そこで最も印象深かった講演が「ART不成功時の看護的心理的援助」というシンポジウムで、国内の不妊カウンセリングに携わる方々が担当されていました。
中でも東京HARTクリニックの心理カウンセラー、平山史朗さんのお話し。
臨床心理士である平山さんは、ART不成功時の悲しみ、辛さを非常に分かりやすく分析され、それに対する治療側の対応法も具体的に示されていました。
心理用語に「対象喪失」というものがあるそうです、愛するもの、近親者や親しい人を失った時に襲う心理状態で、そこから回復する過程があります。つまり時間をかけて悲しみが癒されていく、ということでしょう。
不妊治療でも同様に「対象喪失」と呼べるそうですが、親しい人を失うのと少し異なるようです。
不妊治療の末、生理が来てしまうと、妊娠が成立しなかった、治療が結果を結ばなかった、と言うことになりますが、子宮内に移植された受精卵、胚を失ったと言う単純なものではなく、治療にかかった時間や費用は勿論、親になる機会や期待していた妊娠・出産の家族像、更には女性としてのアイデンティティーの喪失にまで繋がる複雑なものです。
そして、治療法によっては、その喪失から立ち直る間もなく、次の治療を考えたり、始めなければなりません。
患者さんそれぞれの価値観や背負っているものが違うので、一概には言えないでしょうし、一律に押しつけるような方法は間違っていると思いますが、患者さんの声に耳を傾け、より良い治療法を追求していきたいと思いました。
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