHaを点鼻しますが、出血後に卵巣刺激として用います。蒸気のいずれの方法でも良好な卵子や受精卵が得られない場合に行います。


・ 採卵
 
 あらかじめ鎮痛剤や局所麻酔、場合によっては静脈麻酔を行い、経腟超音波下に卵巣から直接卵子を回収する、高度生殖医療の一つの大きな治療となります。


・ 受精方法

 得られた卵子とご主人の精子を受精するため、以下の方法があります。
 
 ・体外受精(IVF)
 
 培容器内で、卵子と精子を受精させます。この受精は、卵管で起こる現象を体外に移したものと考えてください。精子の数があり、受精能がある方に行われます。

 ・顕微授精(ICSI)

 精子数が少ない方、これまでにIVFで受精しなかった方、前日のIVFで受精卵が得られなかった場合に行うレスキューICSIがあります。


・ 胚移植(ET)

 受精卵を子宮に戻す、大切なイベントです。「産婦人科クリニック さくら」では、妊娠中のトラブルを少しでも回避するため、原則、単一胚細胞移植(SET)を行います。

 D2ET:採卵の2日後に受精卵を子宮内に移植します。
 D3ET:採卵の3日後に受精卵を子宮内に移植します。
 D5(胚盤胞移植):採卵の5日後に受精卵を子宮内に移植します。

 それぞれのメリットとデメリットがあります。一般に培養時間が長くなるほど良好な受精卵を選別できます。反対に体外での培養では受精卵が変性したりする恐れもあります。


・受精卵凍結/解凍移植
 
 受精卵凍結(Vitrification法)
 余剰卵や、卵巣過剰刺激症候群のため胚移植(ET)出来ない場合、受精卵を凍結保存します。

 解凍胚移植

 凍結保存された受精卵を、解凍した上で子宮に移植します。

  自然周期:通常の排卵周期で解凍胚移植を行います。

  ホルモン補充療法周期:自然周期で排卵日が特定しにくい、排卵障害がある、子宮内膜が薄い、など胚移植を行う条件が整わない場合、ホルモン療法を行いつつ、胚移植を行います。


・ 黄体支持療法
 
 高度生殖医療で、特に注射剤による排卵誘発を行った場合に起こる、高エストロゲン状態に見合った黄体ホルモン(プロゲステロン)を内服や注射剤で投与します。これにより、より受精卵が着床しやすい環境を作ります。


以上の様々な検査、治療を組み合わせて一連の高度生殖医療が行われます。

これらの治療の実際は、後述します。
posted by 桜井明弘 at 00:54| Comment(0) | TrackBack(3) | 高度生殖医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月15日

「第6回生殖バイオロジー 東京シンポジウム」で発表しました。

本日、都内で「生殖バイオロジー 東京シンポジウム」と言う学会形式のシンポジウムで発表しました。

私が発表した内容は、このブログでも何回か書きましたが、去年の11月に、東京女子医科大学大2生理学教室の宮崎俊一前主任教授の退官記念国際シンポジウムでPLCζ(ぜーた)という精子由来の卵活性化因子の臨床応用について、再度発表する機会を与えられました。

体外受精・顕微授精で受精卵が得られない方の中に、精子にあるべき卵巣を活性化するたんぱく質がなかったり、部分的に異常を来たしている可能性があります。
まだ臨床応用の段階ではありませんが、ヒトのPLCζも同定されているので、この蛋白合成障害があった場合、卵活性化障害となり、受精卵が得られないため、このPLCζを顕微授精するときに精子と同時に卵子内に注入すれば、この受精障害が解決できるかもしれません。

また、受精だけでなく、1つの卵細胞が2細胞、4細胞、と分割するときにも、このPLCζが重要な役割を持っている可能性もあり、受精したけど分割しないため、胚移植できない患者さんにも応用できるかもしれません。

本シンポジウムでは、培養室の環境づくりやリコンビナントFSHの使用成績、など興味深いものが沢山ありましたが、今回は私の発表もそうですが、「精子」に関係した発表が多かったです。
とかく数が少ない卵子については、多くの研究がされていますが、卵子に比べ、精子の研究はそれほど多いとは言えません。
今回、精子の形態による選別や、形態や運動能だけでは精子の本当の機能を評価できない、など、刺激的な内容も多かったです。

高度生殖医療、ARTの分野ですが、顕微授精や受精卵凍結以来、革新的な技術は余り見られていませんが、国内だけでも多くの先生方や研究者の方々が、日夜、よりよい治療、より高い妊娠、を目指して、研究が続けられているのを見て、勇気付けられたのと同時に、私も同じように、新しい知見を勉強するだけでなく、「産婦人科クリニック さくら」から一つでも新しいことを産み出していきたい、と、改めて思いました。
posted by 桜井明弘 at 23:43| Comment(0) | TrackBack(1) | 生殖医療(不妊治療)の研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月02日

7月18日午後院長外来代診のお知らせ

7月18日(水)午後の院長診療ですが、14〜17時の間、桜井加那子医師が代診します。保険医として診療を行うに際し、当局から集団指導(凄い名前ですが)があるためです。
17時頃からは従来どおり院長が外来に当たります。

今月は、13日の外来代診、23日からの夏季休診、と予定外が多く、皆様にご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
posted by 桜井明弘 at 01:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療のご案内 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする